日本裁判官ネットワークブログ
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 みなさん,新年おめでとうございます。2012年がスタートしました。政治,経済ともに,国の内外にわたって,とても不安な門出ですが,いかなる時代においても,新しい年の始まりは,このうえなく喜ばしいことです。
 年賀に,京都・鴨川法律事務所の「かもがわ」第50号が届きました。毎号,読み応えのある論稿にあふれた弁護士事務所報です。今回の巻頭は,坂元和夫弁護士(13期)の「文明の敵・民主主義」というショッキングな本(著者は元東大教授・評論家西部邁)の読書感想でした。

 「どの民主主義国でも指導者は歓呼の声で迎えられた後,罵声を浴びせられて退場する。衆愚政治である。大衆は自らの愚かさを棚に上げて政治不信に陥り,強力な指導者の出現を待ち望むようになる。全体主義への転落はこうして始まる・・・・デモクラシーは最悪のものより少しだけましな政治制度に過ぎない(チャーチル)。そのようなものだと見定めて,独裁や全体主義に陥らないように,選挙民がパブリックマインドを持ち,口先だけの公約ではなく道理に従って行動する政治家を選ぶしかない。」というのがショッキングな本の著者の論旨のようです(私も早速読もうと思います。)。

 これを受けて,坂元和夫弁護士は,原発問題を国民投票(only Yes or No)で決めることに反対する民主党前原誠司政務調査会長の意見に共感を寄せています。 独裁や全体主義の防波堤は「選挙民のパブリックマインド」という不確かなものでしかないとすると,その前に「法曹のパブリックマインド」を試そうとしているのが,法曹増員による平成司法制度改革ではないでしょうか。今年は,平成司法制度改革を振り返り,後退しないで前に進む議論をしましょう。 瑞月

 



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