日本裁判官ネットワークブログ
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 「1人だけで責任を負うのではなく裁判官も含めた9人で結論を出す。自信を持って参加してほしい」
 1年後に迫る裁判員裁判に向けて最高裁長官の憲法週間の談話である。
私も,(別に,長官と張り合うつもりではないが),最近,ある記者のインタビューを受けて次のように答えていた。
「一般の人々の常識的な判断は貴重です。たとえ評議の当初において結論に自信がなくても,あの証言のこの部分は信用できるとか,部分的な判断がまず重要です。そうした小さな意見を積み重ねて評議するうちに,自然と一定の結論が見えてくる。それが裁判員裁判だと思っています。一人で有罪無罪の判断,量刑まで決めなさいと言われれば,誰だってたじろいでしまう。自分なりに9分の1の意見を出してもらえばいいのです。それが裁判官の偏見をうち破ることになるかも知れない。
 他の人の意見になるほどと思えば賛成すればいいのです。迷ったら少し考えさせてくれと言えばいいのです。みんなの感覚でより高度な判断に到達しようということではないでしょうか。「一般市民に事実認定はできない」なんて,短絡的なことを考える必要はないと思います。
 他方,裁判官の側は,裁判員のどんな小さな声であろうと,真摯に傾聴する姿勢を持たなければなりません」

多くの欧米諸国で当然のことして受け入れられているこの新たな裁判の仕組みは,国民自らが社会の重要な手続に直接参加をするもので,わが国の民の成熟度が試される制度といえるかもしれない。ぜひ定着させたいものである。(蕪勢)


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