スターダストウィントン・マルサリス,ダン・ニマー,カルロス・ヘンリケス,アリ・ジャクソンEMI MUSIC JAPAN(TO)(M)このアイテムの詳細を見る |
いやー、スゴイアルバムです。いっしょに原朋直さんのジャズトランペット教室でラッパを習っているM本さんに教えてもらったんですが、ホントにスゴイ。
どうやらカーネギーホールか何かのライブのようです。カントリーの大御所・国民的歌手であるウィリー・ネルソンと、ジャズを牽引するウィントン・マルサリスの共演で、いわば両極端が二つ。つまりジャズとカントリー、大御所とニューリーダー。これが全く素晴らしい結果を生み出しています。
ウィントン・マルサリスの音楽的な深みと広さはスゴイ域に達してると言えるな。ウィリー・ネルソンを自由自在に遊ばせるフィールドを作っていて、しかもばっくだけを聴いても極上のジャズたり得ている。自分のTPはさほどプッシュしていなくて、むしろプロデューサー的に全体を見ている気配だ。が、吹くとトンでもなくすごいけどね。ものすごい表現力だ。このパフォーマンスでは比較的オールドスタイルのプレイをしていて、さすがニューオーリンズ出身である。
ウィリー・ネルソン。ほとんど神聖不可侵の領域。磨き上げられた果てに朽ちかけているボーカルは、もうアメリカ人間国宝か。浄瑠璃とか文楽の語りの領域だ。本当に素晴らしい。彼がウィントン・マルサリスと軽くライブをやってしまうその、柔軟さもスゴイよ。歌いも、軽い、心の赴くままに歌ってものりを超えず。七十而従心所欲、不踰矩。「70にして、心の欲するところに従って、矩をこえず」というところか。
いつも思うのはウィリー・ネルソンがいつも、穴が開いたボロボロのナイロン弦のマーティンを使っていて、どんな人と共演しても、グラミー賞だとしても、必ず自分が歌った後ソロをとるところで、これが的を得ていないソロの時もあるんだが、実にいい味わいを指している点だ。このCDでは大きく外しては居なくて、時にジャンゴか?と思わせるぐらいスゴイ瞬間があり、これは偶然なのか実力なのか微妙なところ。でも、必ず弾く、というところがいいと思う。
キャリアのフィナーレに至ろうとしているカントリーシンガーと、最も充実した円熟期に入ろうとしているウィントン・マルサリス。この邂逅は、素晴らしい果実を僕たちリスナーに与えてくれる。
音楽を愛する諸氏、ジャンルなんて、捨ててしまえよ。
素晴らしい音楽はそんなものとは関係なく存在するんだぜ。
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