①8月10日15時の天気図 気象庁HPより引用
②8月10日9時のAUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用
③8月9日9時のAUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用
きょう10日は、太平洋高気圧が昨日よりも強まり、本州付近の上空まで気温が上がり、関東以西の各地では、昨日以上に、うだる暑さとなりました。
東京(気象庁のある千代田区大手町)では、最高気温が35・7℃と、本年初の猛暑日を観測したほか、大阪でも本年初猛暑日となる35・3℃を観測しました。
また、前橋、熊谷、名古屋、岐阜などで、最高気温が37℃以上となり、関東以西の広範囲のあちこちで、最高気温35℃以上となる猛暑日となりました。
引用図②③を比較すると 引用図②の下段より、関東や中部、近畿の上空1500メートルでは、昨日9日よりも、気温が1~2℃上昇しています。そして、関東地方南沖から東海地方南沖には、反時計回りの気流の循環があり、特に本州の中部で、昨日9日より、太平洋高気圧の勢力が強まっていることを示しています。
本州各地の今日の暑さの大まかな要因は、このように、太平洋高気圧が本州上へと勢力を強めたことにより、上空まで気温が上昇したこと とその高温の空気が、高気圧の下降気流で地表付近へ下降して、いっそう気温が上昇したこと ですが、さらに関東地方ではどのようなことが発生していたのか、詳しく見ていきましょう。
③8月10日9時~15時の熊谷ウインドプロファイラー時間高度断面図 気象庁HPより引用
④8月10日9時~15時の水戸ウインドプロファイラー時間高度断面図 気象庁HPより引用
引用図③④より、関東平野では、上空800メートル付近より上側では、北から北西の風ですが、地表付近では北東から東より風で、風速は弱めとなっています。これは、地表では日中海風が入り込んできたもの、上空800メートル付近より上側での風向とコントラストが大きくなり(鉛直シアーが大きくなったと言います)、その影響で、関東平野内陸部へと吹き込む海風の風向がゆがめられたことと、10日日中、関東西部に地形性の低気圧が発生したためと考えられます。
このため、10日日中は、東京や千葉などの沿岸部でも、北東から東より風となり、風速は弱めでした。東京や千葉、横浜など、関東地方の沿岸部は、日中、海上から関東平野内陸へと海風が吹き込み(関東平野は、日本列島の中で、一番、地形的に海陸風が発達する場所でもあります。)、風速は最大で5m程度までにもなりますので、この海風が、日中、関東沿岸部の気温上昇を幾分やわらげてくれる働きをします。今日10日の関東平野は、この海風が発達しなかったことも、気温上昇(沿岸部でも)の一要因となったといえます。
また、引用図③④より、関東西部で地形性の低気圧が発生したことにより、その反動で、関東平野の上空500メートル付近から地表付近にかけて、下降流が発達しました。
関東平野では、日中、海上からの海風が発達しなかったところへ、上空500メートル付近から地表付近にかけて下降流が発達し、ただでさえ気温が上昇している上空の空気を過下降させしめたため、とりわけ、各地で、気温が上昇した と言う訳です。
⑤8月11日9時の予想天気図
あす8月11日も、今日10日と気圧配置に変化ありません。引用図にはありませんが、各種予想図より、本州付近上空も、10日と同様な状態まで気温が上昇する予想ですので、関東以西の各地では、あちこちで、猛暑日となる厳しい暑さに見舞われそうです。
熱中症や夏ばてにはご用心ですが、ますます冷えたビールがうまくなりそうじゃ!