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阿寒湖アイヌ×デジタルアート。〈WOW〉がカムイの世界を描き出す。

2019-11-17 | アイヌ民族関連
Casa BRUTUS November 16, 2019
〈WOW〉が手がけるデジタルアートによって、目に見えない「カムイ=神」の世界観まで描かれた、新たな時代のアイヌ古典舞踊・阿寒ユーカラ『ロストカムイ』。デジタル、古典、両者のアートとしての可能性をさらに拓く表現だ。

2012年に北海道・阿寒湖に誕生した、阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉。これまで「アイヌ古式舞踊」「コタンの人々が演じる人形劇」「イオマンテの火まつり」などの伝統芸能を中心に上演してきたが、今年3月にスタートした演目「阿寒ユーカラ『ロストカムイ』」では、ヨシダナギや〈WOW〉など屈指のクリエイターたちが共演。“デジタルアート×アイヌ古典舞踊”という新たな表現が話題を呼び、動員人数は1万人を超えている。
テーマとなるのは、アイヌの間で「狩りをする神=ホロケウカムイ」として畏怖の対象となってきた、エゾオオカミ。明治期に絶滅してしまったこの特別なカムイが駆けていたかつてのアイヌの森を、舞踊、映像、サウンドによって、幻想的に立ち上げていく。
企画・原作・クリエイティブディレクションは、坂本大輔(JTBコミュニケーションデザイン)。振り付けはダンサーのUNOが務めた。演目の前半では「カムイ=神」の世界を描く現代舞踊を、後半ではアイヌ古典舞踊を、ともに映像・サウンドによる幻想的な世界観のもと表現する。
床や壁のみならず、間に設けられた透過幕にも映像が投影されることで、動物たちの影などに不思議な“実在感”が生じる。
企画・原作・クリエイティブディレクションは、坂本大輔(JTBコミュニケーションデザイン)。振り付けはダンサーのUNOが務めた。演目の前半では「カムイ=神」の世界を描く現代舞踊を、後半ではアイヌ古典舞踊を、ともに映像・サウンドによる幻想的な世界観のもと表現する。
床や壁のみならず、間に設けられた透過幕にも映像が投影されることで、動物たちの影などに不思議な“実在感”が生じる。
現代のアイヌにとっても、エゾオオカミはもはや直接目にしたことがない“伝説”のような存在。しかし、さまざまなユーカラ(=叙事詩)が世代を超えて口承されてきたなかで、「キラキラとしたオーラを纏ったようなイメージ」は、今なおアイヌたちの間で息づいている。今回の演目で映像やサウンドの最新技術が担うのは、そうしたイメージに、具現化されたひとつの姿を与える役。長く伝わってきたアイヌの豊かな文化に対して、新たな角度から光が当たるような舞台を整えることだ。
半円状の床、舞台奥側の3面の白壁、そして、舞台の前後を仕切るようにかけられた透過幕に投影される、5台のプロジェクターを用いた映像。また、7.1chマルチスピーカーによる、前後左右から響くように聴こえる立体的なサウンド。
ビジュアルデザインスタジオ〈WOW〉とサウンドデザイナーのKuniyuki Takahashiによるこれらの演出によって、アイヌか倭人かに関わりなく、また子どもでも、外国人でも、カムイの世界観へとアクセスできるようになる。色彩と陰影に富み、またオオカミ、シカ、クマ、鳥などの生き物たちの豊かな息遣いに溢れたアイヌの森を、五感を通して体験する機会が生まれる。
後半は舞台の中央に実際の焚き火が現れ、古式に則ったアイヌ舞踊に。前半でカムイの世界観を体感することで、新鮮な視点で踊り手たちの所作を見ることができる。
観客も踊りに加わるクライマックス。「『ロストカムイ』は、“ともに踊りましょう”という共生のための演目。この阿寒ではぜひ、アイヌの“さわり”だけ、“楽しい”だけを持って帰って欲しい」(床 州生)。
そもそも阿寒は、もともと特定のコタン(集落)があったのではなく、周辺のアイヌたちにとって“夏の狩場”だった土地。現在でも阿寒の自然を維持・管理している「前田一歩財団」の3代目園主・前田光子が、 無償で住宅用地を提供したことで札幌、旭川、帯広、釧路などからアイヌたちが移り住み、様々な土地のアイヌ文化がハイブリッドして生まれた、いわば“新たなアイヌコタン”だ。だからこそ、伝統を継承することの熱意と、一方でデジタルアートといった新たな表現への意欲が同居する。阿寒アイヌ工芸組合理事で、阿寒湖アイヌシアター「イコロ」の舞台監督の床 州生(とこ・しゅうせい)は語る。
「古式舞踊があったうえで初めて、こうした新たな表現ができる。それは、大前提です。デジタル技術のような目新しい手法に顔をしかめるアイヌだっているかもしれません。ただ、現代の私たちにとって、技術はもはや“ふつうにあるもの”ですよね。それを活用することは、アイヌがこれまで、時代ごとに様々な楽しみを見出しながら生きてきたのと、同じことだと思うのです。ユーカラの中には、光る剣が出てきたり、泥の船で宇宙に行ったり、いろんな神が揃い踏むまるで“アベンジャーズ”のような奇想天外な世界観のものもある。今回はホロケウカムイをテーマにしましたが、英雄伝説や恋愛モノなど、『阿寒ユーカラ〜』という枠組みを使って、より多様なアイヌの世界を伝えられると思っています」(床)
『ロストカムイ』でホロケウカムイが駆けた森のモデルである「光の森」。前田一歩財団が維持・管理しており、「一歩園森の案内人」が同行する場合に限って散策が可能。まるで原生林のようだが、100年以上前に伐採されたのを時間をかけ再び育てた「復元の森」。針葉樹と広葉樹の混合する、明治期の森を彷彿とさせる雰囲気は他の森にはないもので、映画やドラマのロケ地などで多く利用されている。
森林のなかに噴き出している、アイヌ語で「煮え立つ場所」という意味の「ボッケ(泥火山)」。湧き出る際の音が『ロストカムイ』の自然音としても用いられた。
クマゲラ(キツツキ)は、弱っている木を見極めて分解する。木々が適度に間引かれることによって、より豊かな森へと育っていく。
『ロストカムイ』でホロケウカムイが駆けた森のモデルである「光の森」。前田一歩財団が維持・管理しており、「一歩園森の案内人」が同行する場合に限って散策が可能。まるで原生林のようだが、100年以上前に伐採されたのを時間をかけ再び育てた「復元の森」。針葉樹と広葉樹の混合する、明治期の森を彷彿とさせる雰囲気は他の森にはないもので、映画やドラマのロケ地などで多く利用されている。
森林のなかに噴き出している、アイヌ語で「煮え立つ場所」という意味の「ボッケ(泥火山)」。湧き出る際の音が『ロストカムイ』の自然音としても用いられた。
クマゲラ(キツツキ)は、弱っている木を見極めて分解する。木々が適度に間引かれることによって、より豊かな森へと育っていく。
阿寒湖の辺りや周辺の森林に立ち寄れば、ホロケウカムイこそいなくとも、そこには『ロストカムイ』が描く瑞々しい、どこか空想的な気配すら感じられる豊かな自然がいまなお広がっていることに気づく。道内でも東部に位置するこの阿寒だからこそ生まれた、“ここでしか見られない”と同時に、“ここでこそ見る価値がある”作品だ。
阿寒ユーカラ『ロストカムイ』
阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-84 TEL 0154 67 2727。毎日21時15分〜(約40分)。大人2,200円。※「イコロ」は正しくは小さい「ロ」。
https://casabrutus.com/art/117899/3

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<北海道>アイヌフェスティバル 旭川で開催

2019-11-17 | アイヌ民族関連
HTB11/16(土) 17:55配信
 来年4月に胆振の白老町でアイヌ文化復興の拠点「ウポポイ」が開設されるのを前に、アイヌ文化の魅力に触れることができるイベントが、旭川で開かれました。
 アイヌフェスティバルはアイヌ文化復興の拠点「ウポポイ」のオープンに向けて、アイヌ文化の魅力を伝えようと開催されました。
 会場ではアイヌ古式舞踊や音楽が披露されたほかアイヌ料理の試食を楽しむ客もいました。
 来場者は「北海道に根付いた文化なので、子どもたちが小さいうちからこうやって勉強して、大人になるときに自然と身についていたらいいなと思います」と語りました。
 またAKB48で旭川市出身の坂口渚沙さんがPRアンバサダーとして会場を盛り上げました。
 イベントはあすも開かれ来週には函館でも開催されます。
 白老町の「ウポポイ」は来年4月24日オープンします。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191116-00000003-htbv-hok

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