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20年間の環境保護活動の後、政治汚職と闘う

2011-12-16 | 先住民族関連
swissinfo.ch 2011-12-15 15:00

ジェシカ・デイシー, swissinfo.ch
ブルーノ・マンサー基金(Bruno Manser Fund/BMF)がマレーシアのペナン族のために環境保護活動を開始してから20年。今後は現地の政治汚職問題に取り組んでいく。
ブルーノ・マンサー基金は先住民、ペナン族の代理として現在も活動を行っている数少ないマレーシア国外の組織。先住民は、ボルネオ島のサラワク州(Sarawak)にある、世界で最も多様な生物が生息する森林で生活している。
 近年、森林伐採や、油やし栽培林計画によってサラワク州の森林の3分の2が破壊された。現在、ブルーノ・マンサー基金は開発計画の背景にある政治汚職問題を採り上げている。
 バーゼルを拠点にしているブルーノ・マンサー基金は1990年12月7日に創立された。カリスマ性を備えたスイス人の活動家、ブルーノ・マンサー氏が11年前に始めた闘いを今も続けている。マンサー氏はペナン族と共に6年間生活し、森林伐採に平和的な方法で抵抗するために道路を封鎖した。
 基金を設立したマンサー氏は、2000年にマレーシアのサラワク州へ向かう途中に行方不明になった。2005年、バーゼル裁判所はマンサー氏の失踪を宣告した。
 ブルーノ・マンサー基金は、ほとんどの原生林は伐採されてしまったものの、過去20年間でペナン族の権利主張に関しては進歩を遂げたと報告する。「サラワク州のキャンペーンは上手くいっている。先住民がコミュニティを組織化したり、彼ら自身で正しい選択をしたりすることができるよう援助することで、森林伐採に抵抗し続けることができた。今では、先住民は自分たちの土地に対する権利を持つことを知っているし、暮らしに関する発言権を持つことも知っている」とブルーノ・マンサー基金の所長ルーカス・シュトラウマン氏は説明する。
 土地を測定したり、幼稚園などの教育施設や健康管理設備を設立したりするほかに、ブルーノ・マンサー基金は地方裁判所で先住民の土地の権利も主張している。また、先住民がヨーロッパの状況について知識が得られるよう支援も行っている。
 しかし、サラワク州の「独裁政権」による抵抗に遭い、明らかな変化を起こすには至っていないという。
収奪型の統治
 「我々が最も案じているのは、サラワク州で30年間、同じ政権が実権を握り、同じ一族がサラワク州と収奪型の統治を支配しているということだ」とシュトラウマン氏は語る。
 その問題となっている家族というのは、アブドゥル・タイブ・マハムッド州主席大臣の一族。シュトラウマン氏によると、タイブ・マハムッド州主席大臣は政治や経済、メディアをコントロールしている。財政と政策で実権を握っているのは、事実上アブドゥル・タイブ・マハムッド州主席大臣だ。
 ブルーノ・マンサー基金は定期的にホームページ上でサラワク州の汚職について報告している。2月にはタイブ州主席大臣と「ブラックリスト」に載せられている48社の企業に反対するオンラインキャンペーンが開始された。12月初旬、ブルーノ・マンサー基金はタイブ州主席大臣の親類と関係のあるマレーシアの企業332社を公表し、キャンペーンはさらに勢いを増した。タイブ州主席大臣の親類のほとんどが管理職か株主で、国外に拠点を置いている会社も101社に上る。
 ブルーノ・マンサー基金は企業の記録や登録から情報を収集し、資金が流出するパターンを割り出した。データを詳しく調べていくと、タイブ州主席大臣の4人の子どもが世界中の企業342社と関係があることが判明した。「これは本当に信じられないこと。要するに彼らは全サラワク州を牛耳っている」とシュトラウマン氏は語る。
 ブルーノ・マンサー基金は、タイブ家は外国に財産を隠していると断言する。不法に得た資産は現在、スイスとイギリスの銀行口座に振り込まれていると言う。
汚職根絶は可能か
 シュトラウマン氏は今こそ反対運動を拡大するべきだと語る。「ボルネオ島の環境破壊の根源の一つは汚職だが、ほかの国でも同じことが起こっている。環境や人権を保護する組織として幅広く活動することが重要だ」
 「環境保護活動開始から20年たった今も、地域で成果が現れていないのは、マレーシア政府やサラワク政府が汚職に手を染め、環境保護の提案に応じないからだ」とシュトラウマン氏は続ける。
 タイブ氏は賄賂で得た資金を外国に隠していることを否定している。また、森林伐採は土地開発のために行われていると主張する。シュトラウマン氏によると、マンサー氏は自らタイブ氏を相手に闘おうとしたが、あまりにも権力が強すぎて敵わない相手だと思い知らされたという。
NGOの役割
 ブルーノ・マンサー基金は2012年以降汚職反対のキャンペーンのほかに、サラワク州で計画されている12件のダムプロジェクトについて詳しく調査する予定だ。ダムの建設予定地になった村は水没し、壊滅する恐れがある。
 ブルーノ・マンサーさんが行方不明になってから10年後開かれた2010年の式典で、森林管理キャンペーン活動を行っているサスキア・オツィンガ氏はペナン族を援助する組織が少ないことを嘆いた。1980年代から1990年代にかけては多くの関心を得られたが、その後マレーシアのNGOが分裂し、ヨーロッパのNGOが誤った手段を取り、人権ではなく森林伐採に問題の焦点を当ててしまったためにペナン族の問題が忘れ去られてしまったとオツィンガ氏は言う。「サラワク州の問題は専門知識のない腐敗した政府が原因。ブルーノ・マンサー基金がキャンペーンにおいて政府の汚職問題に的を絞ることは賢明だ」
 「脅威にさらされている民族を守る協会(GfbV)」のスイス支部は、ブルーノ・マンサー基金のような組織は、影響力がなく存在を認められていない民族にとって「極めて重要」だと説明する。また、「ブルーノ・マンサーを亡くし、今や誰もペナン族の運命の行方を知らない。先住民の利益に反することになってしまうようなリスクを負わないよう、建設的なやり方で援助することが大切だ」と協会の理事長クリストフ・ヴィートマー氏は語る。
 ブルーノ・マンサー基金などの支援組織は国連でこの問題を採り上げるように働きかけ、サラワク州政府と関連企業に圧力を加え、合法的に裁判で先住民を弁護できるよう援助し、現地の社会経済のためにプロジェクトを行う上で重要な役割を担っている。
ジェシカ・デイシー, swissinfo.ch
(英語からの翻訳、白崎泰子)
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=31771618

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ディジュリドゥー奏者GOMAがアルバム

2011-12-16 | 先住民族関連
(2011年12月15日 読売新聞)

記憶欠落 体の感覚信じる
 オーストラリアの先住民の管楽器であるディジュリドゥー奏者のGOMA=写真=が、3人の打楽器奏者と組むバンド、GOMA&The Jungle Rhythm Sectionのアルバム「I Believed the Future.」(ワンダーグラウンド)を出した。
 GOMAは1998年にファーストアルバムを出し、順調に活動を続けてきたが、2009年11月に交通事故で高次脳機能障害を負った。懸命にリハビリを続け、今秋行った公演では、躍動感に満ちたステージで、GOMAも野太いディジュリドゥーの音を会場に響かせた。
 障害の影響で、記憶の多くが欠落した。長年吹いてきたディジュリドゥーを見ても、それが何であるか理解できなかったという。けれど「(演奏を)やっていると体が勝手に動くような感じ。頭を使って、考え出すと演奏が止まってしまう。体の感覚を信じると、できている」。
 公演のため、何度も何度も同じ演奏を繰り返し、周囲の音に反射的に対応できるまで練習した。苦労の連続だったが、音楽をやめる気にはならなかった。「娘にずっと、パパ、あれ(ディジュリドゥー)やらへんのやって、毎日のように言われて」
 CDには6月に音楽フェスティバルに出演した時のライブ音源も含まれている。「その時の自分の状態を記録しておきたかった。記憶があいまいになって消えていくので、そこまでの道のりを残せたのがうれしい」。24日には、LITTLE TEMPOとともに代官山UNITで公演する。(電)03・5459・8630。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/music/artist/20111215-OYT8T00651.htm

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東日本大震災:アイヌの歌手・熊谷さん寄付 CD売上金を震災遺児に /東京

2011-12-16 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2011年12月15日 地方版

 アイヌ民族のジャズ歌手、熊谷たみ子さん(59)=横浜市=が東日本大震災の犠牲者を悼み、有志で自主制作した支援CD「大地よ」の売上金の一部5万円と、熊谷さんの夫が勤める建設機械レンタル会社「エスシー・マシーナリ」(同市)の協力企業から寄せられた8万円の計13万円が14日、毎日新聞を通じて毎日希望奨学金に寄付された。
 CDは、アイヌ民族の宇梶静江さん(78)が詠んだ詩に曲をつけ、熊谷さんが日本語とアイヌ語で歌う「大地よ」などを収録。現在、がんと闘いながら歌手活動を続ける熊谷さんは「命の重みを日々、感じている。子どもたちの役に立てば」と話した。
 毎日希望奨学金は震災で保護者を亡くした高校生や大学生らを対象に給付している。【明珍美紀】
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20111215ddlk13040195000c.html

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