①引用画像は、㍻26年11月22日発生の、長野県北部地震の震央と長野県周辺各観測地点震度分布図です。地震予知振興研究会HPより引用。

昨年の、ちょうど今日にあたる平成26年11月22日の22時08分に、長野県北部白馬町付近の深さ約5㌔
で、マグニチュード6.7の大きな地震がありました。
この地震で
震度6弱・・・・・長野市戸隠、長野市鬼無里 小谷村中小谷 小川村高府
震度5強・・・・・長野市箱清水 長野市豊野町豊野 長野市中条 白馬村北城 信濃町柏原東裏
を観測したほか、長野県北部から新潟県上越地域の広範囲で震度5弱を観測しました。
そのため、長野県内を中心にして、重傷者10名 軽傷者36名 全壊住家77棟 半壊住家136棟 一部損壊住家1624棟 の被害が発生してしまいました。
なお、この地震の震源地のほぼ真上にあたる、長野県白馬市内神城地区においては、地区内のほとんどの住家が倒壊するほどの被害で、震度7相当の激烈な揺れに見舞われたものと推測されます。
引用図①より、揺れの大きかった地域は、国道406号線沿いの、地形的鞍部にあたる地域に集中している様子がわかります。この地形的鞍部に沿って、地震波が増幅されたものと思われますが、長野市内中心部周辺に限ってみると、特筆するべき揺れ方をしていました。
長野市内中心部には、震度観測地点は、長野市箱清水(長野地方気象台、位置は善光寺の東側、城山公園近く)で震度5強 計測震度5・3 と、長野市鶴賀緑町(長野市役所、防災科学技術研究所設置)で震度4 計測震度4・3 と、直線距離でおよそ2㌔程度しか離れていない地点にもかかわらず、計測震度で1.0、震度階級で2階級もの差があります。
この2観測地点とも、扇状地内の緩い傾斜地に位置して、双方の観測地点同士、地盤の硬軟は同程度とみられます。
引用図②
鶴賀新町と箱清水の地震波形
:長野市箱清水(気象庁HPより引用)

:長野市鶴賀緑町(防災科学技術研究所HPより引用)

※、双方を比較する場合には、箱清水 鶴賀緑町とも加速度波形で比較 測定値目盛表示方法(鶴賀緑町は22時08分08秒開始で秒積算単位、箱清水は22時08分10秒開始で、60秒ごと表示)が異なっていることに留意!
双方比較しますと
長野市箱清水の揺れの最大発生時刻が、長野市鶴賀緑町よりもおよそ7〜8秒程度遅くなっていて、揺れの最大加速度は、箱清水が271.gal 鶴賀緑町は108.3gal 震源地からの距離は、鶴賀新町、箱清水ともおよそ40㌔となっており、地震波実体の到達時刻は、引用図②双方より、双方の上下方向の波形反映開始時刻22時08分23秒殻4秒頃とほぼ同時刻と推測されます。
さらに、この2観測地点における、地震波伝播3方向(南北方向、東西方向、上下方向)の波形を見ると,鶴賀新町では、3方向、ほぼ同程度の最大加速度を観測しているますが、箱清水は、鶴賀緑町と、上下方向はほぼ同じ加速度であるものの南北方向、東西方向の波形が、鶴賀緑町より大きく、南北方向の揺れがひときわ大きくなっている様子がわかります、この2つの観測地点における、地震波形上の明瞭な差はどういうことでしょうか?
それを説明する前に、
地震波には、震源から地中を伝播する実体波(疎密波と呼ばれるP波と、ねじれ波と呼ばれるS波とあります。通常、P波は縦波成分で、S波は、横波成分を持ちます。)と、実体波が地表に達して、地表の表面を伝播する表面波(縦波成分を持つレーリー波と、横波成分を持つラヴ波) とに分類されます。)
当該、地震波の地形や地盤の硬軟で生じる特性として。
㈠:実体波、表面波ともに、地盤がやわらかくなるほど、伝播速度は遅くなるとともに、波自体の揺れ幅や周期はより大きくなる。
㈡:実体波が地表に達して表面波になるが、平野では、隣接する山地の表面から平野の表面に伝播する表面波と、平野の地中から伝播する実体波とが地表で合流する地域が発生するが、当該地域は地震波の揺れ幅と周期は大きくなる。
㈢:㈡の特性ゆえ、地形的に鞍部になった個所では、地震波の揺れ幅や周期は増幅されやすくなる。ましてや、鞍部の底の部分の地盤が柔らかくなるほど、当該傾向はより一層顕著になる。
㈣:地形的に表土層が厚く、同時に、その表土層が軟弱ほど、当該表土層の表面を伝播する表面波の横波成分(南北方向と東西方向)はより大きくなるし、波の周期もより大きくなる。
㈤:実体波は、その伝播方向に並行して地形的な斜面がある場合、その斜面で波の屈折が生じて、斜面が分布する位置にと平行な形で斜面に沿って揺れは増幅される。さらに、伝播方向に主直に斜面が位置している場合は、やはり波の屈折が生じて、斜面に沿って揺れが大きくなるものである、
がありますが、
これらの特性を踏まえて、前記の、2つの観測地点における、地震波形上の明瞭な差の原因を考えると、
③鶴賀緑町観測地点、箱清水観測地点周辺の地図.
長野市都市計画課様設置したものを、長野市観光推進課様および都市計画課様了承のもと画像化。(A:鶴賀緑町観測地点位置 B:箱清水観測地点位置。)

◇震源から、裾花川沿いの地形的鞍部で地震波が実体波と表面波との合流等を受けて増幅されて伝播したところへ、当該地形的鞍部が、ほぼ東方向に分布し、その方向に、箱清水が位置する長野市善光寺周辺地域が位置していた。
◇鶴賀新町と箱清水 双方とも、飯綱山系の南側斜面に、裾花川からの礫層が運ばれてきて堆積されて形成された地形に位置するが、今回の地震では、双方の観測地点で、周辺山地からの表面波が生じたものの、箱清水の方が、前記した、裾花川沿いの地形的鞍部で顕著になった表面波を含む地震波の影響をより大きく受けて、表面波が、鶴賀緑町よりより一層強まったことが考えられる。
このため、鶴賀緑町より、箱清水で、揺れが大きくなり、大きな揺れの発生時刻も遅れて発生した。
以上が要因であると言えますね。なお、長野市内では、この地震で、全壊家屋4棟 半壊家屋40棟 一部損壊家屋1138棟の被害状況ですが、
箱清水観測地点や善光寺周辺が位置する
第一地区 - 大字長野(桜枝町・狐池・花咲町・往生地・横沢町・西町・上西之門町・西之門町・栄町・立町・若松町・旭町・長門町)、大字西長野、大字茂菅、新諏訪
第二地区 - 大字長野(伊勢町・横町・東之門町・岩石町・新町・東町・元善町・箱清水・滝・大門町)、大字三輪(三輪田町・淀ケ橋)、上松、箱清水
各地区合計
では、
半壊家屋16棟 一部損壊家屋195棟
であったのに対して
その南側から鶴賀緑町観測地点や長野駅周辺が位置する
第三地区 - 大字長野(東後町)、大字鶴賀(権堂町・田町・東鶴賀町・西鶴賀町・緑町・居町・上千歳町・南千歳町・問御所町・柳町・早苗町)、大字三輪(柳町)、南千歳、早苗町
第四地区 - 大字南長野(諏訪町・西後町・県町・妻科・南県町・新田町)
第五地区 - 大字南長野(北石堂町・南石堂町・末広町)、大字中御所、中御所、中御所町
各地区合計
では、
一部損壊家屋3棟
と被害がぐっと少なくなっていました(以上は長野市HPより引用).

昨年の、ちょうど今日にあたる平成26年11月22日の22時08分に、長野県北部白馬町付近の深さ約5㌔
で、マグニチュード6.7の大きな地震がありました。
この地震で
震度6弱・・・・・長野市戸隠、長野市鬼無里 小谷村中小谷 小川村高府
震度5強・・・・・長野市箱清水 長野市豊野町豊野 長野市中条 白馬村北城 信濃町柏原東裏
を観測したほか、長野県北部から新潟県上越地域の広範囲で震度5弱を観測しました。
そのため、長野県内を中心にして、重傷者10名 軽傷者36名 全壊住家77棟 半壊住家136棟 一部損壊住家1624棟 の被害が発生してしまいました。
なお、この地震の震源地のほぼ真上にあたる、長野県白馬市内神城地区においては、地区内のほとんどの住家が倒壊するほどの被害で、震度7相当の激烈な揺れに見舞われたものと推測されます。
引用図①より、揺れの大きかった地域は、国道406号線沿いの、地形的鞍部にあたる地域に集中している様子がわかります。この地形的鞍部に沿って、地震波が増幅されたものと思われますが、長野市内中心部周辺に限ってみると、特筆するべき揺れ方をしていました。
長野市内中心部には、震度観測地点は、長野市箱清水(長野地方気象台、位置は善光寺の東側、城山公園近く)で震度5強 計測震度5・3 と、長野市鶴賀緑町(長野市役所、防災科学技術研究所設置)で震度4 計測震度4・3 と、直線距離でおよそ2㌔程度しか離れていない地点にもかかわらず、計測震度で1.0、震度階級で2階級もの差があります。
この2観測地点とも、扇状地内の緩い傾斜地に位置して、双方の観測地点同士、地盤の硬軟は同程度とみられます。
引用図②
鶴賀新町と箱清水の地震波形
:長野市箱清水(気象庁HPより引用)

:長野市鶴賀緑町(防災科学技術研究所HPより引用)

※、双方を比較する場合には、箱清水 鶴賀緑町とも加速度波形で比較 測定値目盛表示方法(鶴賀緑町は22時08分08秒開始で秒積算単位、箱清水は22時08分10秒開始で、60秒ごと表示)が異なっていることに留意!
双方比較しますと
長野市箱清水の揺れの最大発生時刻が、長野市鶴賀緑町よりもおよそ7〜8秒程度遅くなっていて、揺れの最大加速度は、箱清水が271.gal 鶴賀緑町は108.3gal 震源地からの距離は、鶴賀新町、箱清水ともおよそ40㌔となっており、地震波実体の到達時刻は、引用図②双方より、双方の上下方向の波形反映開始時刻22時08分23秒殻4秒頃とほぼ同時刻と推測されます。
さらに、この2観測地点における、地震波伝播3方向(南北方向、東西方向、上下方向)の波形を見ると,鶴賀新町では、3方向、ほぼ同程度の最大加速度を観測しているますが、箱清水は、鶴賀緑町と、上下方向はほぼ同じ加速度であるものの南北方向、東西方向の波形が、鶴賀緑町より大きく、南北方向の揺れがひときわ大きくなっている様子がわかります、この2つの観測地点における、地震波形上の明瞭な差はどういうことでしょうか?
それを説明する前に、
地震波には、震源から地中を伝播する実体波(疎密波と呼ばれるP波と、ねじれ波と呼ばれるS波とあります。通常、P波は縦波成分で、S波は、横波成分を持ちます。)と、実体波が地表に達して、地表の表面を伝播する表面波(縦波成分を持つレーリー波と、横波成分を持つラヴ波) とに分類されます。)
当該、地震波の地形や地盤の硬軟で生じる特性として。
㈠:実体波、表面波ともに、地盤がやわらかくなるほど、伝播速度は遅くなるとともに、波自体の揺れ幅や周期はより大きくなる。
㈡:実体波が地表に達して表面波になるが、平野では、隣接する山地の表面から平野の表面に伝播する表面波と、平野の地中から伝播する実体波とが地表で合流する地域が発生するが、当該地域は地震波の揺れ幅と周期は大きくなる。
㈢:㈡の特性ゆえ、地形的に鞍部になった個所では、地震波の揺れ幅や周期は増幅されやすくなる。ましてや、鞍部の底の部分の地盤が柔らかくなるほど、当該傾向はより一層顕著になる。
㈣:地形的に表土層が厚く、同時に、その表土層が軟弱ほど、当該表土層の表面を伝播する表面波の横波成分(南北方向と東西方向)はより大きくなるし、波の周期もより大きくなる。
㈤:実体波は、その伝播方向に並行して地形的な斜面がある場合、その斜面で波の屈折が生じて、斜面が分布する位置にと平行な形で斜面に沿って揺れは増幅される。さらに、伝播方向に主直に斜面が位置している場合は、やはり波の屈折が生じて、斜面に沿って揺れが大きくなるものである、
がありますが、
これらの特性を踏まえて、前記の、2つの観測地点における、地震波形上の明瞭な差の原因を考えると、
③鶴賀緑町観測地点、箱清水観測地点周辺の地図.
長野市都市計画課様設置したものを、長野市観光推進課様および都市計画課様了承のもと画像化。(A:鶴賀緑町観測地点位置 B:箱清水観測地点位置。)

◇震源から、裾花川沿いの地形的鞍部で地震波が実体波と表面波との合流等を受けて増幅されて伝播したところへ、当該地形的鞍部が、ほぼ東方向に分布し、その方向に、箱清水が位置する長野市善光寺周辺地域が位置していた。
◇鶴賀新町と箱清水 双方とも、飯綱山系の南側斜面に、裾花川からの礫層が運ばれてきて堆積されて形成された地形に位置するが、今回の地震では、双方の観測地点で、周辺山地からの表面波が生じたものの、箱清水の方が、前記した、裾花川沿いの地形的鞍部で顕著になった表面波を含む地震波の影響をより大きく受けて、表面波が、鶴賀緑町よりより一層強まったことが考えられる。
このため、鶴賀緑町より、箱清水で、揺れが大きくなり、大きな揺れの発生時刻も遅れて発生した。
以上が要因であると言えますね。なお、長野市内では、この地震で、全壊家屋4棟 半壊家屋40棟 一部損壊家屋1138棟の被害状況ですが、
箱清水観測地点や善光寺周辺が位置する
第一地区 - 大字長野(桜枝町・狐池・花咲町・往生地・横沢町・西町・上西之門町・西之門町・栄町・立町・若松町・旭町・長門町)、大字西長野、大字茂菅、新諏訪
第二地区 - 大字長野(伊勢町・横町・東之門町・岩石町・新町・東町・元善町・箱清水・滝・大門町)、大字三輪(三輪田町・淀ケ橋)、上松、箱清水
各地区合計
では、
半壊家屋16棟 一部損壊家屋195棟
であったのに対して
その南側から鶴賀緑町観測地点や長野駅周辺が位置する
第三地区 - 大字長野(東後町)、大字鶴賀(権堂町・田町・東鶴賀町・西鶴賀町・緑町・居町・上千歳町・南千歳町・問御所町・柳町・早苗町)、大字三輪(柳町)、南千歳、早苗町
第四地区 - 大字南長野(諏訪町・西後町・県町・妻科・南県町・新田町)
第五地区 - 大字南長野(北石堂町・南石堂町・末広町)、大字中御所、中御所、中御所町
各地区合計
では、
一部損壊家屋3棟
と被害がぐっと少なくなっていました(以上は長野市HPより引用).