ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【10月も毎週日曜日は休業します。】【10月19日(土)は店主は終日不在です。店は通常通り営業します。】

氷裂文茶碗

2017-12-01 13:56:21 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「氷裂文茶碗」です。



上の写真は先日、金沢の茫茫屋で行われていた「今泉 毅 陶展」で購入した氷裂文茶碗です。

私はこの茶碗を見た瞬間に見入ってしまいました。それはその氷裂文が花のように見えてしまったからです。思わず「石の華!」と心の中で叫びました。

それは店の名前「石の華」にも通じる事もあって、それを無性に欲しくなってしまいましたが、その日は諦めて、その日は同じ作家の別の貫入装飾のお皿を1枚だけ購入しました。

実は、どうして「今泉 毅 陶展」に行ったかと言うと、「炎芸術」(2017 秋)という雑誌の特集が「現代の天目」となっており、その特集に今泉 毅さんの作品も載っていたからです。それを直に見たいと思い、天気の良かった日に普段あまり乗っていない電動自転車で初めて茫茫屋に行きました。雑誌に載っていた窯変天目は同じようなものが複数あって、それほど魅力を感じなかったのですが、氷裂文茶碗の方はその氷裂文の出方に個性があり、その強烈な唯一無二の花のような割れ方に魅了されてしまいました。

これは私が鉱物を選ぶ時の審美眼と同じです。私は基本的に工業製品のように同じものが複数ある物にはあまり興味が無いのです。どうしても鉱物と同じように工芸品にも唯一無二を求めてしまうようです。

その氷裂文茶碗はそれなりに高価だったのですが、後日、どうしても忘れられなくなってしまい、購入を決めました。そして、つい先日、桐箱に入って届きました。

私の「石の華」コレクションがまた一つ増えました。鉱物は今では「石の華」の商品となってしまいますので、いずれ手元を離れて行ってしまいますが、これはしっかり手元に残ります。それは今の私にとっては細やかな楽しみなのです。

そう言えば、つい先日、「KOGEI Art Fair Kanazawa 2017」と言うイベントがあり、GALLERY龍屋ROOMで渡邉貴子さん(貫入装飾をやっている作家さん。)と7年ぶりに再会しました。このブログの「割れ目1」(2013.01.12)と「割れ目2」(2013.01.14)に書いている作家さんです。その彼女との久しぶりの会話の中で、薔薇の花のように貫入したものの中には今でも貫入が進んでいるものがある、というような話が出て、少し驚いてしまいました。それは自然界で長期の風化や浸食で変化している地質と同じような現象で、陶器の割れ模様も人間的な時間の中で変化しているというような話で、非常に興味深く思いました。

久しぶりに自宅の中のどこかに眠っている渡邉貴子さんの貫入装飾の作品を発掘したくなってしまいました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする