カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風11号は東シナ海へ 一方北日本、東日本中心に局地的に大雨や強風 暖湿流と上空寒気の仕業

2012-08-06 13:54:50 | インポート

①8月6日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月6日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③8月6日9時現在 全国レーダーエコー合成図 気象庁HPより引用

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沖縄本島周辺に暴風雨をもたらした台風11号ですが、東シナ海へゆっくりと進み、次第に、沖縄本島からは離れつつあります。

一方、引用図②より、本州付近には、A Bの2つの画像域が進んできて、本州上では、水蒸気画像上で白くぼやけた区域が広がり、北日本や東日本では、当該、白くぼやけた画像域が帯状に幾重にも連なっており、その画像域の中に、とりわけ白く輝く画像域もあります。

これらは、太平洋高気圧の勢力が本州付近では弱まり、下層にはその縁を廻るようにして暖湿流が入り込んで、さらに、大陸から500hpaの谷(上空に寒気を伴っています)が本州付近に進んできて、やはり、本州付近(こちらは日本海側からですが)の下層に暖湿流が流れ込んできている状態であり、全国的に大気が不安定な様子を示すものです。

引用図②内 A は 太平洋高気圧の縁に位置する、500hpaの正渦度移流に対応するもので、 Bは、大陸から500hpaの谷が本州付近へ進んできたことによる、やはり正渦度移流に対応するものですが、500hpaの正渦度移流というもの、上空3000m付近の顕著な上昇流域ともなり、下層には暖湿流が集まりやすく、雲が発生・発達しやすいわけです。

特に、 B の前側にあたる、東北地方~関東地方~中部地方にかけては、今回の場合、太平洋高気圧の縁を流れ込む暖湿流と相見える形となるわけですが、こういう箇所に500hpaの谷が接近すると、当該谷の進行方向前側では、降水域が帯状に幾重も発生・発達しやすく、当該、500hpaの谷が本州により近ずくほど、当該帯状に連なる降水域は、より一層発達しやすくなりますから、油断なりません!(引用図③)

さらに、今回8月6日の場合、引用図②より、B に伴う画像域の西側では、水蒸気画像上の顕著な暗域(乾燥域)が広がり、 Bと暗域との画像のコントラストが極めて大きくなっていますが、こういう状態になりますと、引用図②の Bの西側では、上空3000mの上昇流域と下降流域とが明瞭菜コントラストを形成している状態で、こういった箇所では、上空から気流が強く下降しやすく、局地的に思わぬ強風を引き起こします。

現に、6日11時48分に、 前記 Bの西側に入った新潟県巻町では、平均で24・7m 瞬間最大風速が35・8m(いずれも北北西風)の暴風を一時的に観測しまして、新潟県の一部には暴風警報も発表されました。