ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

雪の降る夜:アタック開始

2013年04月03日 00時16分12秒 | Weblog
朝食はごく簡単にお茶漬けごはんと味噌汁、シリアル、そして珈琲だ。

荷物を整理していたおかげで後片付けとテントの撤収は素早く行うことができた。
普段は整理整頓が苦手な自分なのだが、何故か「山」となると人が変わったようになる。
女房にもよく言われることで、「まったく登山用具だけはきちんとしているんだから・・・」
(はい、すみません m(_ _)m)

メインのザックを小屋に預け、小型のアタックザックのみを背負ってスタートした。
時間にして1時間40分ほどが雪山の標準コースタイムとなっている。
予定より1時間ほど遅れてのスタートとなったが、日程の中では幅を持たせて組んであるので昼頃には戻ってこれるだろう。


夜間に雪が降ったとはいえ、前日までのトレースがしっかりと着いており安心した。
一応アイゼンは装着しており、膝近くまで雪に埋もれながら針葉樹林の中を進んだ。



ほどなくして「中山峠」に到着。
実を言えば、この中山峠は20年以上前に初めて八ヶ岳登頂を目指した夏山の時に通過していた。
あの時は白駒池から中山峠を経由してオーレン小屋でテント泊。
翌日に赤岳登頂をした。
だから天狗岳は過去に一度登っているわけである。
されど遙か20年以上も前の、しかも夏山。
記憶をさかのぼっても何も出てこなかった。



しばらく進むと正面に目立ったPEAKが見えてきた。
(「ひょっとするとあれが天狗のPEAKか・・・」)
先ずは地図で確認だ。
間違いない。方角、位置、形状からしてあれが東天狗岳だ。
だが、事前の調べでは今いるポイントからはPEAKは見えないとのこと。
おそらくは「天狗の鼻」と呼ばれる大きな岩だろうと推測する。

更に静かな樹林帯を進むとちょっとした急登攀となった。
高さはそれどほではないが、雪の壁のようになっていた。
そして樹林帯が切れ、青空には眩しい厳冬期の太陽が見えている。



「そろそろ天狗の裏庭あたりなんだけどなぁ・・・。」
そう思いながら急斜面を登った。
ザックが超軽量なだけに足取りも軽い。

登り終えると、そこには一面雪の平原が広がっていた。
そしてその先には、東と西の両天狗岳がどーんと迫ってきていた。



いいねぇ。
やっぱり今だけしかお目にかかれない、今だけしか感じ取ることができないものがあるってことか。
しばし立ったままでこの雪景色に見とれてしまっていた。

「ちょっと一服するか。」
そう思い、煙草に火をつけゆっくりと煙を吐いた。
周囲を見渡せば、西側には中央アルプスや北アルプスの連なった白い山脈が見えた。



言葉にならない風景だった。
「やっぱりアルプスはスケールが違うなぁ。」
心からしみじみと思える。
これも好天に恵まれたおかげであることは間違いない。

地図を取り出し、ルートを確認しながらもう一度東天狗岳を見た。
「ん? 待てよ。あの舞い上がっているものは・・・。 やっぱりそうか。」

真正面に見えている東天狗岳は、東側の稜線上がコースとなっている。
しかしその稜線上には、白く大きく舞い上がっている雪がはっきりと確認することができた。
今この場所ではほとんど感じ取ることのない風が西から吹いているのは間違いのないことだった。
風はかなりの強さであることは予測できる。
だが、それがどの程度なのか。
耐風姿勢を取らなければならないほどなのか。
それともアイゼンとピッケルで踏ん張れば登攀できる程度のものなのか。

いずれにせよ、本来のルートコースである東稜線上は避けた方がベターであろう。
強風で体ごと谷底に吹き飛ばされてはたまらない。

あまりのピーカンに浮かれていた自分への戒め的な強風であり、「不安がらなくてもいい。緊張感と集中力を忘れるなよ。」と言われているような気がした。

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2 コメント

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わぁ、キレイ (ROOKIE)
2013-04-21 16:31:29
ここの記事の写真、どれもうっとりするぐらいキレイで、ポスターにして家に貼っておけば「有名な写真家のポスターですか?」なんて聞かれそうって思いましたよ。(笑) 頑張った人しか見ることができない、すばらしいご褒美ですね。(^_^)
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本当は・・・ (TAKA)
2013-04-24 01:48:16
できることなら「一眼レフカメラ」を持参したいと常々考えてます。
でも先ずは登ることが目的なのでコンパクトデジカメで我慢しています。
(本当はそれを買う予算が無い・・・笑)

やっぱり朝の空気は澄み渡っていていいですね!
前夜に雪が降ってくれたおかげで、目には見えない塵までも取り除いてくれたんだと思います。

ポスターですか?
いえいえ、恥ずかしくてとてもそんなことは。
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