コミックス売り上げ一億冊(!)を記念して主要全国紙すべてに全面広告を載せるほどの大ヒットとなった「スラムダンク」。次の作品に吉川英治の「宮本武蔵」をもってくると誰が予想したろう。正直に言えば連載開始当初はいまひとつのれなかったが、佐々木小次郎を“無邪気に人を斬る聾唖の童子”に設定したあたりからむやみに面白くなった。
前作が安西先生と湘北高校バスケ部の「父と子の物語」であったように、剣聖たち(柳生石舟斎、宝蔵院胤栄)とふれあうにつれ成長していく武蔵の姿は、漫画表現をイノベートする凄絶な斬り合いシーンの迫力とあいまって爽快。
しばらく休載したあと始まった第二部においては、肩の力をぬいたユーモアも随所にちりばめられていて読者を喜ばせてくれる。なにしろ「スラム~」における桜木花道の名セリフ
「大好きです」
まで武蔵がかましてくれるのだから。まあ、前作がバスケのことを言っているのに、今回は「殺し合いが好き」と宣言しているあたりは殺伐としたものだが。
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