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先日、私の担当した国選事件でいたく感心しました。

覚せい罪に溺れ、ひったくり窃盗を繰り返し、遂にはコンビニ強盗をしてしまった、ある意味では大変責任の重い被告人の事件です。

37歳の男ですが、前科は罰金しかなく、なぜこんな重大な事件をするようになってしまったかが問題でした。

情状証人としてお母さんの外に、中学校時代の恩師が出てくれました。

ある学校の校長先生をしておられるその恩師は、すでに約20年以上前の教え子である被告人のために接見に行き、法廷でも被告人が中学校時代には先生の言うことをきかないやんちゃな生徒であったこと,しかし同級生には頼られ、慕われる面もあったこと,被告人が定時制高校に行きたいと言ったときには補講をして激励し、定時制高校を無事卒業したときは二人で抱き合って泣いたこと、接見のときには、刑務所を出たら真っ先に私の所に来い、きつくしかつてやるし相談に乗るなどと、熱く語ってくれました。

さすがの被告人も泣いておりました。

あまり事件には関係が無いのですが、受験競争の中で荒廃した教育界で先生(しかも脳溢血の後遺症と闘っておられました。)はなぜそこまで昔の1生徒のために考えていただけるのでしょうか、と聞きました。

先生は、生徒は家族と思っています、とあっさり答えられました。

いまどきこのような立派な教育者がおられるのか、と感服しました。

検察官の求刑は懲役8年でしたが、私の弁論では、覚せい罪に溺れたことがすべての原因であり、受刑中に依存性は絶たれるし、受刑後の受け入れ態勢もしっかりしているから懲役3年6月が相当と言いました。

判決は3月に言い渡されます。
                     反省を迫られた「花」

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