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松井ゆみ子のアイルランド日記「Vol.4/ケルトの祝日ハロウィン」

2005-10-24 07:59:35 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
モンキーナッツとバーン・ブラック
 日本でもすっかりおなじみになったハロウィンのお祭りが、アイルランド人の先祖ケルト民族の祝日であることは、だいぶ知られてきたのだろうか。この国にセント・パトリックがキリスト教を伝える前、ケルトたちの暦では11月1日が新年の始まりだった。自然を崇拝した彼らの1年は、畑のリズムを基本にしている。秋の収穫を終えた10月31日、その年を終える。ハロウィンは、そのお祭りだ。

 欠かせないのはナッツ類。モンキー・ナッツとよばれるカラつきのピーナッツなどの木の実は、収穫時の象徴とされる。今でこそ、この時期八百屋さんで見かけることができるが、元々アイルランドではかぼちゃを食べる習慣はなく、これはアメリカから返ってきた発想なのだろう。

 ケルトたちの主食ポリッジ(オート麦のお粥)に、無事に収穫を終えた祝いの意味で、木の実や干した果物を入れたのが、のちのクリスマス・プディングに発展していったようだ。その原形ともいえるようなフルーツケーキ、バーン・ブラック。この国では珍しくイーストを使ったパンに近いケーキで、焼くときに結婚指輪をしのばせて誰にあたるかで将来を占ったりするところが、見えない力を信じるケルトらしさだ。これがまた後に、ウエディングケーキの原形になったのでは? と、最近思い当たったのだが、真相はどうなのだろう。それはともかく、バーンブラックは、つくるのが少々やっかいなため、みなさんお店で買うようで、スーパーマーケットでは今、大セールス中だ。

 もうひとつハロウィンの伝統的料理にコルカノンがある。こちらは簡単。ケールというキャベツの一種で、かの青汁の原料でもある濃い緑葉をくたくたに茹でて、マッシュポテトにまぜたもの。スカリオン(わけぎ)をきざんで加える。ポイントは、たっぷりのバターと牛乳でリッチに仕上げること。

 ハロウィンの夜、ボーン・ファイアとよばれる大きな焚き火も伝統だ。いつから始まったのだろう、花火もさかんで、これは中国からきたアイディアなのかしら? 新年を迎えるにあたって、大地から甦ってLIVELYになっちゃう魂たちを、悪さしちゃダメよーと、なだめたり、おどかしたり。

 「お菓子くれないと、悪さしちゃうぞー」と家々を回る、今どきのこどもたちを満足させるのは、すでにモンキーナッツではなく、ユーロ硬貨になってしまった。

 それでもこの季節、収穫を祝う日があるのは、農業国に暮らす者にとって、素晴らしい感覚なのである。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (にわけん)
2005-10-25 19:23:16
にわけんと申します。



ウチのブログの本日の記事にて

「ハロウィン」をわずかながら扱っていましたので

トラックバックさせていただきました~!
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