調剤業務は分かち合えば余る。
昨日に続き4月2日に出された「調剤業務のあり方について」であるが、厚生労働省に直接問い合わせてみた。
すると「今回は当方(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)から関係部署(各都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部(局)部長)に当てた内容であり、詳細についてはそれぞれが考慮する」ってことになっているらしい。
こんな言い方ってあるだろうか。
保健所等の考え方によって対応がそれぞれ異なる可能性が出てくる。
因みに、今回の通知は医薬品医療機器等法(薬機法)ではなく、薬剤師法第19条に関する内容である。
しかも法改正ではなく、解釈としての課長通知でもある。
要は、元々薬剤師以外の者でも良かったってことになる。
実は、昨年行われていた厚生科学審議会の資料の中に、診療所における薬剤師不在の調剤について、今回と同様の条件が示され無資格者を助手として使えるとしていた。
1.医師の目が現実に届く限度の場所で
2.患者に危害が及ぶことなく
3.判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業
今回示された通知と全く同じである。
この資料は私のセミナーでも定番である。
詳しくは調べていないが平成元年2月23日の東京高裁にて認める判決が出ているらしい。
この案件については資料が出た時に議論すべきだったのではないだろうか。
さて、軟膏、水剤、散剤等の直接計量、混合する行為はダメだってことは分かるが、最後に示されている「調剤機器を積極的に活用した業務を妨げる趣旨ではない」は何を意味するのか。
薬剤師が計量、混合した薬剤を薬剤師以外がスイッチを入れるってことか。
それとも軟膏の練り機や散剤の分包に関する情報の入力の事なのか。
何を想定したのか分からない。
また、お薬カレンダーや配薬カートへの装填などが認められているが、「電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為」とは何だろうか。
これも薬剤師以外の者でも可としている。
最後に、薬剤師以外が行う調剤業務についての「手順書」の作成が急がれる。
そして、謎の「薬事衛生上必要な研修」とは何なのか。
あるメディアには「お菓子を食べた後にPTPなどを触らない」といった知識らしいが、意味がないような気がする。
それよりも“3秒ルールの廃止”の方がもっともらしい。
ところで薬剤師から錠剤のピックング業務がなくなると薬剤師が余るかもしれない。
ある大手調剤チェーンでは全ての調剤業務を薬剤師が行っている。
この会社の薬剤師は確実に余る。
余剰になった薬剤師は派遣と紹介に回されるのか。
他にも薬剤師以外の調剤の緩和を歓迎する日本保険薬局協会の薬局でも薬剤師は過剰気味になるかもしれない。
そうなると薬剤師も選ばれる時代を迎える。
求められる薬剤師の姿が見えてくる。
今回の薬剤師以外の調剤のきっかけになったかどうかは分からないが、パートナー制度があるような気がする。
にわかに脚光を浴びているが「調剤料」の引き下げにも貢献しているのはないかといぶかる。