ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

孤高のブナ「ちょっと幻想的・・・」

2020年09月06日 23時35分18秒 | Weblog
目指す中倉山の標高は凡そ1500m。
低山と言えば低山であり、中山とも言えようか・・・。

ここまで来れば急登攀は殆ど無く、緩やかに標高を稼げばいいだけだが、途中で明らかな分岐点に遭遇した。
事前に調べた時にはこの分岐点は無く、バリエーションルート特有ものであると分かった。
自分たちの現在地は分かる。進むべき方角も分かる。
だからコンパスを用いればどちらどちらへ進むべきかは明瞭だ。
ただ、どちらへ進んでも中倉山方向のようだったので、中倉山山頂の側面を通るコースと、直接山頂を目指すコースであろうと推測した。
選んだのはもちろん直接山頂を目指す(であろう)コース。
「ここに分岐点あり」と、地図にポイントを記入しておいた。

程なくして今度は中倉山の稜線へと出た。
周囲は360°ガス、本来であれば日光や群馬方面の山々が一望できるらしいのだが、今日はそれは叶わぬ事。
北西へとコースを取り、山頂を目指した。

山頂を示す指標はすぐに分かった。
「低山だったけどけっこうきつかったね(笑)」
「明日筋肉痛かもしれませんよ(笑)」


稜線の向こうに見える中倉山山頂を示す指標。


アルプスのような3000mオーバーであれ低山であれ、周りの風景が見えず(分からず)、ただルートに沿って登っただけの場合、「やっとてっぺんかぁ」とかいった実感はそれほど湧いては来ない。
まぁ今日に限っては目標は「孤高のブナ」を見ること。
そしてもう一つ、これまた誰が名付けたかは分からないが「波平ピーク」と呼ばれるポイントがあるらしい。
この二つを見ることが最大の目的だ。


先ずはお疲れ様でした。

ここは写真を撮っただけでスルー。
ここからブナの木まではそう遠くはなく、10分も進めば着くはずだ。

一層ガスが濃い。
稜線の南西側は草木が茂り、これから夏になればより生い茂るのだろうと思う。
ところがだ。
反対側の北東側は、まるで森林限界線を越えた岩稜地帯と言っても過言ではない。
それほどまでに過去の煙害の厳しさを物語っていた。


稜線の南西側(左側)。
なんとなく幻想的だった。

これほどまでにガスが濃く目視が効かない状況で、果たしてあのブナの木を見つけることはできるだろうか。
やや心配になってはきたが、ネットの画像で見る限りはそれなりに広い場所にぽつんと一本だけ目立っているのだからたぶん・・・。
緩やかなアップ、そして緩やかなダウン。
地図の通りだ。
「ん~そろそろなんだけどな・・・」
予め地図に記しておいたブナのポイントとにらめっこをしながら進む。
だが、あまり地図ばかり見てしまうと転倒の危険がある。
目を凝らし、立ち止まってはこの濃いガスの中に間違いなく存在するブナの木を探した。
(「こりゃぁ厳しいな。本当に何も見えない。」)
そう思うと尚のこと見たくなってくるのが人というもの(笑)。
数メートル進んでは立ち止まり目を凝らす。
その繰り返しだった。
そして遂に・・・。