事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「カンゾー先生」(’98 東映)

2008-09-13 | 邦画

Drkanzo 原作:坂口安吾 監督:今村昌平 音楽:山下洋輔 主演:柄本明 麻生久美子 

 麻生久美子をはじめとして、松坂慶子などの女優たちをひたすらいやらしく撮っていて……すばらしい(笑)。唐十郎のファナティックな坊主役が、めずらしくスクリーンで浮いていないことだけをとりあげても、あいかわらず激しい映画づくりが行われたようだ。好みの映画ではないが、作品の力だけは認めなきゃあ。

三国連太郎の降板理由がどうもわからない☆☆☆★★★

……膝の故障のために降板というのが表向き。しかし、今村の死への三国の沈黙(にわたしには思える)を考えても、もっと別の理由があったのではないか。まずは「復讐するは我にあり」をもう一度観なきゃ。

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「PLUTO」原作手塚治虫 浦沢直樹著

2008-09-13 | 事務職員部報

Pluto  あの鉄腕アトムを現代によみがえらせた問題作。数あるアトムのエピソードのなかで、浦沢が漫画家をめざすきっかけとなった「地上最大のロボット」を、アメリカのイラク攻撃や人権問題といった現実をからめて戦略的にリメイクしている。単行本1冊目ラストのアトム登場シーンは衝撃的。行きつけの書店では発売当日にすべて売り切れてしまうほどの人気。みんな、首を長くして待っていたんだなあ。

 浦沢は「マスター・キートン」や「MONSTER」あたりから物語ることのコツをつかんだのか“読者の胸ぐらをつかんで引きずり回す”ぐらいうまくなっている。もはや漫画界ではダントツの存在だろう。現在他誌で連載中の「20世紀少年」にしても、いったいどこまで行ってしまうのか、と不安になるぐらい。憂鬱な夜を吹き飛ばすのに最適な一冊。ぜひ。 
                        
2006年5月24日付事務職員部報「彼」より。

浦沢のストーリーテリングは、「パイナップルARMY」「マスター・キートン」で有能な原作者(工藤かつや、勝鹿北星)と組んだことにより培われたのだろう。長崎尚志もからんで、なかなかむずかしい問題もあったようだが。

「20世紀少年」特集はこちら

「PLUTO」完結特集はこちら

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「すいか」 日本テレビ 小林聡美、浅丘ルリ子主演 木皿泉脚本

2008-09-13 | 事務職員部報

Suika  事務職員の先輩が買ったボックスをまるごと借りて観た。三年前のオンエア時以上に感動。「ハピネス三茶」といういまどき流行らない賄い付き下宿屋を舞台に、つまらない日常がどれだけ幸せなのかを再確認する物語。視聴率は低迷したが(高視聴率をねらったわけでもないようだ)、その評価は高く、特に「終わらないことの方が不幸」な東洋的死生観までゴールデンタイムで披瀝した冒険心はすごい。

 演出は先日亡くなった久世光彦のスタイルに近く、タンクトップ姿で逃亡犯を演ずる小泉今日子が素敵。でも誰よりも浅丘ルリ子!土曜9時の枠で彼女が出てくれば必然的に思い出すのがグランド劇場「2丁目3番地」「3丁目4番地」(脚本倉本聡)。“どこにもない幸せな場所”を下宿屋に求めた設定は、明らかに「2丁目~」を意識したものだろう。若い人たちには「めぞん一刻」だろうけれども。

 あまりに渋い「すいか」の脚本にわたしの妻は
「これを若い人が書いたんだとすれば……怖いわね」
とびびっていたが、ご安心あれ。木皿はみごとなオッサンとおばさんコンビのペンネーム。わたしも安心した。

……以降も木皿泉は絶好調。特に「セクシーボイスアンドロボ」にははまった。いいぞ木皿。

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うまい店ピンポイント検証篇その9~龍上海

2008-09-13 | 食・レシピ

Ryuushanghai 材木亭篇はこちら

 山形のラーメンといえば、冷やしラーメンがメジャーになりつつある。県人以外には誤解されるらしいんだけど、山形の冷やしラーメンというのは、まさしく「冷たいラーメン」のことなんですよ。場所によっては冷やし中華や冷麺のことを冷やしラーメンと称するらしいので(これにはわたしの方がびっくりだ)おぼえておいて。某テレビ番組でイカゲソをのっけるラーメンが名物のようにとりあげられていてあれにもびっくり。実は山形でもほんの一部の話で、酒田人であるわたしは一度もそんなゲテモノ(笑)食べたことありませんから。

 それはともかく、山形のラーメン店でいちばん有名なのは赤湯にある「龍上海」本店ということになっている。ラーメンランキングで常に上位に食い込み、横浜ラーメン博物館にも出店し、コンビニと提携したカップ麺も売れ行き好調(近所のセブンイレブンにはいつも大量に用意されています)、客も全国から訪れ、常に行列状態。わたしも前に部報で特集したように、その高名な辛味噌ラーメンの味には感服した。確かに、うまい。

 でも、あまりに本店が有名なものだから、支店が不当に貶められているような気もするのだ。わたしがよく行くのは山形駅前店。そりゃあ本店にくらべれば味は落ちるかもしれない。でも、同じ辛味噌ラーメンを名のりながら、キャベツの甘みを活かした味はまた別物だ。ここはここで、うれしいピンポイントなのである。

 また、龍上海には、わたしも知らなかったけれど山形の飲み屋街に“午後7時にならないと開かない支店”(→栄町支店)も存在し、置賜の連中もかなり高評価を下しているのだった。こりゃ、一度は行ってみなければ。

次回からはわたしのフランチャイズ、酒田の特集開始ですっ!

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「ALWAYS 三丁目の夕日」(’05 東宝)

2008-09-13 | 事務職員部報

Always_sanchome 脚本・監督・VFX 山崎貴
主演 堤真一 吉岡秀隆 小雪

 東宝の絶好調が続いている。去年(05年)の邦画興行成績トップテンのうち9本が東宝。この余裕がなければ“西岸良平の地味な原作マンガを、CGを利用して描く”なんて無茶な企画が通るはずもない。

 まだ東京タワーが建設中だった昭和三十年代を舞台に、誰にとっても(おそらくは今の若い人たちにも)なつかしいと感じさせる、誰にとっても甘くせつない家族の物語。とにかく泣かせる。集団就職で上京した青森の女の子が、当時の上野駅にたたずむシーンなど、CGとわかっていても驚嘆。

いつも”という副題に作者がこめた思いには素直に共感できるし、立ち姿のキリリとした小雪がまるで原節子のように見えるあたり、さすが東宝娯楽映画。この会社の好調はまだまだ続くだろう。

2006年2月28日付事務職員部報「取扱注意」より。

続編の特集はこちら

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「いまどきの『常識』」香山リカ著 岩波新書

2008-09-13 | 事務職員部報

Imadokinojoshiki 2006年2月28日付事務職員部報より。

事務研が終了したその足で山形国際ホテルの香山の講演会にハシゴした部員も多かったはず。彼女の新作は必読だ。

……「涙」さえ見せればどんな人でも「かわいそう」と同情の対象となり、世論が動かされるのかといえば、それも違うようだ。イラクで人質となった青年の家族が見せた「涙」も、飢えや別離に苦しむ北朝鮮の一般の人たちの「涙」も、日本の人々の感情に訴えかけることはそれほどなかった。ほとんどの「涙」はそれだけで共感、同情の対象となるのに、時としてこういった例外もある。

 あまりの的確さに感服し、日本という国の醜さを再認識してさみしくもなる。しかし、これほど激烈な文を著しているのがリカちゃん人形の名をいただいた精神科医であるあたり、まだまだ日本も捨てたものじゃないのかな。香山はかなり奇矯な性格でもあったようで、彼女の弟はすごいオタクミュージシャンなんだけど、彼がラジオのトーク番組でばらしたところによると……

「小学二年生のとき、当時中学一年生だったお姉ちゃんに『なおこちゃん(本名)、メリークリスマス』って言ったら、殴りかかってきて鼻血が止まらなくなった。その一週間後、大晦日にも『今年もお世話になりました』みたいなことを言ったら、布団で寝ていたときに上から鼻を踏みつけられた。そういう時候の挨拶を言うと、中学時代のお姉ちゃんはキレる。ちなみに、『おはよう』的な挨拶は無視される。」

講演会に参加したみなさん、ご無事でしたか。    

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「まだまだあぶない刑事」(’05 東映)

2008-09-13 | 邦画

Abudeka 監督:鳥井邦男 主演:舘ひろし 柴田恭兵 仲村トオル

 これもまた「日本の警察」の現状……かなあ。おそらくは警部補である鷹山と大下をぶっこぬいてトオルが課長になる逆転劇は、しかし実際にもよくある話だろう。ストーリーはすっかり「ダーティハリー2」。おかげで新人役の佐藤隆太が冴えない冴えない。

それにしても浅野温子はしどころがなかった(^o^)☆☆★★★

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