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鉱物の部屋へのいざない

仮晶2

2012-12-20 11:51:32 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「仮晶2」です。

ある鉱物がその外形を保ったまま他の鉱物に置き換わったものを仮晶といいますが、仮晶にもいくつかのタイプがあります。

ひとつは化学反応により異なる化学組成の鉱物に変化した置換仮晶です。

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アメリカ産 黄鉄鉱後の針鉄鉱

これは黄鉄鉱らしいキューブ状の結晶が酸化して針鉄鉱に置換しております。日本の武石や升石も同じ黄鉄鉱仮晶です。

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栃木県日光市足尾町庚申川 産 桜石(Cerasite)

これは桜石です。有名な京都府亀岡市桜天神の桜石ではありませんが、これも桜石です。桜石も良く知られているように雲母と緑泥石の混合物で菫青石仮晶です。母岩はホルンフェルスという変成岩の一種であり、堆積岩がマグマに接触する事による変成作用で出来たとされています。

これらの置換仮晶とは別タイプの仮晶もあります。

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宮城県仙台市青葉区郷六 産 高温石英(High Quartz)

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愛媛県上浮穴郡久万高原町千本峠 産 高温石英(High Quartz)

上の二つは相変化により鉱物種が変化したパラモルフ(Paramorph,Allomorph)というタイプです。高温石英後の石英になっております。水晶に代表される石英は二酸化珪素という化学組成で構成された鉱物ですが、温度と圧力の変化にともない幾つか(8形態の結晶構造があるらしい)の多形があります。高温石英は577℃(573℃?)以上の高温状態で成長した石英です。577℃(573℃?)以下では普通の石英に戻ってしまうので上の標本は高温石英の仮晶です。それは柱面の無いソロバン玉(六角錐を二つ重ねた形)の形を残したまま低温石英になっています。面白いのは紫色のものもある事です。仮晶のアメシストと言えると思います。

仮晶の面白さは変化にあります。鉱物といえども、その姿は永遠の姿ではありません。

「万物は流転する。」古代ギリシアのヘラクレイトスの言葉を思い出します。

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