北海道新聞 12/26 08:50
政府は2017年度当初の北海道開発予算案の総額を5464億円とした。16年度当初比では0・9%の微増ながら、5年連続の増加である。
道内は今夏、四つもの台風に見舞われ、傷痕は今も残る。冬場の「爆弾低気圧」発生も目立つ。一方で、道内経済の底上げにつながる観光振興への期待も高い。
開発予算に求められるのは、こうした変化に見合った体制を整えるための基盤整備だ。
その点で予算案は、まだ旧来の枠組みにとらわれている感が否めない。
執行に当たっては、地域の声も十分に聞き取り、時代の要請に応えていく発想が必要だ。
今回の予算案では、全国で一括計上された災害復旧費とは別に、河川の洪水を防ぐための治水費が増額された。
今夏の台風で、堤防の決壊が相次いだことなどを考慮したのだろう。増額は評価したい。
ただ、水門を操作する電源ブレーカーが落ちていたため、閉め遅れて冠水被害が拡大した事例もあった。こうしたことを繰り返さないよう、運用面の改善にもしっかり取り組んでもらいたい。
もう一つの特徴は、北海道総合開発計画で戦略的産業と位置づけた「食と観光」について、関連事業を拡大したことだ。
新千歳空港では、国際線ターミナルと滑走路を結ぶ航空機の誘導路増設を継続する。
函館港、小樽港、稚内港では岸壁を整備し、大型クルーズ船を受け入れる。
しかし、必要な交通基盤は空港や道路、港湾だけではない。
道内は今、JRの路線網維持が大きな問題となっている。
JRは道民の足として必要なだけではなく、観光振興においても大きな役割を果たすことができるだろう。
鉄道は、道路や港湾と異なり現在は開発予算の枠外だが、社会基盤整備の一環として、開発予算に盛り込むことを検討してもよいのではないか。そうした新しい考え方がほしい。
胆振管内白老町に開設するアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」については、「国立民族共生公園」の敷地造成に入る。
象徴空間は20年の東京五輪・パラリンピックに合わせて一般公開し、政府は1年間に100万人の来場者を目標に掲げる。
整備に当たって、アイヌ民族の視点を大切にするのは当然だ。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0104322.html
政府は2017年度当初の北海道開発予算案の総額を5464億円とした。16年度当初比では0・9%の微増ながら、5年連続の増加である。
道内は今夏、四つもの台風に見舞われ、傷痕は今も残る。冬場の「爆弾低気圧」発生も目立つ。一方で、道内経済の底上げにつながる観光振興への期待も高い。
開発予算に求められるのは、こうした変化に見合った体制を整えるための基盤整備だ。
その点で予算案は、まだ旧来の枠組みにとらわれている感が否めない。
執行に当たっては、地域の声も十分に聞き取り、時代の要請に応えていく発想が必要だ。
今回の予算案では、全国で一括計上された災害復旧費とは別に、河川の洪水を防ぐための治水費が増額された。
今夏の台風で、堤防の決壊が相次いだことなどを考慮したのだろう。増額は評価したい。
ただ、水門を操作する電源ブレーカーが落ちていたため、閉め遅れて冠水被害が拡大した事例もあった。こうしたことを繰り返さないよう、運用面の改善にもしっかり取り組んでもらいたい。
もう一つの特徴は、北海道総合開発計画で戦略的産業と位置づけた「食と観光」について、関連事業を拡大したことだ。
新千歳空港では、国際線ターミナルと滑走路を結ぶ航空機の誘導路増設を継続する。
函館港、小樽港、稚内港では岸壁を整備し、大型クルーズ船を受け入れる。
しかし、必要な交通基盤は空港や道路、港湾だけではない。
道内は今、JRの路線網維持が大きな問題となっている。
JRは道民の足として必要なだけではなく、観光振興においても大きな役割を果たすことができるだろう。
鉄道は、道路や港湾と異なり現在は開発予算の枠外だが、社会基盤整備の一環として、開発予算に盛り込むことを検討してもよいのではないか。そうした新しい考え方がほしい。
胆振管内白老町に開設するアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」については、「国立民族共生公園」の敷地造成に入る。
象徴空間は20年の東京五輪・パラリンピックに合わせて一般公開し、政府は1年間に100万人の来場者を目標に掲げる。
整備に当たって、アイヌ民族の視点を大切にするのは当然だ。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0104322.html