ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

電気石1

2012-07-25 12:43:15 | 日記・エッセイ・コラム

今日からは電気石について書きます。

電気石はホウ素を主要構成元素とする珪酸塩鉱物のグループ名で、13種類程度の鉱物に分かれています。その名前は電気的な性質(圧電効果、焦電効果)があることに由来しています。東京浅草の神谷バーの電気ブランの電気は明治時代のハイカラな飲み物という当時の最先端という接頭語的な意味の「電気・・・」でしたが、電気石の電気はそうではなく、まさしく電気に由来しています。ただし、電気的な性質があると言っても、マイナスイオンを発生させるとか有害な電磁波を吸い取る等、身体に良いという効能は過大に期待してはいけません。

電気石は宝石名のトルマリンの方が一般的かも知れません。宝石としてのトルマリンは色によって、黒(ショール)、赤(ルベライト)、青(インディコライト)、2つの色が混在(バイカラー)等の名前がついています。ただしこういった名前はまぎらわしいので、イエロートルマリンというふうにトルマリンの前に色をつけて呼ぶ方が無難です。

さて、今日は鉄電気石(ブラックトルマリン)です。

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ブラジル ミナスジェライル州 産の鉄電気石(Schorl)

黒い鉄電気石は電気石の中でも最も産出量が多い種です。この鉄電気石の特徴は細い針状結晶の放射状集合体で、それらが入り組んでいるところが魅力的です。

Dscf0745_2
ブラジル ミナスジェライス州 産 鉄電気石(Schorl)

この標本は一見、斧石に見えてしまうほどの複雑なガラス光沢の柱状結晶の集合体です。それは鉱物的な微細な無数の結晶体の集合体で、鉱物の本来的な姿をしていると思います。鉱物の本来的な姿とは人工的に造られたものではないという印象を与えてくれる事です。

Dscf0753

ブラジル ミナスジェライス州 産 鉄電気石(Schorl)

この標本は写真ではちょっと分かりにくいのですが、無数の黒い柱状結晶が縦方向に並びながら途中切れていながらも全体として構造を保っているかのような印象を受けます。この標本から受ける印象は鉱物本来のイメージよりも、新鋭建築家の集合住宅の模型のようなイメージがあります。自然の鉱物結晶でありながら人工的な建築物のようにも見えてしまうところが面白いところです。

Dscf0751_2

ブラジル ミナスジェライス州 産 鉄電気石(Schorl)

上の標本に比べるとこちらの標本は柱状結晶がランダムにばらついてくっついています。こちらの結晶から受ける印象は鉱物本来の姿です。人工的なものには何かしらの意図的な秩序がともないますが、これくらいにランダムなものには自然なものとして映ってしまいます。秩序がない事が普通の自然な現象なのです。

人工的なものと自然のものとの違いの原点は「秩序」にあるのかも知れません。





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