先日,私が主任弁護人をした模擬裁判員裁判が2日間の審理を終わり,3日目に判決言い渡しがありました。弁護団は無罪を確信しておりましたが,残念ながら有罪の結論でした。
時間の都合で評議の模様を見学することができず,正確なことはわかりませんが,モニター傍聴した人の話では,当初の評議は無罪と有罪の間を揺れていたそうですが,ある裁判員の出したヒントがきっかけで有罪の方向に一気にすすんだようです。
問題は,そのヒントが検察官も弁護人も指摘していない方向から出された,ということです。
たしかに自由な評議であれば,そのようなことは十分あり得るのですが,はたしてそれでいいのかな,という気もしました。
つまり,弁護団としては,最終論告に正面から反論する形で最終弁論を展開したのですが,違うところから鉄砲玉が飛んできた感が否めません。
やはり,弁論終結後の公判後整理手続きで裁判官と両当事者が論点の再確認をしておく必要があるように感じました。
予想外の敗戦でショックの「花」
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予想外の敗戦でショック、お疲れ様でした。
「評議の中である裁判員が出されたヒントがきっかけとなって・・」とありましたが、それはもちろん公判廷で証拠として明らかになっていたもの、ということですね。
これは市民の感覚が法曹をしのぐ快挙ということでしょうか、それとも、ということでしょうか。
もうちょっと知りたいものです。
法律の専門家が気づかなかったある視点に素人さんが気づき,それが勝敗の流れを決めたということですね。
私が知る限り,原告勝訴(認容)の医療訴訟の多くは,素人さんによる後出しジャンケンに一部専門家が乗っかり,その他の素人さん(法律家)を巻き込んで原告勝訴となったものです。花さんが今回経験した事例に類似したことが,たびたび起こっているものと考えています。
花さんの場合,模擬裁判で敗訴したそのショックだけで済んだのは,ある意味幸せだと思います。医療訴訟で敗訴した医療関係者には,敗戦のショックに加えて,場合によっては億を超える賠償責任が付いてくるのです。今回の花さんのお仕事に,仕事がうまくいかなかったからと言って賠償責任が付いてくるようでは,法律家をやっていけるでしょうか? 現にそのような判断で責任を負わされ続けている医療の分野が,崩壊に瀕しているのは当然と言っても過言ではないでしょう。
法律家の方々には,免許で数を制限された専門家の判断の,その責任と限界について,改めて深く考えて頂きたいと強く思います。
こういうのは裁判官や検事の、いわば官側としては歓迎するところではないでしょうね。とっさに考えたのは、もし障害を持つ裁判員がいれば、他とは違う見方をする可能性があるなということでした。裁判所側が陰に陽に、障害者を裁判員から除外したがっているかのようことの理由の一つが、わかったような気がしました。