(1)TPPは、食の安全にどう関係するのか。
これまでの自由貿易と自由貿易と根本的に違い、関税がゼロになるまで交渉を続けることになる。食の安全などを守る規則を、輸出する側の都合で撤廃することを目指しているのだ。これからも協議は続き、究極的には関税と規制が“ゼロ”になる。
(2)食品の規制緩和は、どの分野で行われるのか。
TPPと並行して行われた日米二国間協議で、「衛生植物検疫措置(SPS)」と呼ばれる食品安全緩和が話し合われた。収穫後の農薬、食品添加物、牛海綿状脳症(BSE/「狂牛病」)関連の牛肉などで日本は「誠意ある結論を出す」ことで「合意を見た」と覚書に書かれた。
具体的には、防カビ剤などだ。
米国は、船で運ぶ間に傷まないようにと防カビ剤など農薬をたっぷりふりかける。収穫後の農薬は日本では禁止されている。米国は「認めろ」とかねてから迫っていて、政府は「保存用の添加物」として認めてきた。「合意を見た」とは、農薬として使えるようにする、という意味だ。米国の農薬残留基準は日本に比べて、
小麦は50倍
チェリーは100倍
だから、認めれば米国の基準を日本がのまされ、国内の農薬もこの基準に引き上げられることになる。
(3)食品添加物も広がるのか。
米国では、大量の食品添加物が認められている。厚労省の調査で、
日本は約600品目
米国は約1,600品目
ある。日本は、この差1,000品目を埋めなければならない。いま、国際的に使われながら、日本で認められていない100品目が審査中だ。どんどん広がるだろう。「誠意ある結論を出す」という約束は「要求をのんで従います」ということだ。
(4)BSEの牛も緩くなった。
BSEが発生した米国産牛肉は、
①輸入禁止→②生後20ヵ月以下は輸入可→③30ヵ月以下は輸入可
と輸入拡大を認めた。③はTPP協議参加直前に米国の要求に従ったのだ。
世界的にBSEはまだ収まっていない。米国にはヘタリ牛という歩けなくなった牛がいるが、BSEではないとされている。検査率1%の現状では不安だ。1億頭もの牛を抱える米国は、海外への売り込みに必死だ。
(5)ホルモン剤使用も問題だ。
成長が早まり、肉が柔らかくなるので米国と豪州で使われている。ヒトのホルモンバランスを崩す恐れがあり、日本で絵は禁止されているが、輸入肉でチェックされていない。日本癌治療学会の調査では、米国産牛は国産に比べてエストロゲン(女性ホルモン)の含有が赤身で600倍、脂肪で140倍もあった。輸入が本格化してから、乳癌、子宮癌などホルモン系の癌が増えていることが明らかにされた。
(6)遺伝子組み換え(GM)食品はどうか。
「モダンバイオテクノロジーによる生産品の貿易」という新たな条項がTPPに盛られた。
GM食品の貿易ルートを定めよう、ということだ。安全面から規制するのではなく、促進・規制緩和の視点からするルール作りだ。
<例>微量混入を認めることで、GM食材が混じっても微量なら問題にしない。
しかし、どこまで微量なのか、決まっていない。米国が決めるのではないか。迅速で透明な審査と称して、審査期間を短くし、米国企業を審査に参加させるということだ。
□安田節子(食政策センター・ビジョン21代表)/構成:山田厚史(ジャーナリスト、デモクラTV代表)「“食の安全”は不安だらけ! ~デモクラTV共同企画 TPPの闇を斬る 第5回~」(「週刊金曜日」2016年6月3日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【TPP】の闇 ~格差を拡大した米韓FTA~」
これまでの自由貿易と自由貿易と根本的に違い、関税がゼロになるまで交渉を続けることになる。食の安全などを守る規則を、輸出する側の都合で撤廃することを目指しているのだ。これからも協議は続き、究極的には関税と規制が“ゼロ”になる。
(2)食品の規制緩和は、どの分野で行われるのか。
TPPと並行して行われた日米二国間協議で、「衛生植物検疫措置(SPS)」と呼ばれる食品安全緩和が話し合われた。収穫後の農薬、食品添加物、牛海綿状脳症(BSE/「狂牛病」)関連の牛肉などで日本は「誠意ある結論を出す」ことで「合意を見た」と覚書に書かれた。
具体的には、防カビ剤などだ。
米国は、船で運ぶ間に傷まないようにと防カビ剤など農薬をたっぷりふりかける。収穫後の農薬は日本では禁止されている。米国は「認めろ」とかねてから迫っていて、政府は「保存用の添加物」として認めてきた。「合意を見た」とは、農薬として使えるようにする、という意味だ。米国の農薬残留基準は日本に比べて、
小麦は50倍
チェリーは100倍
だから、認めれば米国の基準を日本がのまされ、国内の農薬もこの基準に引き上げられることになる。
(3)食品添加物も広がるのか。
米国では、大量の食品添加物が認められている。厚労省の調査で、
日本は約600品目
米国は約1,600品目
ある。日本は、この差1,000品目を埋めなければならない。いま、国際的に使われながら、日本で認められていない100品目が審査中だ。どんどん広がるだろう。「誠意ある結論を出す」という約束は「要求をのんで従います」ということだ。
(4)BSEの牛も緩くなった。
BSEが発生した米国産牛肉は、
①輸入禁止→②生後20ヵ月以下は輸入可→③30ヵ月以下は輸入可
と輸入拡大を認めた。③はTPP協議参加直前に米国の要求に従ったのだ。
世界的にBSEはまだ収まっていない。米国にはヘタリ牛という歩けなくなった牛がいるが、BSEではないとされている。検査率1%の現状では不安だ。1億頭もの牛を抱える米国は、海外への売り込みに必死だ。
(5)ホルモン剤使用も問題だ。
成長が早まり、肉が柔らかくなるので米国と豪州で使われている。ヒトのホルモンバランスを崩す恐れがあり、日本で絵は禁止されているが、輸入肉でチェックされていない。日本癌治療学会の調査では、米国産牛は国産に比べてエストロゲン(女性ホルモン)の含有が赤身で600倍、脂肪で140倍もあった。輸入が本格化してから、乳癌、子宮癌などホルモン系の癌が増えていることが明らかにされた。
(6)遺伝子組み換え(GM)食品はどうか。
「モダンバイオテクノロジーによる生産品の貿易」という新たな条項がTPPに盛られた。
GM食品の貿易ルートを定めよう、ということだ。安全面から規制するのではなく、促進・規制緩和の視点からするルール作りだ。
<例>微量混入を認めることで、GM食材が混じっても微量なら問題にしない。
しかし、どこまで微量なのか、決まっていない。米国が決めるのではないか。迅速で透明な審査と称して、審査期間を短くし、米国企業を審査に参加させるということだ。
□安田節子(食政策センター・ビジョン21代表)/構成:山田厚史(ジャーナリスト、デモクラTV代表)「“食の安全”は不安だらけ! ~デモクラTV共同企画 TPPの闇を斬る 第5回~」(「週刊金曜日」2016年6月3日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【TPP】の闇 ~格差を拡大した米韓FTA~」