「Death Note」「Death Note the Last name」はそれぞれこちら。
おなじみ、デスノートのスピンオフ作品。後篇で描かれた『Lがみずからデスノートに自分の名前を書きこむことでキラを追いつめる』途中におきた事件という体裁をとっている。つまり、主人公が死ぬことは最初から明らかになっているのだ。
この時期を選んだことで、デスノートの登場人物たちをふたたび起用することができるメリットがあるかわりに、デスノートの記載があるわけだから、その間にLに何があっても死ぬはずがない、と観客の緊張感は薄まってしまった。
タイトルもちょっとおかしくないですか。Lが世界を変える、ならL Changes The Worldと三単現のsがつかないと変……ネットをチェックしたらさまざまな憶測がとびかっていたのでうれしい。曰く
・change the worldは副題。本来は『L / Change The World』が正しい。
・「Lよ、世界を変えろ!」の意味で、命令形だから。
・Lを神のように見立てているので、God bless youと同じように三単現sはつかない。
・どうせ日本の観客はそんなこと気にしない。
……さあどうでしょう(笑)。ワーナーの製作なのに英語圏の観客を意識しないはずがないから最後のが正解ってことはないでしょうが。
どうしてこんなつまらないことにこだわるかというと、他に語るべき点が見つからないからです(T_T)。特に女優の演技がひどい。
「L」は、好きです。子役もいいし、せつなさがたまりませんでした。
ただ、工藤夕貴はダメ!このシリーズ、女優陣は総崩れなのかな
……こんなレスがくるぐらい。わたしも工藤夕貴の絶叫芝居にはまいった。誤解をおそれずに言えば、まるで香港映画。彼女も、監督の中田秀夫もハリウッド経験がたっぷりのくせに、何なのこれは。中田の「女優霊」に震え上がった身としては、弛緩した演出がくやしい。その「女優霊」に主演した柳ユーレイの出演はうれしいが。
それに、どうもギャグがうまく機能していない。南原清隆の演技も中途半端なので、群衆から追いかけられた彼が「オレはFBIだぞっ!」と主張すると「何いってんだ。日本人じゃねーか」と突っこまれるシーンも笑えないのである。
原作の複雑怪奇さは、ミステリ好きにとってもしんどいものがあった。連載開始時にどれだけ先を見通したストーリー展開を用意していたかはわからないが、矛盾がないように矛盾がないようにと躍起になっている感じは伝わってきた。今回はわりにストレートな抗ウィルス剤争奪戦で、だからこそ頭脳戦の醍醐味はない。
しかし、だ。それらを補って余りあるのが松山ケンイチ。彼がいるときといないときでは画面の熱量が違う。子ども二人を引きつれて自転車をこぐLの姿は、それだけで一幅の絵。結果として3作で120億も稼ぎ出したこのシリーズは、松山ケンイチひとりをメジャーにしたことで後世語られることになるだろう。ま、それで十分だけどね。
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