先住民族関連ニュース

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民族共生象徴空間

2016-11-11 | アイヌ民族関連
誘客へ 官民組織を設立 /北海道
毎日新聞2016年11月10日 地方版
 2020年に開設予定の「民族共生象徴空間」(白老町)の誘客を目指す官民組織「民族共生象徴空間交流促進官民応援ネットワーク」が9日、札幌市で設立総会を開き、構成する道や経済団体、企業などの関係者約40人が出席した。代表に選任された北海道経済同友会の横内龍三代表幹事は「民族共生の輪を日本全土、世界各地に発信し、北海道の地域活性化にもつなげたい」とあいさつした。
 象徴空間の来場者目標は年間100万人。同ネットワークを構成する各団体は今後、誘客促進に向けたPRやアイヌ文化の発信などに取り組む。【一條優太】
http://mainichi.jp/articles/20161110/ddl/k01/040/338000c

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サケ皮装丁の本寄贈 東京の男性、標津サーモン科学館に 74年前発刊の原本

2016-11-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 11/10 07:00

東京都の男性から寄贈されたサケの皮で背表紙が装丁された本
 【標津】1942年(昭和17年)に発刊され、サケの皮で装丁された本「鮭鱒聚菀(けいそんじゅえん)」が東京都に在住する男性から標津サーモン科学館に寄贈された。同館の市村政樹館長は「復刻版は所有していたが、原本は初めて見た。大変貴重な本だと思うのでとてもありがたい」と話している。
 本は背表紙にサケの皮が使われている。背表紙の皮は経年劣化で焦げ茶色に変色しているが、サケの皮の模様やウロコが見て取れる。同書は当時、日魯漁業(現マルハニチロホールディングス)の社長だった松下高さんらが執筆したもので、A5判全750ページ。本ではサケの生態や漁の手法、人とのつながりやアイヌ民族とサケマスの関わりなど幅広い分野が扱われている。また、サケ料理紹介やサケの缶詰製造法も記載されている。84年には通常の装丁の復刻版が発刊された。
 同館に本を寄贈した男性は、これまで親が残した同書を70年間保管してきたという。だが、「本を保存して、活用して頂けるところに」との思いから寄贈を決めたのだという。市村館長は「今後の活用方法は検討中。一般向けの展示も可能ならばしたいが、まずは本の修復が必要だと思う」と話している。(樋口雄大)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doto/1-0336368.html

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アイヌ文化振興へ 「象徴空間」応援ネット設立

2016-11-11 | アイヌ民族関連
読売新聞 2016年11月10日
 白老町に2020年に開設されるアイヌ文化の普及啓発活動などを行う国立施設「民族共生象徴空間」の設立に向けて、活動を支援する「民族共生象徴空間交流促進官民応援ネットワーク」の設立総会が9日、札幌市内のホテルで開かれた。
 同ネットワークには道や北海道アイヌ協会のほか、北海道経済同友会などの経済団体、鶴雅ホールディングスなどのサポーター企業計51団体が参加。今後、100万人の誘客のほか、道内各地のアイヌ文化振興などに取り組む。
 会長に選ばれた北海道経済同友会の横内龍三代表幹事は「100万人の目標達成はもちろん、さらに上回る実績を上げるよう決意を新たにした。共生の輪を日本全国に広げていきたい」とあいさつした。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20161110-OYTNT50017.html

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南国で伝統文化や自然を体感!サモアの基本情報とおすすめ観光スポット5選

2016-11-11 | 先住民族関連
TRiPORT- 2016年11月10日by kkl · 最終更新 :
サモアは、南太平洋に位置する小さな島。ポリネシアに分類されるサモアでは、ハカダンスをはじめとする伝統的な文化が色濃く残っています。そんなサモアには、豊かな自然や伝統文化を体験できるスポットがたくさん!今回は、サモアに関する基本情報とおすすめの観光名所について紹介します。
こんにちは。Compathy MagazineのKklです。
冬が近づいてくると「南国に逃避したい」とついつい思っちゃいますよね。
皆さん南国と言うとどこを思い浮かべます?
沖縄?ハワイ?グアム?オーストラリア?
いやいや……やっぱりサモアでしょ!
え?ご存知ない?
今回はそんな隠れた南国リゾート、サモアの魅力とおすすめの観光スポットについて紹介します!
世界でいちばん早く太陽が昇る国!サモアってどんなところ?
日本からの時差や飛行機は?サモアの基本情報
サモアは、南太平洋に位置する複数の小さな島々から構成される小国です。ミクロネシア・ポリネシア・メラネシアの3つから成るオセアニア大陸に分類されています。
もっと分かりやすく位置を説明すると、世界地図を開いてオーストラリアから東の方に進んでいくと無数の小さな島々があります。その中にサモアの文字を発見できるでしょう。
日本からサモアのアピア空港へは直行便が運行していないため、ニュージーランドのオークランドか、フィジーのナンディーを経由するルートが一般的です。東京の成田空港からニュージーランド航空でアピア空港へ行く場合は、所要時間は約24時間(オークランドでのトランジットを含む)、料金は往復約150,000円です。
サモアは日付変更線の近くに位置しているため、世界で日の出を1番早く見ることができるエリアとしても知られています。サモアを訪れる際は、朝の時間帯に散策してみるのも良いですね。
国名:サモア独立国
首都:アピア
人口:179,000人
公用語:サモア語・英語
通貨:タラ(WST)
日本との時差:+5時間
東西ふたつのサモア
厳密にはサモアは1つの国では無く、西経171度を境に東西ふたつに分断されています。
1899年にドイツとアメリカによって東西2つに分けられたサモアは、その後歴史の流れの中で西側の「サモア独立国」・東側の「アメリカ領サモア」というまったく別の国となっています。
東側のアメリカ領サモアでは米国の影響を受けているのに対し、西側のサモア独立国は伝統的なポリネシア文化を保っていることで知られる国。今回の記事では、サモア独立国(以下:サモア)の情報について紹介します。
サモアの国旗の特徴と意味
サモアの国旗は、赤をベースとして小さい青い四角に5つの星が輝くデザインが印象的。赤色は勇気、青色は自由と太平洋を表しているそうです。
また白い星は南半球であることを示す南十字星と、国民の純潔を象徴するサインとして国民に親しまれています。
サモアの地図マップ
サモアの伝統・文化について
タトゥー
サモアには南太平洋の伝統的な社会組織である、首長(マタイ)制度が残っています。首長を中心とした大家族制が基盤として、女性の権限が強い母系社会が特徴です。
そんあサモアでは、トライバルタトゥーと呼ばれる、折り重なるように線が施されたタトゥーがあります。18世紀にキリストの宣教師に野蛮な行為として禁止されて以降は他のポリネシア諸国では衰退していきましたが、サモアでは今もその文化が残っています。
本来は儀式的な意味合いから人骨を針に使用して施術していましたが、現在は動物の骨を加工して針に使用しているそう。男性用は”ペア”女性用は”マル”と呼ばれる異なるデザインの組み合わせがあり、その独特の模様は芸術としても評価されていますね。
ハカダンス:ラグビーの国際試合でもお馴染み
ハカダンスとは、ニュージーランドの先住民族である、マオリ族が戦いの前に踊っていた伝統舞踊をルーツとするダンス。ニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」が試合前に行うことでお馴染みのハカダンスですが、同じマオリ族を祖先に持つサモアにも受け継がれています。
サモアのハカダンスは、ニュージーランドとは異なる独自のダンス。ラグビーの国際試合などで目にすることができるので、ぜひそれぞれの国ごとに違いを探してみるのも良いでしょう。
島の歌
皆さんは、「サモア島の歌」という歌を聞いたことはありますでしょうか? 1961年にNHKの「みんなのうた」で放送されたポリネシア民謡で、「青い青い空だよ〜」から始まる陽気な歌は日本の学生向けに合唱された曲としても知られています。
この曲はもともとサモアの小学校校長先生が運動会の為に作った曲で、この曲を聞いた日本人がメロディーを持ち借り日本語詞をつけた歌が起源と言われています。原曲の歌詞とは異なり、サモアでの知ったいる方もほとんどいませんが、巡り巡ってサモアの歌が日本に広まっていたストーリーは親近感を感じるポイントですね。
サモアの治安・物価情報
南国のサモアではフレンドリーな性格の人が多く、大きな犯罪はほとんどない治安の良い国と言えるでしょう。ただし物を”シェア”する感覚が強く、例えば靴などを店の玄関に放置していると、誰かが勝手に履いていってしまうことも珍しくありません。あくまで文化の違いによるものなので気にしなくても大丈夫ですが、貴重品の管理などはしっかり行うように心がけたいですね。
サモアの通貨単位はタラ(WST)で、1WST=40円前後です。タラは多くの施設で$で表記されているので、注意しましょう。
サモアのレストランでの外食がおよそ$7〜$10前後。バスは$1〜$2ほどです。日本での比較して、物価は安いと言えますね。
サモア観光のベストシーズンはいつ?
常夏のサモアは、年間を通してサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツを楽しむことができます。12月〜3月の夏の期間(南半球は季節が日本と真逆)は、北西の風が陸に向かって波を作り、サーフィンをするにはベストシーズンと言えるでしょう。
サモアの文化を体験するなら、9月がおすすめです。9月には「テウイラ祭り」というサモアの民族祭や、ミス・サモアの選考などのイベントが多いので、サモアの地元民に混じって体験してみるのも良いですね。
サモアの天気・気候・気温
サモア・ファレオロ国際空港からアピア市内への行き方
ファレオロ国際空港は、サモア・ウポル島の北海岸、首都アピアに位置するサモア最大の国際空港。ニュージーランドやフィジーからの国際便も運行しており、サモアの空の玄関口としての役割も担っています。
ファレオロ国際空港からアピア市内へはバスも運行していますが、国際線は早朝に到着する便が多いので、シャトルバスかタクシーを利用するのが一般的です。ファレオロ国際空港からアピア市内までの所要時間は50分程度で、料金はシャトルバスが$20,タクシーが$50程度です。タクシーではぼったくりの被害なども発生しているので、乗車前に料金を確認することをおすすめします。
http://blog.compathy.net/2016/11/10/samoa/

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旅人マリーシャの世界一周紀行:第124回「ガイコツだらけ! メキシコ『死者の日』の歴史が変わった瞬間に乾杯!」

2016-11-11 | 先住民族関連
ニフティニュース-2016年11月10日 15時00分

この日をどれだけ待ったことか。
世界一周中に行きたかったイベントのひとつ、メキシコ最大級の行事「死者の日」(Dia de Muertos)。
故人を偲(しの)ぶメキシコの伝統行事で、日本のお盆に近いと言われていますが、その内容は全く異質!
10月31日の前夜祭や11月1日(子供の魂が戻る日)、2日(大人の魂が戻る日)に向けて1週間ほど前から賑(にぎ)わっていると聞いていたので、この時期に照準を合わせ、私は首都メキシコシティーにやってきました。
メキシコでは3千年ほど前から祖先のガイコツを身近に飾る習慣があったそうで、この時期、街中はガイコツだらけ!
広場や公共施設にはマリーゴールドのお花や「死者のパン」などの食べ物、ガイコツのオブジェや砂糖菓子で飾られた祭壇が置かれ、ガイコツの仮装をした人々で賑わっている。
日本では「死」にまつわる行事は暗いイメージがあるけれど、それとは真逆でとにかく明るいメキシコ。ポップでキュートで楽しく歌って踊って騒いじゃう!というこの行事にいつか絶対参加したいと、ずーっと狙っていました。
そしてこのイベント、昨年公開された映画『007スペクター』のオープニングに登場し、日本でも話題となりました。
そのシーンは「死者の日」に行なわれる盛大なパレードにジェームズ・ボンドが潜り込んでいるというもので、衣装は華やかだしパレードは超豪華。各メディアでは「死者の日、完全再現!」などと言われてたから、「あのパレードが生で見れるんだ!」とすっごい期待していたんだけど…。
なんと! 実は映画はフィクションで、今までにそんな豪華なパレードは存在しなかったという事実が、行く直前に発覚しました!
「キャー!! マジ? じゃあ実際はもっと地味なのかしら。ううう…」
とショックを受けていた私ですが、それと同時に「映画きっかけで、今年は007風のパレードをやるらしいよ」との噂も浮上し出した。期待は高まるものの、前例がないだけに情報が全くない! その話が真実かどうか、日時も場所もわからず、旅人もお手上げ状態。
しかたない、情報は現地調達の「行けばわかるさスタイル」で、とりあえず街中を歩き回ることにした。
それにしても、メキシコシティーの人口の多さといったらヤバイ。週末の渋谷スクランブル交差点も顔負けの人口密度で、渋滞は当たり前。
そして「死者の日」直前の週末、土曜日の昼過ぎ。大通りはこれまた群集で埋め尽くされ、そこにはフェンスが設置されていた。「これはなんかあるぞ」と私は群集の中に座り込んだ。
何かが起こりそうなざわめきの中、本格的なガイコツの仮装をする人々が増えていき、中にはメイクではなく顔にガイコツのタトゥーが入っている本気モードの人もいる。
午後3時をとうに過ぎた頃だろうか、遠くからズンドコズンドコ地割れ音が響き渡ってくると、歓声が沸き上がった! テンポの速い派手なリズムとともにやってきたのは…。
パ、パ、パレードだー! 噂は本当だったんだ!!
先住民族の衣装をまとい、ガイコツに化けた人々が激しいダンスを踊りながら大通りを練り歩く。ガイコツになりきった表情や、観客を驚かしたり煽(あお)るパフォーマンスは大迫力で、クオリティーは高い!
そしてやってきました大きな骸骨の山車! こ、これは007で見たやつだーー!
小道具のいくつかは実際、映画に使われたものらしく、想像していたよりも派手なパレードに大歓喜!
パレードには50万ドル(約5200万円)を超す費用がかかっていて、数百人ものボランティアが参加。3.5kmの道のりを練り歩くパレードをひと目見ようと集まった観客は25万人との発表もあったほど、とにかくかなり多くの人…いや、ガイコツでビッシリ!
それにしても、メキシコ人はマナーが良い。これだけの人数なのに、押したりモメたりしている人たちはおらず、目の前のパレードをキラキラした目で見つめている。
それから屋外での飲酒が禁止されていて酔っ払いもいないので、とても整然とした様子。テキーラ飲んで「アミーゴ」とか言いながら適当にやってるイメージだったけど、そんな人はひとりもいない(今までそう思っててゴメンナサイ)。
男性はバスで席を譲ってくれたりドアも押さえてくれる紳士ばかりだし、セクシーな女性たちは目が合うとニコっと微笑みかけてくれる。
メキシコシティーは治安が悪いと聞いていたので警戒していたけど、優しい人たちばかりでかなり安全に過ごせました。
しかし、その裏側ではガイコツの顔をして誰が誰だかわからないことを利用したこんな犯罪も起きていたのです。
11月に入って「死者の日」本番が始まると、宝石店にゾンビやミイラの仮装をした5人組の強盗が入り、総額約760万円相当の宝飾品を奪って逃走したそう。彼らはゾンビやミイラの他にピエロ、ホラー映画『チャイルド・プレイ』に登場する殺人人形「チャッキー」などの仮装をし、武器で武装していたんだとか。
私はこのイベント中に何人ものチャッキー目撃した。犯人はまだ捕まっていないというが、もしかしたらその内の誰かが犯人…? キャーー!!
そんな怖いこともありますが、何はともあれこの007風パレードはメキシコの歴史に新たな風を吹き込んだのではないだろうか。
メキシコの伝統文化にインスパイアされた映画が世の中に衝撃を与え、こんどはその映画ににインスパイアされて伝統文化が生まれ変わるという…この歴史的瞬間に立ち会えた喜びに、テキーラで乾杯!
【This week’s BLUE】
子供の頃からガイコツに囲まれているメキシコ人は、ガイコツを描くのが上手!
●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
https://news.nifty.com/article/item/neta/12176-74978/

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フィリピン伝統文化の持つ可能性を世界へ!EDAYAが織りなすサスティナブルなビジネス

2016-11-11 | 先住民族関連
ドリームゲート-:2016年11月10日
執筆者:古田島 大介  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

フィリピン山岳地方の伝統文化継承のため、
現地技術者とともにEDAYAブランドを展開
展開している事業の内容・特徴
フィリピン北ルソン地方と聞いて、何かをイメージできる人は少ないのではないだろうか。ここは同国の山岳地方で、先住民族が暮らす地域である。かつて人々は、自給自足の暮らしを営み、例えば儀式では古来から伝わる竹楽器を奏でるなど、独自のカルチャーを紡いできた。一方で、北ルソンの中心都市バギオ市などでは、かつて企業が運営していた鉱山跡地で働く人が多く存在するなど、人々の暮らしは変わりつつある。
よって、この地域には彼らにしかできない技術、伝統的な文化が残されていたのだが、今の資本主義の世の中でそれらを残しつつ暮らしていくことは難しい。そんな状況を知ったEDAYA(エダヤ)創業者の山下彩香氏は、この素晴らしい技術をもっと広め、サスティナブルなビジネス展開ができないかを考えた。
知られざる北ルソン島の伝統文化を、ものづくりをとおして継承していきたい――そんな思いで山下氏は現地に幾度も足を運び、度重なるリサーチを重ねた。そして、2012年に現地アーティストたちが紡いできた伝統的クラフトマンシップの技が光るエシカルジュエリーブランド、EDAYAを立ち上げた。
現地の竹工芸家と組み、バンブージュエリーをオンラインストアや催事で販売。価格帯は、安いもので1万円程度から高いものでは12万円ほどだ。小ロットの希少な伝統工芸品で、一点物にふさわしい価格といえるだろう。主な顧客は、EDAYAのストーリーに共感してくれる感度の高い人々。持続可能な社会づくりに取り組みから生まれたプロダクトに送られる「ソーシャルプロダクツ・アワード」を受賞するなど、クオリティやその社会性が評価されている。
就職活動前のバックパック旅行で訪れた
フィリピン・北ルソンで衝撃を受ける
ビジネスアイディア発想のきっかけ
山下氏は東京大学および大学院で国際開発農学、人類生態学を専攻。起業のきっかけは、そろそろ就職活動を考えなければならない修士課程1年の頃だった。
「これまで海外の国々を何となくバックパッカーとして旅をしていましたが、就活を前にして初めて、真剣に自分の将来のテーマは何であるか、考えようと思ったのです。そして、以前から気になっていたフィリピンの劇団が行う活動に参加するため、現地を訪れました」
そこで山下氏は、バギオ現地の山岳民族が紡いできたアートや伝統的な音楽、工芸品に出合う。ここで見た光景に、頭から離れられないほどの衝撃を受けたという。それと同時に多くの山岳民族が伝統技術だけでは食べていくことができないため、鉱山労働に従事する日々を送っている現実を知ることになる。
「なぜか、そんな環境に置かれた人々の才能を非常にもったいなく感じて……。もっと彼らが自分たちらしく生き、マジョリティな社会との共生の中で活躍できるようなカルチャーづくりができないかと思ったのが、起業の理由です」
人は何がきっかけで新しい道を志すかわからないのが面白い。そんなふとした思いがきっかけで、起業を決断した山下氏は、現地の伝統技術継承を支援するために、ものづくりブランドEDAYAを立ち上げた。周りに声をかけ、思いに共感してもらった人々に立ち上げを手伝ってもらい、現在はインターンを雇うなどしてスタッフを確保している。
当然だが、ここまでくるには、いくつもの苦労があったという。当初は、雇用を生むことが一番大事だと考え、鉱山労働者を数名雇い、彼らが簡単につくれる商品を大量生産して販売するというスタイルでスタート。しかし、思うようには売れず、結果として多くの在庫が残った。また、伝統工芸品を大量生産すると、希少価値が損なわれるという現実にも直面。結果、雇った現地の人たちも辞めていく……。
「そこでビジネスとしての発想を180度転換。まずEDAYAのストーリーを知ってもらうことにこだわり、しっかりとした文脈を構築してお客さまにお伝えして、この商品はなぜこういう値段なのか、ものづくりのバックグラウンドに共感してもらう戦略に切り替えました。また、EDAYAブランド独自の展示会を開くなどして、実際にこの取り組みの裏にあるストーリーを知ってもらおうと。また、雇用を生むことを一番の目的とするのではなく、文化継承を一番の目的に据え、誰でもができるわけではない、難しい工芸技術を取り入れた作品を展開するようにしていきました」
それからは、イベントや展示を行うたび、徐々にEDAYAの認知度が上がっていった。また、クラウドファンディングでの資金調達にも成功。そして、各種のメディアに徐々に取り上げられ始めたあたりから、顧客がつき売り上げも安定し始めたのである。しかし、「まだEDAYAの取り組みは始まったばかりです」と山下氏。
「想像してください。今も北ルソンの山岳民族の農作業の様子は、日本のそれの60〜70年前の様子と似ています。私たち日本人は、そのころに文化継承なんて考えていましたか? つまり、EDAYAとしては無形文化の継承を後押ししたいけれど、一方の彼らの中にはそうは思っていない人も多いということ。価値観の押し付けではなく、双方が綿密に話し合う必要がまだまだあるのです」
今もなお、フィリピン・北ルソンに通い、常に調査やEDAYAメンバーとコアバリューについての話し合いを続ける山下氏。「ブランドの方向性や事業展開など、試行錯誤の連続です」。EDAYAの事業のほかに、国際開発のコンサルタントとしても活動している山下氏は、両活動のバランスをとりながら、様々なアイデアをかたちにしていく予定だという。
地域活性に貢献できる社会起業家を育て、
北ルソンに多くの人が注目する仕組みをつくる
将来の展望
「今後はEDAYAブランドで培った経験を生かし、次なるフェーズとして、北ルソンで社会起業家を増やす教育事業を構想しています」と山下氏。そして、現地でNPO法人を設立し、フィールドワークを継続しながら、次なるビジネス展開も模索している。
「EDAYAでの活動を通じて、文化とビジネスを共存させ、継続していくノウハウがたまってきました。次に考えるのは、北ルソン・山岳地方に残ってスモールビジネスをつくっていける人材の教育です。先述したとおり、私たちが考える伝統文化の継承と、北ルソンに住む山岳民族の人たちとの思いが4、5年続けていてもまだ相違する場面があります。そのことを頭に入れ、お互いにとって良好なことは何かと考えた時に、彼ら自らが社会起業家として自立する、地域活性化につながるアクションを起こすべきだと感じました」
つまり山下氏は、EDAYAのビジネスで得られたノウハウを現地の山岳民族の人たちに提供しながら、一つの産業を創出するムーブメントに変えていきたいのだ。その思いが実現すれば、きっとフィリピン・北ルソンにもっとたくさんの人が訪れ、地域全体の活性化に貢献できると山下氏は信じている。
「ゆくゆくは、学校もつくってみたいですね。スペインのバスク地方、サン・セバスチャンは、人口わずか18万人ほどのまちでありながら、世界有数の美食の町として知られ、世界中から人が集まります。そんなロールモデルを参考にしながら、将来的にはバギオからもっと魅力あるコンテンツを発信して、多くの人が集まるようにしたいと考えています」
年々消えゆく伝統文化に新たな価値を見出し、ビジネスの手法でバギオの復興に貢献する山下氏とEDAYAに今後も注目していきたい。
EDAYA ARTS CORDILLERA CORPORATION (フィリピン現地法人)
代表者:山下 彩香氏
設立:2012年7月
URL:http://edaya-arts.com/
スタッフ数:10名 (プロボノ含む)
事業内容:・フィリピン北ルソン地方の伝統的技術を生かしたステートメントジュエリーブランド「EDAYA」の運営
http://www.dreamgate.gr.jp/news/5114

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