カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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再び大陸から強い寒気が 寒気の流入区域は前面の上昇流に注目!!

2011-01-09 23:56:06 | インポート

①1月9日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月9日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③1月9日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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昨年末から日本列島の日本海側で、場所を換えつつあちこちで大雪による交通障害などが発生していますが、再び、大陸から強い寒気の吹き出しが始まりつつあります。

冬型気圧配置時に、大陸から吹出す寒気の強弱を見るのに、寒気の吹き出しに伴う筋状の雲の発生位置と大陸の海岸線との距離(離岸距離と呼んでいます。)に着目することは一般的ですが、水蒸気雲画像図で帯状の白輝域(500hpaの正渦度移流域に伴う上空3000m付近の上昇流域)を見ることも重要かと思います。

以前にも、本ブログ内の記事でも紹介した部分もありますが、水蒸気雲画像図で帯状の白輝域(500hpaの正渦度移流域に伴う上空3000m付近の上昇流域)では、雲の活動がより活発ならしめる区域ですから、冬型気圧配置上昇の場合、寒気の吹出しに伴う雲が特に活発となりうる箇所(降水がまとまりやすい箇所)と言うことになりますが、さらに、寒気の吹出しの形状(寒気移流がどの方向に及ぶのか?)も判るものです。冬型気圧配置時の寒気移流の先端部分が、500hpaの正渦度移流域に伴う上空3000m付近の上昇流域となるわけですから。

以上のことを踏まえた上で、引用図①②③を見てみましょう。

まず、引用図②の水蒸気画像上の帯状の白輝域(引用図③でも同一位置に表示しました。)Aに注目です。9日18時現在、Aは東北南部から関東地方付近~本州中部~九州の北へ掛かっており、引用図③より、Aの北側の日本海には、寒気の吹きだしに伴う筋状の雲が、大陸の海岸からすぐに、びっしりと発生しており、Aの北側では、寒気移流が強まっていることを物語っていますが、特にAの周辺の日本海中部~西部では、西北西~東南東方向へ、筋状ではなく、とりわけ白く輝く帯状の雲がみられ、当該、帯状雲の中には、一部渦巻状になっており、この区域で、特に発達した雲の集団があるのが判りますね。他にも、Aの周辺では、関東平野周辺でも、関東東海上~関東平野の一部にも、雲の帯が掛かっており、9日18時現在、関東平野の一部では、弱い雨も降っています。

この、Aの形状により、今後、日本列島では、北海道から九州まですっぽりと、強い寒気移流に見舞われることも判りますね

以上、冬型気圧配置上昇には、Aのような、500hpaの正渦度移流域に伴う上空3000m付近の上昇流域には目が離せません。当該Aの形状で、寒気の吹出しの形状が判りますし、Aの周辺では、とりわけ降水がまとまりやすく、冬型気圧配置時に悪天になりにくい関東平野でも、以外に天気が崩れることもあります。また、中層以下では乱気流も発生しやすく、航空機の運航などに影響を及ぼしたりもします。


平成23年卯年は冬型で始まる 山陰では記録的大雪

2011-01-01 19:48:32 | インポート

本ブログご覧の皆様。新年おめでとうございます。本年も本ブログを宜しくお願い致します。

①1月1日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月1日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③1月1日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用・加工

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平成23年 2023年卯年は、本州付近は冬型気圧配置でのスタートとなりました。

特に、上空の寒気の中心が日本海西部にあり、500hpaの正渦度移流域が西日本に集中したため、西日本の各地では、まさに、ドカ雪といえそうな、大雪となってしまいました。

山陰地方では、24時間降雪量があちこちで50cmを超して、米子では1日5時の積雪が89cmと、昭和15年から統計を取り始めてから最深の積雪量を観測しました。

このため、鳥取県内の国道9号線では、およそ1000台もの車が立ち往生してしまいましたし、高速道路でも、中国地方、四国地方、九州地方の山間部を走る区間で、通行止めとなる箇所も続出しました。

引用図③の上側図より、西日本では、500hpaの正渦度移流域に入ってままで、引用図②より、山陰沖に東西に帯状に広がる白く輝く画像(発達した雲)Aが見られます。このAは、引用図③では、ご覧の通り、500hpaの顕著な正渦度移流域の伴う、上空3000m付近の顕著な上昇流域に対応しています。特に引用図③の下側図より、Aの周辺では、上空1500m付近の風向が反時計回りとなっており、東側には相対的に気温の高い区域があって、等温線が混んでいますよね。

実は、こういう箇所は、地上天気図上に低気圧が描かれていなくても、低気圧の性質である気象現象が発生する箇所、言ってみれば、低気圧が隠されている箇所ですね。

こういう、隠された低気圧というもの、実に厄介千万で、通過時に、強い降水や雷、突風、竜巻と言った激しい気象現象を引き起こしやすい箇所なのです。

山陰地方など、今暫くは大雪や突風、竜巻などには注意が必要ですね。