昨日のブログを書いていて、今まだ店に残っているスペイン ナバフン鉱山産の黄鉄鉱の貫入結晶を並べたくなりました。今日の写真はそれです。
4年前に店を始めた頃はもっと多くの貫入結晶があったのですが、お陰様というべきか、現在の在庫はこれだけとなっています。以前は一辺が7、8cmの立方体結晶が二つ貫入結晶しているものもありましたが、やはりそのようなものは早く売れてしまいました。どうしても、大きなもの、色形が美しいもの、珍しいもの、お値段以上にお得感があるもの、等々が人気があるようです。ただ、サイズの大きなものに関してだけは特例で、購入するには収納の問題があり、居住環境が大きく影響しているようです。
さて、写真のように二つの黄鉄鉱の立方体が貫入結晶しているものを並べて見ると、その貫入の仕方には秩序がないように思えます。これらは単なる貫入結晶であって、貫入双晶とはいえないようです。双晶とは2個以上の鉱物の結晶が、一定の角度で規則正しく結合しているものの事で、結晶学的な規則性をもって接合している必要性があります。そういう意味で、これらの黄鉄鉱は貫入双晶ではなく、貫入結晶と呼ぶべきものだと思います。ただ、貫入結晶にはランダムながらも偶然性の美が宿っているような気がします。鉱物の規則正しい実直な魅力と共に、その偶然性ともいえるそれらの個性もまた魅力的に思えます。そこには「一つとして同じものはない」魅力があるのです。これらは決して工業製品ではないのです。天然ならではの魅力があるのです。
私は工業製品が嫌いな訳ではありません。工業製品、特にプロダクト・デザインも好きな方で、工業製品を購入する時の基準はその性能や機能よりもそのデザイン性で選ぶ傾向があります。その必要性よりもデザインに魅かれて購入してしまう事もあります。自宅には使っていない照明機器がたくさんありますが、そのような状態は私の偏愛の現れかもしれません。
工業製品とはいえないものの、ルービック・キューブのような玩具にも興味はあります。その立体幾何学的な部分と、その変化を楽しめるところが魅力的なのです。ルービック・キューブの魅力は決してそれを元に戻すというパズルを解く事ではありません。そのような事は難解なだけで、それほど意味がある事とは思えません。むしろ、その形や色の変化を楽しむ事が重要なのです。ルービック・キューブにも様々な変種があって、現在では多種多様のバリエーションがあるようです。そうそう、何が言いたいのかと言うと、貫入結晶のようなものがあり、それが面白いのです。それらのその写真を出します。
上から2個、3個、4個が貫入結晶のように繋がっているルービック・キューブの変種です。どうでしょうか?これらに黄鉄鉱の貫入結晶との相似性を感じてしまうのは私だけでしょうか?