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鉱物の部屋へのいざない

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化石の美2

2013-12-17 14:37:15 | インポート

今日は「化石の美2」です。昨日の続きです。

「化石の美」は生物が石になってしまった事そのものにあります。それは形や色や模様に現れ、その保存状態が美しさを保っていると言えます。

思うに、宇宙の中で生命が存在する確率は非常に低いと思われます。幸い地球には生命がおり、過去には何度かの大絶滅もありましたが、それらの生物は化石として残っております。それらは地球の歴史を記録している貴重な存在でもあります。人は化石から多くの情報を読み解き、地球史を紐解いて来ました。化石の魅力はその存在そのものとその美にあるのだろうと思います。

実は、私は鉱物と化石のどちらが好きかと言うと、今は鉱物の方です。同じ石好きでも鉱物派と化石派に分かれる傾向があるように思います。一般的に小さい頃は化石から始まり、徐々に鉱物の方に移っていくような傾向があるように思います。もちろん、一生、化石派の方もいらっしゃると思います。逆に、一生、鉱物派の方もいらっしゃると思います。人の価値観は多様です。

以前、あるお客さんから鉱物と化石を天秤にかけるとすると、やはり化石を選ぶ、というような話がありました。それはどうしてかと言うと、鉱物はたくさんあり、これからも生成する事があり得ることですが、化石は過去のもので、もう二度とできないものだとすると、どうしても化石の方を選ぶ、というような話でした。確かに化石の希少性は鉱物の比ではありません。宇宙規模で考えるという思考実験をするとすぐ分かります。例えば、他の惑星の事を考えると、地球のような岩石型の惑星であれば、鉱物は普通に存在するとは思いますが、化石はその存在の前に生物そのものの存在可能性が非常に低いのです。そのように考えると化石は鉱物よりも桁違いに希少だと言えます。さらに生物が運良く化石化し、また、それが発見される確率は奇跡的な事のように思えます。

そのように考えると化石は奇跡の惑星である地球が造り出したもので、その存在は非常に貴重なものなのです。そのような事を考えると、美しい化石の価値はお値段以上のものかも知れません。「化石の美」は非常に貴重なものなのです。

Photo
Rainbow Ridege Nevada U.S.A. 木化オパール(Wood Opal)

上の写真は木の化石である木化オパールです。非常に美しい「化石の美」の代表格だと思います。

先日、千葉の加奈子先生がいらっしゃった時にこの木化オパールを見せたところ、「私もオパールの化石になりたい。」とおっしゃった事を思い出しました。その言葉は強烈に響きました。私には自分がオパールの化石になりたいという思考はありませんでした。鉱物も化石も客観的な対象物として眺めるものとしての存在としか思っていなかったので、その言葉にはカルチャーショックに近い印象を受けました。それは女性ならではの発想だったのでしょうか?お化粧する事の延長線上にそのように美しくなりたい、というような想いがあるのでしょうか?自らがオパールの化石になってもその姿を見る事はできません。その言葉には深い意味がありそうです。その会話の際、私は貝オパールや「オパール物語」というガイドブックに載っているオパール化した恐竜の骨の化石を見せました。それらは究極の「化石の美」かも知れません。

そうそう、オパールは鉱物の一種です。オパール化した化石は鉱物であって同時に化石です。その場合、鉱物か?化石化?という二者択一は無意味です。

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上の二つのアンモナイトの化石は黄鉄鉱の標本でもあります。それらは鉱物であって同時に化石です。このような標本を見ると鉱物か?化石か?という問題は意味を成しません。それぞれに鉱物の美と化石の美を兼ね備えています。

鉱物の黄鉄鉱化には生物のバクテリアが関与しているという話もあり、鉱物か?化石か?という問題よりも鉱物と生物の共存と生命の起源の問題にもつながっていきます。

「化石の美」の事を考えていると、その貴重さとその本質的な鉱物と生物の繋がりの事を再認識してしまいました。

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化石の美1

2013-12-16 10:30:50 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「化石の美1」です。

昨日、予備校に通っているN君がいらっしゃいました。N君は今年になってから何度か来店しています。彼は大学の地学系の理学部を目指している石好きの受験生です。私ももし再度大学を選べたなら鉱物を研究できるところを選びたいと思うくらいで、若いN君がうらやましいと思います。N君は研究者になりたいそうです。これからのN君を応援したいと思います。

そのN君、お取り置きしていたアンモナイトを取りに来られました。お取り置きは「大学に合格するまで良いですよ。」と言っていましたが、待ちきれなかったようです。(ひとつ、とっておきのものを合格祝いを兼ねて取り置きしております。)

Photo
アメリカ サウスダコダ州 メーダ郡 産 ジェレッツキテス・ノドサス ミクロコンク カンパニアン期

Photo_2
ロシア コストロマ 産 クラスペディテス ジュラ期

上の写真がN君のアンモナイトです。

Nさんは図書館で借りた「アンモナイト」(2009年 アンモナイト研究所発行)を読んでおり、その本に同じものが載っている事を知っており、その現物を見てしまった事で、所有したいと思ってしまったようです。

アンモナイトに限らず化石でも鉱物でも、その石の事を知ると、所有願望が出てくるものです。その存在を知らないと所有欲は生じません。知は所有欲を刺激するようです。そういう意味で石のコレクションは知的な趣味だと思います。

N君のアンモナイトを見ていると、それらの美しさに気づきました。そして、思いました。

「化石の美」とは何でしょうか?

化石は元は生物でした。まず、その生物そのものが美しくなければなりません。その美しさは形態にあります。例えば、アンモナイトの対数螺旋を思わす形には秩序だった美しさがあります。そうそう、宇宙を意味するコスモスは秩序という意味もあります。宇宙も地球もそして秩序も美しいものです。広大な宇宙の中で奇跡的に生物が存在する地球、その地球が造ったともいえる化石には秩序だった美しさがあります。

化石の形態に関してはアンモナイトに限らず、三葉虫や貝類等、その元の生物に起因する形態美があります。例え、それが泥岩や頁岩であったとしても、その化石ならではの形態美があると思います。動物や植物に限らず、生物の形態も美しさに満ちています。

化石の色や模様に関しては、特にアンモナイトには化石になる事によって与えられた色や模様の美しさがあります。宝石としてのアンモライトには美しい虹色の輝きがありますし、メノウ化したりオパール化して虹色に輝くものや、黄鉄鉱化して金色に輝くもの、金属的な虹色に輝くもの、等々、アンモナイトの色のバリエーションはコレクション欲をそそるものがあると思います。さらに縫合線の模様にはフラクタルな美も潜んでいます。アンモナイトには示準化石としての地質学的な意義のみならず、その美しさには美術品的な価値も持っていると言えます。

「化石の美」を考えると、もうひとつ重要な事はその保存状態だと思います。生物がその形を保ったまま化石になる事自体が奇跡的な偶然のたまものです。ただし、石になる事によって、変形したり、欠けたりして元の形態を保ったまま存在し続ける確率は非常に低いと思われます。そんな中、極希にその生物が生存していた時を思わせる化石が存在します。以前、カタツムリの化石があって、その化石には生きているカタツムリの柔らかい身の質感が残っているようで、さらにゆっくりとした動きまでも感じられるような化石だったと思います。そのような保存状態の良い化石には「化石の美」が宿っているように思われます。それは既に売れてしまって現在お店にはありませんが画像が残っています。

Dscn3276
?カタツムリの化石

先のアンモナイトの化石にも生前の様子を思わせる質感が感じられます。化石の保存状態にはその生物の生存中の様子の情報が宿っています。そして、そのような保存状態の良い化石には生物ならではの美と「化石の美」が共存しているのだろうと思います。

「化石の美」は続きます。

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ゼロ・グラビティ

2013-12-14 12:39:04 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「ゼロ・グラビティ」です。

昨日、近所の映画館で「ゼロ・グラビティ」(2013年 アメリカ アルフォンソ・キュアロン監督)を見て来ました。先日のこのブログ「重力」の話題で書いた映画です。ロードショー初日の初回の割に平日のせいか?観客は私を含めて6人しかおりませんでした。私は学生時代にカルト系の映画をよく見ていましたので、観客が少ないのには慣れておりましたが、アカデミー賞有力作品とされる映画でもこんな状況なのか!と多少驚きました。本当に金沢は文化都市なの?と思わざるを得ませんでした。

映画そのものにはやはり感動しました。見ていた時は疑似体験の無重力感を感じていましたし、見終わってもしばらくの間、ドキドキ感が残っておりました。それはまるでジェットコースターに乗っている時のような無重力感と重力感に近い感覚だったかも知れません。無重力を体験できるような3D映画の誕生だと思いました。

映画を見終わった後、どうやって撮影したのかが気になりパンフレットを購入しました。パンフレットには映像ジャーナリスト大口孝之さんの解説があり、その中で南カルフォルニア大学のポール・デベヴェック氏の名前があり、「やはり!」と思ってしまいました。ポール・デベヴェック氏はCGの第一人者であり、私は彼のCG作品には学生時代の作品以来、ずっと注目を続けていました。今回は「ライトステージ」という装置を発展させた「ライトボックス」という装置が開発されたそうです。また、ワイヤーワークやモーションコントロール撮影システムも最新技術を導入しており、そういう撮影技術の面でも映画史に残る金字塔となりうる映画だと思いました。

このような映画は大画面・3Dで見る事をお勧めします。

そうそう、来年3月にグランドオープンする「サイエンスヒルズこまつ」の立体視型全天周3Dシアターでこの「ゼロ・グラビティ」を見てみたいと思ってしまいました。そこで見る「ゼロ・グラビティ」の迫力は普通の映画館では体験出来ないような映像体験ができるような気がします。

映画の撮影技術の進化と最新の上映システムはこれまでとは違った異次元の映像体験を可能にする事ができます。無重力映画の誕生は宇宙時代に相応しい現象だと思いました。

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石の話題

2013-12-11 14:51:33 | 日記・エッセイ・コラム

ここ数日、ブログ更新をお休みしました。それは休んでいた訳ではなく、お店「石の華」の方は今月は30日まで無休です。ブログ更新よりも仕入品の整理や接客の方が優先度が高かったのです。

ここ数日の間にも様々な事がありました。今日は溜まってしまった「石の話題」を簡単に書いてしまいます。

まず、最初は市川鉱物研究室顕彰会から入ってきた情報です。それは発刊が遅れている「市川新松研究室収蔵標本図録」の情報です。どうも年末発刊予定だったものが、再延期し、来年2月末になる見込みで、それも若干遅れる可能性もあるという情報です。それは待ち遠しい図録なのですが、ここまで来たら、じっくりとしっかりした図録になる事を期待したいと思います。そうそう、この図録はこちらでまとめて申し込もうと思っております。当店にご来店可能で希望される方がいらっしゃいましたら、お申し出て下さい。発刊時にまとめて申し込みたいと思っております。

以前、福井市美術館の企画展(「小林健二展」)の図録を申し込んだところ、図録完成が大幅に遅れて企画展の2年後になった事がありました。図録とは遅れるものなのかも知れません。

それから、もうひとつ福井の情報です。おすすめの「魅せられて」という河合さんのブログにも載っておりましたが、「こども歴史文化館」で「人と石のワンダーランド」という特集展示があるようです。興味深いのは12月21日(土)のフォッサマグナニュージアムの宮島宏さん講師「ふしぎな石とあそぼう」というイベントです。あのヒスイ原石「翠の雫」の展示もあるようです。ご興味のある方は是非どうぞ。

それから、ここ数日で面白かった事をひとつ。それは先日のブログ「干支の勾玉」のOさんがテレビ石を碁石状に加工した件です。その写真は出せませんが、碁石状に造られたテレビ石は側面にはキャッツアイ効果が見られ、上下の面ではテレビ石特有の下の絵が浮き出したように見える効果が現れる、というものです。これまでに球状に加工されたテレビ石の存在は知ってはいましたが、碁石状のテレビ石の面白さは格別です。良く知られた石でも加工次第でその魅力を最大限に引き出せる事を再認識しました。Oさんはアンモナイトの勾玉加工といいテレビ石の碁石状加工といい、石の魅力を引き出す天才です。これからも面白いものが出て来そうで今後が楽しみです。

ここ数日、いろんな事がありましたし、これからもまだまだ面白い事が起きそうです。石の話題は尽きません。

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海外のミネラルショー

2013-12-07 14:31:58 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「海外のミネラルショー」です。

今、ちょうど国内最大のミネラルショーである東京ミネラルショー(池袋ショー)が開催中ですが、今年は私は行きません。代わりに妻が行ってきました。鉱物にそれほど興味のなかった妻が代わりに行ってくれてうれしく思っています。

さて、今日は「海外のミネラルショー」です。昨日の夕方、予期せず、千葉の加奈子先生がいらっしゃいました。そして、興味深い旅行の案内状を頂きました。それは来年のフランス「サン・マリー・オ・ミン」ショー見学とドイツ鉱物産地訪問の旅という贅沢な旅行企画です。

サン・マリー・オ・ミン・ショーはミュンヘンショーと並ぶヨーロッパ最大のミネラルショーです。有名なアメリカのツーソンショーと共に3大ミネラルショーのひとつになっています。「海外のミネラルショー」は日本のミネラルショーと比べて質・量ともに桁違いだと聞いていますが、残念ながら、私は行った事がありません。

私は鉱物の店を持つ前は広告会社のサラリーマンでしたので、まとまった休暇がなかなか取れず、「海外のミネラルショー」には行けませんでした。そして今、ミネラルショップをやってはいるのですが、ビルのテナントとして入っている関係で思いのまま店を閉める事はできません。

今回の旅行企画にはミネラルショー見学以外に多くの有名産地での鉱物採集も予定されており、非常に密度の濃い日程になっております。その日程の中には憧れのイダー・オーバーシュタイン観光も入っており、心が揺れ動きました。思わず、お店をやめればいけるかも知れない、と思ってしまいました。

思えば、魅力的な鉱物関連の旅行企画は過去にもありました。メキシコのナイカ鉱山への旅の企画もそうでした。ただし、行きたくてもそれほど簡単には行けない現実があります。実際に行ける人達をうらやましく思います。

「海外のミネラルショー」に限らず、世界の絶景を見に行ける機会も少ないでしょう。そのような旅行企画に参加できるのはお金と時間に恵まれた境遇の人だけに限られます。うらやましい限りです。

今回の旅行企画には私は参加できません。

私にもいつかはチャンスが来るのでしょうか?現実的には難しいと思います。とりあえず、また、宝くじでも買ってみましょうか。

そうそう、今回の旅行企画にご興味のある方は、直接、下記にお問い合わせ下さい。

メールアドレスだけ書いておきます。

問合せ先:寺島靖夫さん 
       メール:terashiman@xc5.so-net.ne.jp

募集人数は20名だそうです。

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