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鉱物の部屋へのいざない

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ペア

2014-12-22 14:26:35 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「ペア」です。「ペア」とは二つ一組のものの事です。今日はクリスマス直前なのですが、このブログではカップルの為のペアアクセサリーのような話題ではありません。

先日の池袋ショーの業者日に妻が仕入れてきたものの中にカナダ人のディーラーから仕入れてきたアンモライトがあります。アンモライトとはカナダ産のアンモナイトの化石の表面にある虹色に輝く宝石の事です。それは薄い層状のものですが、見る角度によって赤や緑に、青や紫にカラーチェンジする非常に魅力的な石です。それなりに高価なものですが、当店では比較的安価に売っている為、いつも早く売れてしまう人気の高い売れ筋です。今回の仕入れでは化石としてのアンモライトではなく、その表面を樹脂加工してある宝飾仕様のルースが主でした。アンモライトの魅力は何と言ってもその美しい色にあるようで、特に青色系が人気があるという事で、そのようなものをメインに選んできてもらいました。

下の写真は今回仕入れてきたアンモライトの欠片です。実は左右の二つの欠片は「ペア」になっております。そして、その「ペア」とは一枚の頁岩を剥がしたものでした。私はこれまでは分離したアンモライトしか見た事がなかったので、正直、そのような産状で出てくるものとは知りませんでした。




実はこの「ペア」は「ペア」として売られていたものではありません。今回、妻はランダムに置かれていたものの中から青色系のアンモライトを幾つか選んで来たのであって、本人もこの「ペア」が「ペア」だったとは知りませんでした。

この二つが「ペア」だったと見抜いたのは、このところほとんど毎日ご来店される常連客のKさんです。Kさんは今回仕入れの複数のアンモライトを見ていたところ、この二つの欠片が何となく似ている事に気づき、最初は平面的に左右や上下に合わせてみましたが、何となく、しっくりこない、という事で、二つを重ね合わせてみました。すると、何と!その二つはぴったりと重ね合ったのです。「ユリイカ!」という瞬間でした。その事実を知った妻も私もビックリでした。特に妻の方はそれらを意識することなく選んで来たので、驚きはより一層でした。私もその偶然性に驚きました。我々はこの「ペア」を奇跡の「ペア」として店の前のショーケースに置き直しました。

今回もそうでしたが、店をやっていると、お客さんから新しい事実を教わる事が多いと思います。ありがたい事だと思います。

このような「ペア」になっているものを探してみると、「石の華」の店内には幾つもありました。






上の写真は黄鉄鉱化したアンモナイトの化石です。このアンモナイトのペアは最初からペアで購入しておりましたので、それほど感動はしなかったのですが、両方とも黄鉄鉱化している事に魅力を感じております。






上の写真はモロッコ産の水晶の晶洞(Geode)です。この「ペア」はひとつの球状の石を二つに割ったものであり、「ペア」というよりも水晶洞窟を想わせる内部の景色が魅力的だと思います。写真のものは拳大よりも少し小さいサイズなのですが、現在店にはバスケットボール大の「ペア」もあります。それらの内部には純白の雪と氷のような別世界があります。石の中の別世界の景色を見ながら夢想にふけるのも乙なものだと思います。







最後に石ではないのですが、上の写真は近所の桐工芸の店で買った丸い香合です。金沢は伝統工芸が盛んな街なので、このようなちょっとした小物工芸品をよく見かけます。私はお店を始める前の暇だった頃、近所を散歩していて、このようなちょっと気になる小物をよく衝動買いしていました。この気になる黒い球体も同じひとつの桐の木からつくられており、木目がきっちりと合わせられます。貝合わせではありませんが、この種の工芸品はやはり「ペア」でなければならないと思います。共木の合わせ蓋になってないものの価値は半減します。

「ペア」とは「ペア」でなければならない貴重なものだと思います。





コメント
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