「日本のいちばん長い日」

2015年08月21日 10時00分00秒 | 沖縄の生活


8月17日に、「日本のいちばん長い日」を観た。

この作品は、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」(1967年)とは異なる視点で、戦後70年記念作品(2015年)として原田眞人監督が取り組んだ。

原田作品は、その後の別資料も取り入れ作品としてはまったく異なったものになっている。何よりも、旧作に比べて、主要人物を阿南陸軍大臣(役所広司)、鈴木貫太郎首相(山崎努)、昭和天皇(本木雅弘)、迫水久常(堤真一)、畑中健二陸軍少佐(松阪桃李)に絞り込んだ。

岡本作品は、あえて「モノクロ」にして、ドキメント手法で観客に、あたかも歴史に立ち会ったような臨場感があった。70年前の8月15日は、暑かっただろう。画面から「汗」と「緊張感」が、ほとばしっていた。

原田作品は、監督自身もインタビューで応えているように、「家族」を描きたかった。だから、阿南陸軍大臣の戦死した息子の話や妻の話が出てくる。陸軍を思う軍人より、一人の父親が出過ぎたマイホームパパだ。岡本作品の「三船敏郎」は、強硬に「本土決戦やむなし!」と言い切る、頑固一徹な陸軍大臣が表現されていた。

鈴木首相も、岡本作品の「笠智衆」の方が、天皇の裁断を仰ぐリ-ダーシップの無い首相が良く演出されていたが、「山崎努」の方は、天皇にお伺いを立てなくても、一人で押し切れるような気がするくらい、策士のように見えた。

松阪桃李君は、若すぎて中学生の軍人だった。黒沢年男は、映画を観た時は何を目球ばかり剥いてるのか?と思ったが、今に思えば「狂気状態」を表現していたのだった。

新しい視点と言えば、本木演じる「昭和天皇」は、「国」や「民」を想う「天皇」を表現していたのがこの作品のポイントだ。しかし、旧作は、松本幸四郎(8代目)で、声だけで顔が一切出ず、絶対的な威厳があった。

旧作(1967年)は、東宝映画の創立35周年作品とはいえ、東宝俳優オールスター作品で、個性が際立ち、顔も役柄とピッタリで凄かった!

新作の方は、戦後70年。2015年の俳優は、顏も「平和」で「個性」も無くなっていた・・・。

評価:★