ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
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劔岳リベンジ「追い越してしまった方がいいかも・・・」

2020年12月03日 23時38分35秒 | Weblog
アタック当日の朝は4時過ぎに目が覚めた。
朝食は5時からなので一度外へ出て天候の確認をすることにした。
9月のこの時期の5時はまだ暗く、いくつもの星を確認することができた。
「大丈夫そうだな。予報通りだ。」
そう思い煙草に火を付けた。

今年の劔はどんな山行になるのだろうか・・・。
19回目の劔岳となるが、毎回毎回心に残る山行ではある。
もちろんアクシデントもあったが、「来て良かった。登って良かった。」と思える。
そんなことを考えながら、まだぼんやりと黒いシルエットの劔岳を見上げた。

朝食は目一杯・・・ではなく、腹八分目程度とした。
カロリー満タンにしたいのはやまやまなのだが、あまり詰め込んでしまうと動くことがかえってきついとも感じるのだ。
ましてや劔岳だ、全身を動かしての登攀になることは必至。
あとは行動食と昼食で賄う方がベターだろう。


朝食を終えた直後の朝焼け。(5時30分頃)
少しずつ東の空が白み始めてきた。
出発予定は6時、軽く準備体操をしておこう。


6時頃の朝焼け。
小屋をスタートした。
単独でのスタートは4年振りの事になるかな。
朝焼けの中、ヘッデンを灯して歩き始めた。
そう言えば去年はヘッデンの電池が切れ、新しい物を入れ直しても点かなかった事を思い出した。
「あれはまずかったなぁ。なんであんな初歩的なミスを・・・」
ちょっと苦笑いをしながら歩く。
徐々に周囲は明るくなり始め、ヘッデンのお世話も不要となった。


「一服劔」に咲いていた花。
花びらの先に産毛の様なものがあれば「チシマギキョウ」で、無ければ「イワギキョウ」。
まだ閉じておりどちらかは分からなかった。
(ただのリンドウだったりして・・・笑)


一服劔から見た前剱方面。(赤い線が基本登頂ルート)
ここから一時間もあれば前剱へは登頂できようか。
「ん? ずいぶんとにぎやかな声が聞こえるな。」
と思い、暫し前剱方面を凝視してみた。
「なるほど、あの団体さんか(笑)」
(青い○の中に10名程の団体さんがいる)

過去の山行において、10名程のグループとはあまり良い思い出がない。
それだけの人数ともなれば各自の力量に差もあるし、難所の通過であればどうしても時間を要してしまう。
順番待ちの難所通過ともなれば、やや苛ついてしまうこともあった。
「できれば前剱の門の前に追い越してしまいたいなぁ」
そう思い先を急いだ。
団体さんのペースがどれ程のものかはここからでは分からないが、危険地帯に入る前には追い越してしまおうと決めた。
前述した苛つきもあるのだが、それよりも順番待ちによる体の冷えだけは何としても防ぎたかった。

前剱の取り付き口まではそれほど危険もないことからペースを上げた。
団体さんとはかなり近づいてきているのが分かった。
と言うより、「えっ? まだあそこなの・・・」
という程ペースは遅かった。
これなら前剱登頂の前に追い越せそうだった。
しかし問題なのは前剱のガレ場で追い越すことそのものが危険であるという事実だ。
まぁ行けるところまで行って、後は団体さんのリーダー次第ってことになるだろうか。

とにかく声が大きい。
互いによく喋る。
元気がいい。
決して悪いことではないのだが、もう少し集中した方が良いのではないだろうかと思える団体さんだった(笑)。
案の定急登攀の途中のガレ場で追いついてしまった。
人数は10名程で、前後をインストラクターらしき人が挟むような形だった。
年齢構成は全員明らかに自分よりは上で、下から見上げながら見た限りの技術はお世辞にも「中の下」だろうか。
驚愕である。
よくこの程度の技術の人たちを連れてきたものだと思う。
もし自分がインストラクターであったなら絶対にお断りしていた。
いや、自分が巧いと言うのではなく、劔岳を知っているからこそ尚のことそう思う。
(「今年もまた関わりたくはない人たちと出会ってしまったか・・・」)
本音を言えばそんなところだ。

殿(しんがり)の人が安全なポイントでのタイミングを見て「お先にどうぞ」と言ってくれた。
比較的安全とはいえ、ここは前剱のガレ場である、そんなポイントでもみなさんの口は開きっぱなしでおしゃべりに余念がなかった。

実を言えば、自分のすぐ後方に3人の登山者がいた。
彼等は趣味での登山ではなく、仕事で登っている。
詳細は不明だが、環境省の方達でルートの状況を多角的に調査しているらしい。
その3名も同時に追い越していった。


もうすぐ前剱頂上だ。
ここまで来てしまえば追いつかれることもあるまい。


前剱頂上手前からみた日本海(富山湾)。
快晴ではなかったが、ごく軽く汗をかく程度であり助かっている。


8時20分、前剱登頂。
ここまで2時間とちょっとだった。(まずまずのペースだろう)

本当ならここで行動食を食べ、一服してゆっくりとしたかったのだが、あのざわめく声が聞こえているだけにそうも言ってられなかった。
ここから先は「前剱の門」「平蔵の頭」そしてタテバイへと続く。
追いつかれては面倒になるポイントばかりだ。
休憩もそこそこに切り上げ再スタートした。

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