ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

孤高のブナ「アカヤシオツツジ」

2020年09月02日 21時52分15秒 | Weblog
やっと稜線沿いのルートへと出ることができホッと一息つく思いだった。
(「これで少しは楽な登りになるかな・・・」)
そんな思いで緩やかさを体感した。


相変わらずのガスで周囲の状況を十分に確認できるには至らず、ルートファインディングのミスには注意が必要だった。
そしてもう一つ・・・
熊の出没である。
出会ってしまったらこれだけはどうすることもできない。
知りうる限り、できうる限りの対応をするしかない。
先ずは「出会わないための対策」が重要だ。
羆と比べれば、人を恐れ自ら人に近づくことは滅多にないと言われてはいるが、相手は自然界に君臨する野獣だ。
「こうすればこうなる」的な、方程式の様な訳には行くまい。
それにこのガスじゃ遠目に発見することは難しいだろう。
更には、さっきから明らかな熊の痕跡(糞)を何カ所かで見てしまっている。
そんな不安要素を抱きながらも先を急いだ。

ふと足元に白っぽい花びらが幾重に折り重なり落ちていることに気付いた。
「ん、シロヤシオツツジか・・・。いやそれにしては花びらが小さいし薄いなぁ。」
ひょっとしてと思い上を見上げると・・・桜だった。
確かに木肌は桜特有の横縞模様だった。


画像では分からないが、あきらかに淡い桜色の花が咲いていた。
巷の桜はとっくに散ってしまっているが、山桜は今が春なのだ。


ガスってさへいなければねぇ(苦笑)

いろいろな物の発見があった。
今度は何と蝉の抜け殻だった。

ちょっと分かりにくいが、赤丸で囲んだ部分に抜け殻があった。
そして下には・・・


熊との遭遇に不安を抱きながらも、遅い春と早い夏との出会いに一喜一憂であった。

途中にちょっとした高台のような岩を発見。
晴れていれば遠方まで見渡せるんだろうなぁと思い立ってみた。


N君ハイ、ポーズ!


「晴れろー!」と大声で叫びたかった。
今日の天気予報はいつ降られてもおかしくはない予報で、できるだけ早めに登頂し下山したい。
天候の回復が見込めないことが分かっていただけに、雨が降られるよりはまだましだった。

どこまで行ってもセピアカラー一色の世界に、僅かに新緑の薄黄緑が混じっているだけで、さっき見た桜以外の暖かみのある色は無かった。
「まっ、今日の目的はブナの木だから、仕方がない」と割り切っていた。
・・・が、忘れた頃に異様に目立つピンク色が!


やっとだった。
やっとアカヤシオツツジが咲いてくれていた。
しかし、考えれば分かることで、今までの標高が低すぎただけなのだ(笑)。
それなりに標高を稼げば自ずと出会えるチャンスは生まれてくるだけのことだ。


アカヤシオツツジのアップ。
今日はこの後、あちこちで出会うことになった。