1 先頃衆議院議員の総選挙が行なわれ,与党が1議席増やした。ほぼ現状維持ということではあるが,議席数は再議決可能な3分の2を超えており,圧勝した前回の議席を守ったのであるから,やはり圧勝したということになる。野党では,議席を増やした党と減らした党があるが,与野党全体としてはさしたる変化はなかったことになる。選挙の結果について,私個人の思いはいろいろあるが,それを書こうということではない。しかし何か書いておきたいという衝動もあるので,少しだけ書くことにした。
2 まず気になるのは投票率の低さである。
(1)投票率は,平成24年に行なわれ,戦後最低だった前回の衆院選の投票率を更に6・66%も下回り,52・66%だったそうである。つまり有権者のほぼ2人に1人が投票しなかったということである。これは一体どういうことなのであろうか。
(2)民主主義国家において最も大切なことは,主権者である国民の1人ひとりが,国政の在り方や経済政策その他各種の問題に関心を持って,自覚的に判断するという姿勢をどの程度有しているかということである。そうであれば選挙も自ずとそれなりの結果を生むことにもなるに違いない。
(3)最近マスコミは,国政選挙が行なわれる状況になると,各社が一斉に結果予測を発表する。投票日の1か月前ころと,投票日の直前ころと,そしてその中間ころの2~3回結果の予測が報道され,そして大体その予測どおりの結果になっている。
(4)予測報道を見て,これではいけないと思う人がいて,以前は逆バネといって多少結果が修正される場合もあったようであるが,最近はそうはならず,どうせ自分が投票に出かけても出かけなくても,結果は変わらないと多くの国民が考えて棄権した結果,投票率が低下したのではないかと思われる。逆バネが起きるということは,それだけ国民の自覚がまだ高いということなのであろうか。
(5)私は,選挙結果の予測がどのようであれ,とにかく自分は自分で判断して,投票すべきではないかと思う。選挙の結果は国民全体が決めるのであるから,自分が思うとおりの結果にはならないかも知れない。しかしとにかく各人が主権者としての責任を果たすという意味で,自分の大切な意思表示をなすべきであると思う。「この秋は 雨か嵐か 知らねども 今日の勤めに 田草取るなり」(二宮尊徳)の心境で,責任を果たすことが大切だと思うのである。国民の1人ひとりが主権者としてい自覚を持つことこそ,民主主義の根幹であり,今回の選挙の投票率をみると,この国は本当に大丈夫な国なのであろうかと,私はかなり不安を抱いたということになる。
(6)今回の選挙では,沢山の重要な争点があったにもかかわらず,大した争点がないかの如き選挙になってしまったような印象である。経済政策(アベノミクス)の評価,集団的自衛権行使を認めるのか,原発再稼働の是非,社会保障費の巨額化,その他いろいろと重要な争点があった。それにもかかわらず,さしたる争点がないかの如く,投票率が驚くべき低率であったことは,私には甚だ不可解である。これは政党の責任も大きいに違いないが,私はマスコミの責任が大きいと思うのである。(ムサシ)