黄銅鉱

この写真は産地不明の巨大な黄銅鉱です。黄銅鉱は思い出深い鉱物です。私の鉱物趣味の原点は石川県小松市の尾小屋鉱山の黄銅鉱かも知れません。私が小学校４年生だった頃、尾小屋鉱山はまだ稼働しておりました。当時、尾小屋鉱山に行った時に道端で小さな黄銅鉱の欠片を拾いました。金色に輝く結晶を見て、小学生の私は金を拾ったと思いました。非常にうれしかったです。後日、それは黄銅鉱だったと分かったのですが、その幼児体験は鮮明ではっきり覚えております。他には同じ頃、遊泉寺で薄紫色の水晶を拾った事も貴重な体験です。そのような幼児体験を経験した人は石好きになっている可能性が高いと思います。

黄銅鉱のきれいな結晶には特別な思いがあります。もし写真の黄銅鉱が尾小屋鉱山のものであったならば、非売品になっていたと思います。残念ながら、この標本にはラベルがなく産地ははっきりしません。結晶成長の仕組みと環境による形態の変化の法則がしっかり解明できる頃には標本からの情報だけで産地も分かるような時代がいつか来るかもしれませんが、現在は標本のラベル情報に頼るしかないのです。