新聞で連載されていた頃、
独特な雰囲気の挿絵と、
重苦しい内容が気になり
時々、読んでいました。
読んだことさえすっかり忘れていたところ、
映画化されると知り
文庫本を手に入れました。
そこで以前、不完全ながらも
読んでいたことがあるのを
思い出したのです。
「悪人」は誰?
登場人物の誰もが弱さを持っています。
そして誰もが人間として悪とは
いいきれない一面をも
持っている。
主人公は祐一。
祐一と光代
出会ってしまった二人。
この二人の愛だけは
本物と思っていただけに
ラストの光代の心の到達点には
むなしさを感じました。
祐一の心が不憫です。
自分から進んで悪人になっていく
可愛そうです。
光代は自分自身の孤独からの脱出に、
祐一を巻き添えにしたような感じも
少し頭をよぎりました。
悪人というより、
自分だけ悪人を装って
周囲の人達をガードする。
祐一の行動には理不尽さと
哀しさが残ります。
舞台は九州、
表紙にも描かれてる、
二人の潜む断崖の灯台が
祐一と光代の孤独を、
象徴しているよう。
映画では祐一が妻夫木宏、
光代を深田絵里が演じます。
映画も楽しみです。