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鉱物の部屋へのいざない

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泡2

2013-05-17 13:06:16 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「泡2」です。

石のブログ的に「泡」の話題では、やはり「水入り水晶」が登場します。

「水入り水晶」は水晶の結晶内に捕獲された水が入っている水晶の事で、その水と共に入っている泡の動きで水の存在が分かります。水入り水晶を傾けたりすると水晶内部の空洞にある水が泡と共に移動する様子が見えます。水晶のインクルージョンには不思議が詰まっていますが、その最たるものはやはり水だと思います。その神秘は泡が物語っているようです。

水入り水晶は水晶が成長する時に熱水として存在していたのだろうと思います。その水晶の成長が止まり、我々がそれを手にした時は冷えて結晶内部に閉じ込められた水の体積も縮小します。恐らくその縮小分が泡になっているのだろうと思います。

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中国 江蘇省 東海 産 水入り水晶(Quartz with water included)

これは水入り水晶ですが、この写真では内部に水が入っている事は分からないと思います。この水晶を手に取って動かすと矢印の部分の内側に水と泡が入っている事が分かります。この水晶は手のひらサイズなので水と泡の動きは肉眼で確認できます。

先日、100円水晶コーナーに置いてあった小さな中国産の両錐水晶を買われたお客さんが、後日、水晶の中に水が入っていたと教えてくれました。それはハーキマーダイヤモンドのような形をしたもので、小さな黒い粒々が入っているものでした。そのお客さんはお仕事で使われている業務用の顕微鏡でその水晶を見てみたらしく、水晶内の小さな空洞と水と泡とがしっかり確認できたとおっしゃいました。

水入り水晶の存在は不思議で神秘的な珍しいもののように思えますが、もしかすると、小さなマイクロ・ナノスケールのサイズではそんなに珍しいものではないのかも知れません。

実際、鉱物結晶中に捕獲された流体は流体含有物と呼ばれ、石英の他にもダイヤモンド、緑柱石、コランダム、石膏などの鉱物にも存在しています。流体含有物中に確認される流体としては水以外に液体二酸化炭素や水蒸気・炭酸ガスなどのガス成分が代表的です。

また、流体含有物には流体と一緒に固体が存在している場合があり、日本産の天然ダイヤモンドもそのような場所から発見されています。

サイズは人間サイズの話に戻りますが、水入り瑪瑙の存在も忘れてはいけません。瑪瑙の中には内部に水が入っている水入り瑪瑙があります。私は鉱物趣味に入った初期の段階で水入り瑪瑙を購入しました。水が入っている事は神秘的でそれだけでその瑪瑙の存在価値があると思っていました。ただ、水入り瑪瑙内の水は枯れる事があるようです。水入り瑪瑙は幾つかあったのですが、それらの瑪瑙のたぶたぶにあった水の動きは無くなってしまいました。それと同じような事を澁澤龍彦夫人であった澁澤龍子さんが「夜想33 鉱物」の中で書いておられました。もしかすると、水入り瑪瑙の水は抜けるものなのかも知れません。

水入り水晶の水はそのままですが、水入り瑪瑙の水は瑪瑙にある目に見えない微細な亀裂などから乾燥して抜けて行っているのかも知れません。

コメント
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