カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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発生場所と揺れ方が災いした兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から17年

2012-01-17 01:35:44 | インポート

引用図は1995年1月17日5時46分発生 兵庫県南部地震の神戸海洋気象台(当時は神戸市中区山手)での強震波形データです。気象庁HPより引用。

Koube_2

昨年3月11日に、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生して、未だに復興途中ですが、丁度17年前の今日、午前5時46分、兵庫県淡路島付近(震源域は神戸市内直下まで広がりました。)でマグニチュード7・3の地震が発生しました。

この地震こそ、兵庫県神戸市など阪神地区に甚大な被害をもたらした、阪神・淡路大震災です。

この地震で、気象庁の公式発表の震度(※平成8年改正前の地震津波業務規則 別表4より)は、神戸と洲本で6 京都、彦根、豊岡で5 大阪などで震度4 でした。が、後に被害痕跡より、神戸市や芦屋市、西宮市、宝塚市、淡路島北部の一部地域では、震度が7であったことが判明。大阪市内でも、大阪駅周辺など市内広範囲で震度5、豊中市など市内一部市域で震度6相当の揺れであったことが判明しています。

この、兵庫県南部地震で、兵庫県内や大阪府内、京都市内で、延べ6400名あまりの方々が犠牲になり、家屋の全壊が10万4906棟 半壊が14万4274棟(総務庁消防庁まとめより)の甚大な被害となりました。

家屋の全壊戸数を見る限り、昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震では全壊家屋総戸数が10万7696棟(警察庁まとめ)とほぼ肩を並べるものです。

家屋の被害を受けた地域は、東北地方太平洋沖地震のごとく、東北地方から関東地方までの広範囲のはおよばないものの、なぜ、前記のような甚大な家屋の被害をもたらしたか?

これは、Ⅰ:兵庫県南部地震の発生した箇所が、神戸市などの大都市の直下で発生したことと

それにもうひとつ、

Ⅱ:兵庫県南部地震では、建造物の固有周期(揺れやすい周期)に近い周期の地震波が卓越したこと

以上が考えられると私は思っています。

まず、引用図より、強震波形の一番上側の加速度(瞬間的な揺れの強さ、単位ガル※㎝毎秒毎秒)一番下側に図示している変位(単位 振幅㎝)とも比較してみますと、加速度の最大値より後続して、変位の最大値が発生していることが判ります。そして、その後も比較的変位の高い部分が継続していますよね

このことは、最大加速度を観測した地震波の周期よりの長周期の地震波により最大変位(振幅)を記録していることでもあります。

この地震による神戸海洋気象台の最大加速度は818ガル、この時の地震波の周期は0・7秒とのこと(震度を知る・基礎知識とその応用 気象庁監修、ぎょうせい より平成8年発行より)。最大変位(揺れ幅が最大)での地震波の周期は、0・7秒よりも長周期であったことが推測されます。

一般に、家屋などの建造物の固有周期(一番揺れやすい周期)は1秒以上。前記した神戸海洋気象台の強震波形データより、神戸市内周辺では、建造物の固有周期に近く、建造物が共振しやすくなり、建造物へのダメージも大きくなったもの と思われます。

以上のことで、兵庫県南部地震の建造物の甚大な被害が引き起こされた と私は考えています。