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鉱物の部屋へのいざない

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洞窟5

2018-05-22 16:01:11 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「洞窟5」です。「洞窟4」(2017.02.17)で書いた待望の洞窟写真集「CAVE EXPLORER」(風濤社)が出ました。早速、購入して見ました。・・・。

ところが、何かが違って、それほど面白くないのです。期待が大きかった分、少しガッカリしております。それはどうしてでしょうか?洞窟好きの私なりに少しだけ考えてみました。

まず、「洞窟ばか」(扶桑社)が面白かっただけに、その落差が大きかったのだろうと思います。それから、その写真集の写真は既に見た事のあるものだったからです。(雑誌「Newton」2018年6月号に同じ写真が数点載っておりました。)また、せっかくの大型本なのに中綴じ見開きでは写真の魅力が半減しました。

恐らく、一般の読者には、吉田勝次さんが思っているほど、その感動が伝わっていないような気がします。変な言い方かもしれませんが、それは他人の旅行写真があまり面白くないのと同じようなもので、同じ時空にいなかった人には伝わりにくいからなのだろうと思います。逆に言うと、同じ現場にいた仲間達には強烈な感動があると思います。それは一種の戦友とも言うべき関係で、同じ体験をして同じような感動を共有した者にしか伝わらないような事なのだろうと思います。ただ、それは当事者だけの自己満足に過ぎない、とも言えます。

そのリアルな洞窟からの感動を、それがどれほど凄かったのかを伝える事は非常に難しい事です。それは撮影テクニックやカメラや照明などの機材の問題でもないはずです。

それから、もしかすると、吉田さんはTVや雑誌等に出過ぎで、有名人になってしまっている事も影響しているのかもしれません。私は無名を好みます。

そんなような事を考えている、そんな中、とんでもないTVの洞窟番組を見ました。

それはNHK-BSプレミアム「体感!グレートネイチャー 大地が語る!地球最古の記憶~南アフリカ~」です。この番組では太古からの地球史の出来事とダイヤモンドや金の産出の関係が語られたり、アフリカ大陸最長のダイナミックな滝が見せる朝日でオレンジ色に染まる一瞬の絶景があったり、コマチアイトの露頭が出てきたり、フレデフォート衝突構造のシュードタキライトが出てきたり、隕石衝突によるインパクトメルトが出てきたり、他にも見どころ満載でした。そして、何と言っても圧巻はその名もアルマゲドン洞窟でした。それは石灰岩の鍾乳洞や火山の溶岩洞窟とはまた別のタイプの洞窟で、隕石衝突による断層構造洞窟でした。そこでは、お馴染みの霰石の結晶も見事でしたが、それよりも虹色に輝くマンガンの鍾乳石や銅とコバルトの成分で緑と青に透けるバイカラー鍾乳石も美しい自然の造形でした。そして、洞窟の最奥部に存在する酸化鉄で出来ている特異な形状の鍾乳石(ラプンツェルのドレッドヘアーと呼ばれている)は世界中でそこにしかない初めて見るものでした。詳しい成因はまだ謎だと言っておりましたが、滴った鉄の成分がドレッドヘアーのように積もり固まって出来た造形のように思えました。それが約20mもの長さになっているのです。悠久の地球史的時間を感じざるを得ません。また、それの発見はまだ数年前で、そこに辿り着いたのはまだ12人しかいないと言っておりました。そんな所へ若い女性ディレクターが取材で行ったという事、また、それが世界初放送であったという事、等々、驚きの連続でした。

最後にそのラプンツェルのドレッドヘアーと呼ばれていた鍾乳石に似た雰囲気のものの写真です。



これは、店に置いてある「銅滴」(住友金属鉱山 別子事業所が製造したもの)です。銅鉱石を鎔鉱炉で精錬した際に出来る粗銅の滴が積み重なったものです。何となく似ているような気がします。


コメント
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