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鉱物の部屋へのいざない

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化石の美1

2013-12-16 10:30:50 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「化石の美1」です。

昨日、予備校に通っているN君がいらっしゃいました。N君は今年になってから何度か来店しています。彼は大学の地学系の理学部を目指している石好きの受験生です。私ももし再度大学を選べたなら鉱物を研究できるところを選びたいと思うくらいで、若いN君がうらやましいと思います。N君は研究者になりたいそうです。これからのN君を応援したいと思います。

そのN君、お取り置きしていたアンモナイトを取りに来られました。お取り置きは「大学に合格するまで良いですよ。」と言っていましたが、待ちきれなかったようです。(ひとつ、とっておきのものを合格祝いを兼ねて取り置きしております。)

Photo
アメリカ サウスダコダ州 メーダ郡 産 ジェレッツキテス・ノドサス ミクロコンク カンパニアン期

Photo_2
ロシア コストロマ 産 クラスペディテス ジュラ期

上の写真がN君のアンモナイトです。

Nさんは図書館で借りた「アンモナイト」(2009年 アンモナイト研究所発行)を読んでおり、その本に同じものが載っている事を知っており、その現物を見てしまった事で、所有したいと思ってしまったようです。

アンモナイトに限らず化石でも鉱物でも、その石の事を知ると、所有願望が出てくるものです。その存在を知らないと所有欲は生じません。知は所有欲を刺激するようです。そういう意味で石のコレクションは知的な趣味だと思います。

N君のアンモナイトを見ていると、それらの美しさに気づきました。そして、思いました。

「化石の美」とは何でしょうか?

化石は元は生物でした。まず、その生物そのものが美しくなければなりません。その美しさは形態にあります。例えば、アンモナイトの対数螺旋を思わす形には秩序だった美しさがあります。そうそう、宇宙を意味するコスモスは秩序という意味もあります。宇宙も地球もそして秩序も美しいものです。広大な宇宙の中で奇跡的に生物が存在する地球、その地球が造ったともいえる化石には秩序だった美しさがあります。

化石の形態に関してはアンモナイトに限らず、三葉虫や貝類等、その元の生物に起因する形態美があります。例え、それが泥岩や頁岩であったとしても、その化石ならではの形態美があると思います。動物や植物に限らず、生物の形態も美しさに満ちています。

化石の色や模様に関しては、特にアンモナイトには化石になる事によって与えられた色や模様の美しさがあります。宝石としてのアンモライトには美しい虹色の輝きがありますし、メノウ化したりオパール化して虹色に輝くものや、黄鉄鉱化して金色に輝くもの、金属的な虹色に輝くもの、等々、アンモナイトの色のバリエーションはコレクション欲をそそるものがあると思います。さらに縫合線の模様にはフラクタルな美も潜んでいます。アンモナイトには示準化石としての地質学的な意義のみならず、その美しさには美術品的な価値も持っていると言えます。

「化石の美」を考えると、もうひとつ重要な事はその保存状態だと思います。生物がその形を保ったまま化石になる事自体が奇跡的な偶然のたまものです。ただし、石になる事によって、変形したり、欠けたりして元の形態を保ったまま存在し続ける確率は非常に低いと思われます。そんな中、極希にその生物が生存していた時を思わせる化石が存在します。以前、カタツムリの化石があって、その化石には生きているカタツムリの柔らかい身の質感が残っているようで、さらにゆっくりとした動きまでも感じられるような化石だったと思います。そのような保存状態の良い化石には「化石の美」が宿っているように思われます。それは既に売れてしまって現在お店にはありませんが画像が残っています。

Dscn3276
?カタツムリの化石

先のアンモナイトの化石にも生前の様子を思わせる質感が感じられます。化石の保存状態にはその生物の生存中の様子の情報が宿っています。そして、そのような保存状態の良い化石には生物ならではの美と「化石の美」が共存しているのだろうと思います。

「化石の美」は続きます。

コメント (1)
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