カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

9日 関東甲信などで梅雨明け

2011-07-10 10:03:31 | インポート

①7月9日9時の天気図 気象庁HPより引用

11070909

②7月9日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

33

気象庁より、7月9日、関東甲信地方や北陸地方 九州北部地方では梅雨明けしたとみられる との発表がありました。

これで、関東以西の各地では梅雨明けした ということになります。

そもそも梅雨入り明けというもの、気象学的には明確な定義はありませんが、私自身、以前、本ブログにも紹介しましたように、500hpaの等高度線5860以上の部分が太平洋高気圧の勢力下に入っていると考えていますが、引用図①で、熱帯低気圧(引用図③の上側図で顕著な正渦度として表現されております。)が沖縄に南海上に進んできたとともに、前記500hpaの等高度線5860以上の部分は、本州の南半分から本州南海上に広がりました。こういう経緯で、関東甲信地方などの梅雨明けにつながった と私は考えています。

今回に限らず、台風や熱帯低気圧が沖縄の南海上を北上する場合、隣接する太平洋高気圧の勢力は次第に強まると言う経験則があります。今後、太平洋高気圧の勢力の動向を見る上で、ご参考になさっていただければ と思います。


九州南部で記録的大雨 その根源は上層にもあり!

2011-07-06 23:45:55 | インポート

①7月6日9時の天気図 気象庁HPより引用

11070609

②7月6日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20110706090000

③7月6日9時のAUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用・加工

Z__c_rjtd_20110706000000_met_cht_jc

④7月6日9時のAUPQ35図 日本気象予報士会HPより引用

Z__c_rjtd_20110706000000_met_cht__2

7月6日は、未明から九州を中心に激しい雨が降り続き、九州南部で記録的な大雨となりました。

鹿児島県出水山地の紫尾山では、6日17時40分までの24時間に434㎜もの降水量を観測しています。

この激しい雨ですが、

引用図①②より、中国大陸南部と本州の南海上にある太平洋高気圧の縁を廻るようにして暖湿流(刷毛で書いたような白く輝いた画像)が東シナ海や九州付近で合流して、ひときわ白く輝く画像となっており(非常に発達した積乱雲を示すものです。)

さらに、引用図③の下側図と引用図④の上側図を比較すると、850hpa(下層)では、中国大陸南部と本州の南海上にある太平洋高気圧の縁を廻るようにして暖湿流が東シナ海や九州付近で合流している様子が解りますが、300hpa(上層)では、九州の北ではおおむね風向が西北西となっているのにたいし、九州南部では北西風となっていて、気流の発散の場となっております。

つまり、上層で気流が発散の場となっていることで、下層の気流の収束がより一層に加速し、非常に発達した雨雲を形成し、今回の記録的大雨につながったと私は考えます。

この手の、上層300hpaで発散の場+下層850hpaで収束の場 となることが原因の大雨ですが、とりわけ梅雨の末期に多く、地上天気図上では、梅雨前線が、北西や西北西~南東や東南東方向に走っていることが特徴です。