喜♪きりん

人が苦手なのに何故か販売員をしてる人の日々あれこれ

物語と現実社会

2021-11-25 09:30:22 | ドラマ・演劇感想
ナイロン100℃「イモンドの勝負」を見てきました。
久しぶりの本公演、オールスターズ勢揃いとあって平日昼公演なのに満員御礼でお客さん達の熱気を感じました。劇団員と演劇ファンお馴染みの客演だけでここまで集客できる強さ、いやはやナイロンは厚いなあ。演技の精鋭達が繰り広げるナンセンス芝居は笑いと、何とも言えない後味の悪さを残しました。でも何だろうなあスッキリしないのに心地いい感じもある。演劇に触れたからなのか自分の中のモヤモヤがちょっと薄れた気がします。

さて、内容は公演中なので触れませんが、気になったのが登場人物が言う「憶測」「想像力」という言葉、割と頻繁に出てきた事です。

コロナ前というか、春馬君のあの日前だったらさしてひっかからなかったであろうこの言葉が今はすごく重要に思えた。何故なら主人公や周りの人達はこれにすごく振り回されて話が展開してたからなんです。

芝居として見ると馬鹿な事いってんなあとか、ああ、不条理だなとか笑ってしまうけど、このナンセンスさが現実になっているのが今のネット社会なんですね。

憶測、妄想を平気で拡散し、持ち上げるときは持ち上げ、叩く時は徹底的に叩く。噂にしか過ぎない事も悪気もなく吹聴する。どこかの界隈を想像させました。そして改めてこんな話をナンセンスに消化するケラさんのシニカルな視点に敬服しました。誰も傷つけず作品で風刺する。本人はそんなこと思ってなくて単純に不条理な芝居をかいたかもしれない。でも「物語には登場人物の中に犯人がいるけど、現実はそうではない」というセリフにあったように現実は曖昧なんですよ。真実とか実態とか本当に曖昧、それをむりやり「真実は一つ!」なんて言ってデモしたり誹謗中傷する人達は今は物語の登場人物になってるだけなのかもしれません。

自分達が一番不条理な事を言っているのに「不条理だ!」と叫んでる彼女らの姿がこの作品の街の人達に重なりました。

作品世界より恐ろしい現実の世界ってあるんですね。
その事実を嚙み締めたそんな日でした。

興味のある方は是非観に行ってください。
ただしあるシーンがトラウマを呼び起こしかねないので希死念慮のある人は避けた方がいいかも。

追記

オープニングのプロジェクションマッピングはいつも以上に素晴らしい。
今までの公演でOPだけ集めた映像見たいなあ。後、ジャンケンのシーンは手数覚えるの大変だったろうな、勝つ方も負ける方も、どっちかが間違ったら物語が止まる、まあベテランだから切り抜けられると思うけど引き分けはともかく勝ち負けが逆になったらやばいよな「会長往生際悪いな(笑)」って見てるけどあれ演者にして見たら相当緊張感あるよね。(誰か横から支持してたりして、いやそう疑うくらいの技だよあれは)
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