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定員割れ

 1週間ほど前の新聞に「私大の40%定員割れ」という報道があった。以下に抜粋してみる。

 今春の大学入試で入学者数が定員を下回り「定員割れ」となった4年制の私立大学は前年度より62校増え、過去最悪の222校に上った・・
 入学者が定員の70%に満たない大学数も前年度の52校から62校に増加。短大は定員割れ校の割合が51%(前年度42%)と半数を超えるなど、2007年度にも予想される進学希望者の「大学全入時代」を前に、大学の経営基盤がさらに悪化していることが明らかになった。

 少子化で18歳人口が減り続けているにもかかわらず、大学の定員はほぼ毎年増加し、92年度の35万6千人が本年度は44万人を突破したという。これでは、「大学が自分で自分の首を絞めている状況」だといわざるを得ない。しかも、時代にあった学部の新設で生き残りをかける大学が増える一方、不人気学部の廃止などスリム化が進んでいない大学の経営努力の不足も指摘されている。
 その影響は入学試験の難易度にも顕著に現れ、大学の学部別ランク表を見ると、難関私大からずっと並んでいる最後のほうにFランクというものが設けられいて、かなりの大学がそこに当てはめられている。私は何年か前に初めてこのFランクを見たとき何のことか分からなかったが、よく考えてみると Free のFであることが分かった。「フリーに入れる大学」ということだが、一応入学試験はあるものの、名前さえ忘れずに書いておけば合格できる大学ということだ。かつて日本の大学は、「入るのが難しくて出るのが簡単」と揶揄されたが、今では「入るのも出るのも簡単」な大学がひしめき合っている。
 そうした事情を高校生が知らぬはずもなく、さして将来の目標を持たない者たちでも願書さえ出せば合格してしまうものだから、勉強しようなどという気力は萎えてしまい、ひたすらバイトや遊びに明け暮れる。それでも大学生となってしまう姿を目の当たりにする後輩たちも、同じように何の努力も必要ないFランクの大学に易々と進学していく。こうして大学生とは名ばかりの、漢字もまともに読めない、講義の間も座って授業を聞くこともできない学生でキャンパスはあふれかえる・・。
 しかし、それはあくまでもランクの低い私大に関してのことで、難関私立大学、難関国公立大学の難しさは昔とさほど変わっていない。倍率も高いままだ。私の親戚の者で、かなり優秀な子で国立大の医学部を志望している子がいるが、運に恵まれず現在2浪中である。医学部、東大、京大などの最難関校の難しさは今でも厳しい。要するに、2極分化が進んでいるのだ。難しい大学はそのままで、簡単な大学がどんどん簡単になってしまい、それに引っ張られて中堅校がなくなりつつある。そういう時代状況を敏感に察知したのか、こんな雑誌が書店に何冊も並べられていた。


週刊朝日臨時増刊「一流校に入る」とプレジデント「Family」の2冊であるが、他にも同じような雑誌が何種類かあった。中高一貫の私立校を受験する家庭のための読み物のようであるが、東大に子供が今春合格した何組かの家族にインタビューしたりとか、難関中学が使っている教科書の特集とか、チラッと見ただけでも、ふーっとため息が出てしまった。私立中学受験生を預かる身としては、こうした雑誌にも目を通すのも仕事だとは思うが、それにしてもため息が出てしまう。
 子供の将来を思ってなのか、親の見栄なのか、こうした雑誌を見ていると、一流校に入学することに明確な意義があるのかどうか、ちょっと分からなくなってしまう。私には反面教師として、有意義な読み物であったが。

 
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