ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

2度目のM0C:Balance Control

2011年09月25日 20時38分56秒 | Weblog


下山を前にKさんとツーショット写真を撮っていただいた。
Kさんはまだ若いが、アウトドア、ことに登山においては将に“AUTHORITY”。
経験、知識、技術、体力、持久力。全体をまとめ上げるリーダーシップ。
そして的確な回答と助言は、自分にとって師匠的存在だ。
どれほど自分が登山に関して勉強しても、決して追いつくことができない。
されど、それが悔しいとか、羨ましいとか、そんな気持ちにはならないのが不思議だ。
「いつか俺もああなりたい。」
そんな人柄であり、目標でもある存在なのだ。

(まぁこれくらい「よいしょ」しておけば、次回の買い物でまけてくれるかな・・・。そんなわけないか。失礼しました。(笑) m(_ _)m )

今回のMOCは、劔岳に向けての調整だけでなく、経験や技術、体力などに差がある人たちのパーティーにおいて、何を優先し、どのように全体をまとめるのか。それを探りたいと思った。
最後尾にいることが幸いし、後ろからKさんのルートファインディングをくまなく観察した。
「なるほど。そうだよな、あのルートしかないよな。」
もし、今回自分が先頭になっても同じルートファインディングをするだろう。
それに関しては少々ながら自信になった。



登攀よりも下山のルートファインディングが難しいケースが多い。
これは経験上身に染みていることだ。
そして怪我をしやすいのも下山時。
それだけに慎重にルートを選ばなければならない。

男体山のルートは一本道だが、岩場、ガレ場になるとけっこう道幅が広く、その幅の中に幾つかのルートが見られる。
Kさんは、その幾つかの中で、最も確実性の高い、言い換えるのなら、最も安全と判断できるルートを選択しここまで来た。
参加者全員のことを考えればそうするのが正しい。
もし、自分とKさんの二人きりだったら、「ちょっと遊んでみようか」的なことを考え、意図的に危険性の高いルートを選択するかも知れないが(笑)。

今日のルートはこれで、この安全最優先ルートで間違いないのだ。



下山中、何度も何度も思ったことがある。
そしてその思いを口にして伝えなければならないとも思った。
同時に「出しゃばりたくはない」と、ブレーキもかかった。

以下のことはブログに載せるべきかどうか迷ったが、敢えて綴る。
もちろん実際にあった出来事で、自分もある意味巻き添えをくらった。

参加者の中で最も高齢のおばさんがいることは何度か記した。
確かに高齢であり、体力的なことは仕方がない。
それでもあちこち山は登っているだけに、経験値は高い。そして専門用語も知っており道具も立派だ。
だが、下山時になって急に元気を取り戻したこのおばさん。
「私こんなところ平気だから。ほらね!」とか、「私、こっちの道行っちゃおう!」とか、「見てて、こんな下り方もあるのよ」
更には「私、こんなこともできるのよ」と言って、意図的に危険性の高いルートを選び岩場、ガレ場を下山し始めた。
はっきり言って、後ろから見ていて冷や汗ものだった。
足もとが心許ないのだ。
(あ~あ、やめればいいのに)
何度思ったことか。

突然自分に言ってきた。
「ねぇ、○○さんだったらこんなところくらい平気で下りられるでしょ」
(おっと、俺に来たか・・・)
その時、のど元まで出かかった言葉がある。
「そりゃできますよ。自分からすればこんなところ危険でも何でもないですしね。でも、インストラクターの方が、全体を考えて常に安全なルートファインディングをしてくれているのだから、やっぱり止めます。もし怪我をしたら、それこそみんなに迷惑や心配をかけてしまいますから。今日は個人ではなく、ツアーの参加者ですし。」

だが、その言葉を言ってしまったら、かえって全体が気まずい雰囲気になってしまうことの方が怖かった。

何も言わず黙って危険なルートを下りた。
嫌な気分になった。
Kさんに申し訳ない。

あの時の下山は、誰もが怪我をせずに下りられたギリギリのところだったのかなぁ・・・。
そんな気がしてならない。

それでもこのおばさん、他の人への助言や励ましの言葉もちゃんと言っている。
いいところもあるのだ。