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 裁判所予算が大幅に減っている。三権の一翼と良いながら、その予算規模は国家予算の1%を超えたことが無く、平成20年の0.394%からついに0.323%にまで低下し、額としても3000億円の大台を切ってしまった。弁護士会などは、せめて国家予算の1%程度を確保して、裁判官や職員の増員をするなど、人的物的設備の増強を求めているのだが、財務省の扉は固いようである。

 減った原因は主としては人件費削減(今次震災等を受けた俸給削減)であり、元々裁判所予算において人件費が大きな割合を占める以上、納得はしがたいものの、やむを得ない面があろう。だが、その他では「情報処理業務庁費」というものが大幅に減っている。それも「裁判所の事務処理に必要な経費」と言うくくりの中のその費目は減っていないが、「裁判運営の充実に必要な経費」と言うくくりの中のその費目が大幅に減っている。これって何?と思って概算要求の中身などをチェックしてみたら、昨年度に行っていたIT関係の投資が終わったので、その分がさっくりゼロになっているようである。

 日本裁判官ネットワークでは、先日、シンポジウム「地域司法とIT裁判所」を開催し、日本の裁判所のIT対応が他国に比べて絶望的に遅れていること、それが過疎地の支部等の弁護士業務に多大な負担をかけていることを明らかにした。裁判所としても、ひとつのプロジェクトが終わったからと言って、IT関係予算がガタッと減るというようなことでは、ますますIT化の遅れは絶望的になってしまう。

 今から色んなプロジェクトを始動して、将来に向けて着実に予算を確保していかなければ、いざというときに裁判所に必要な予算が確保されないのでは困る。浅見裁判官は、昔のシンポジウムで、裁判官は霞ヶ関のキャリア官僚に比べてしたたかさが足りない、と指摘しておられた。せっかく有能な判事補を他省庁に出向させているのだから、そうしたノウハウも着実に前進させて欲しいと願わずには居られない。

                                                 くまちん



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