ぷっつりと音信の途絶えている社会起業家約1名のページを残して、
ほぼ校正も終わりつつある「社会イノベーション事例集」。
やり残している約1名の分は、肩にずっしりプレッシャーだけど、
とにもかくにもカラダが資本、と、昨夜は日付が変わってすぐに寝た。
10時間ちかくのこん睡状態から覚めてみれば、夜が明けたのかどうかわかりづらいよ~な空の色。
ニュースをつければ、
「これで8週連続、雨の土曜日です」
あ゛ー、ヤル気出ないわぁ。。。
とはいえ、このスキに永らく棚上げされているリサーチプロポーザルの原稿を、
いいかげんマジメに仕上げなきゃー。
トーストかじりつつ、PCの前に座る。
BOSEショックのせいでBGMナシ。
当然、遅々として進まない書きもの&四方八方に散ること甚だしい集中力。
ひたすら悶々としながら先行研究を見直していて、ふと手が止まる。
――アレ、これって「事例集」の原稿に書いてあったことと違うじゃん。
・・・一番はじめに入稿しちゃったところじゃん・・・
という事態に気がついて、あわてて校正しなおし。
追加訂正の連絡を業者に入れたころには、
――元気があったら行きます~
と先生に聴講希望を出してたゲスト講師の講義も、半分以上終わってる時刻。
あ゛ー。。。
そいで、プロポーザルもまた、二言三言書き足しただけで止まってるし。
今日やりはじめたとこから、また頭の整理のやり直しだし。
あ゛~あ゛~。。。
何事も、終わったつもりでもこうゆう揺り戻しが何度もある。
進んだと思ったらちょっと戻り、また進んだと思ったらちょっと戻り。
いつになったら心底、あ゛あ゛ー、終わったーっ!! と宣言できるのだろ。
ヒイラギ愛用のBOSE Quiet Confort。
仕事の行き帰りも、音楽サークル活動の学生クンたちがにぎやかになってきた時間帯の仕事中も、夜遅くのサービス残業でパソコンに向かってるときも、いつもヒイラギの頭にしっくりはまって、超快適にエンドレスで「Carmen」を流し続けてくれたBOSE Quiet Confort。
今日の午後、とつぜんお亡くなりになった。
プラスチックのアームが小さなネジを境にパッキリまっぷたつ。
左耳だけ、ぶらーん・・・
ぼちぼちイヤーパッドでも新調するかなーと思ってた矢先の、このダイナミックな壊れよう。
修理に出す手間ヒマ考えれば、きっと新しく買ったほうが早いんだろーけど。
というか、技術的修理って問題でもないし。
ああでもそれにしても。
いまのヒイラギから必殺道具BOSEをとったら、なんの集中力も残らないのだな。
あぁぁぁぁ・・・・・・
国立大学のキャンパスって、地域に開かれた公共空間だったりもする。
買い物袋を提げたご近所の主婦やら、犬の散歩やら、
どう考えても大学に何の用もなさげな人たちが堂々と大学の敷地を横切ってたりする。
本日は、これまたご近所の保育園ご一行さまの遠足らしき光景。
遅い昼休みで校舎の外に出ると、なにやら水色の小ちゃなかたまりがころころと足元を駆け抜けていった。
見れば、階段状のコンクリート塀に、おそろいのスモックを着たお子たちがびっしりよじのぼっている。
よじのぼってない子もひとりふたり。
よく見ると、にっこにこ笑いながら、どこからか持って来た側溝のフタらしき金属板をひきずってたりする。
あたりを見回しても、監督の先生らしきおとなの姿はない。
さてはおぬしら、先生が芝生でお弁当たべてるスキに、こんなとこまで逃げてきたな。
それにしても、モンスターペアレンツに過保護にされてそーなイマドキのお子たちも、このていどのやんちゃはするのだなぁ。
ちょっと安心。
この子たちなら、転んだり、塀から足を踏み外したり、金属板を足の上に落っことしたりしたら、痛いんだぞ、というのを、ちゃんと体験しておとなになれるだろう。
連日、夜11時を過ぎてからの外出である。
何の用かというと、校正の済んだゲラを速達で送り返しに、郵便局へ行く。
24時間受け付けてくれる本局が自宅からほど近い。
都心ならではの、究極のサービス残業かも。
意外にこの時間、ふつーな感じの人たちが、ふつーな感じでわらわらと歩いている。
近所の大手印刷会社勤務とおぼしき残業帰り風のおじさんたち。
本日の営業を終えた店内で遅い夕食をとるイタメシ屋さんのシェフたち。
深夜営業のスーパーに買い物に来たおばあちゃん。
犬の散歩。
ジョギング。
なんだかすごくふつーな風景で、「夜遅い」という気がしない。
あぁ、眠らない街に住んでるんだなぁ。
“そそくさ”を絵に描いたような様子で、
稽古が終わると先頭きってスタコラサッサとお帰りあそばしていたマエストロ。
ぺちゃくちゃおしゃべりしながらエレベーターを待つ合唱団を尻目に、
ひとりで階段を駆け下りていくのが常だったマエストロ。
みんなとちょっと距離のある、
たとえて言えば、いつも指揮台の上にいて、
みんなとの間に線を1本引いてる人。
そんな感じ。
そんなマエストロが、めずらしくヒイラギのすぐ背中にいた先週、
話しかけてみた。
――こないだは台風まで来ちゃって、すごかったですね。
あぁ、今日、マエストロが本番なんだなぁ、て思ってました。
「あはは、そんなこと考えてたんですか。
僕、あの日は東京にいなかったですよ。」
なんだ、話しかけられれば意外にふつうにお話する人なんじゃん。
昨夜はまた、いの一番に稽古場を出てったマエストロ。
おしゃべりしながら一緒にエレベーターを待ってた仲間のIさんが、
不意に誰かに話しかけた。
振り返れば、マエストロ。
あ、どーも、と会釈してエレベーターに乗り込むと、
マエストロも乗ってきた。
「さっき、2人で目の前で笑ってるから、なんか気になっちゃった」
と笑ってみせる。
なんだ、こんなに近くでお話できる人なんじゃん。
そんな、マエストロのこと笑ったりしませんて。
何の話で笑ってたんだか、2人とも憶えてないくらいですから。
区民オペラの歌劇団で冬の間だけお世話になること8年。
やっとこさ、ヒイラギに慣れてくれたのかな。
もう間もなくウィークエンドという金曜日の午後5時40分、
今日3本めの校正がすっかりきれいに片づいた。
これから次の原稿にかかるには半端な時刻。
少し早いけど、仕事を切り上げて稽古場へ。
ここらで過労気味の感性をリフレッシュさせても罰は当たるまい。
いつもは連絡の悪い通勤電車は、今日に限って急行がやってきた。
いつもは延々下りてこないカルチャーセンターのエレベーターは、ドア全開で待っていた。
いつもは2,3人待たなきゃいけない稽古は、すぐに番が回ってきた。
琴に三味線。
立て続けに弾き歌うこと40分余り、
砂に水がしみるように、音がからだにしみ込んでいく。
指先から喉元へ、音符が体温になって駆け抜けて、声になってでていく。
そうそう、この感じ。
感性を遣いすぎたときは、
音楽のお灸が効くみたい。
「忙しいみたいだけど、練習してこなくていいから、
からだにだけは気をつけて」
涙がでるようなお言葉を先生からかけてもらいつつ、
稽古場を出る。
駅のホームで時計を見れば、「19:50」。
もしや。
恵比寿の稽古場から、金曜の夜恒例『Carmen』の稽古場までは
電車でほんの4駅。
休憩が終わるころには着ける計算。
参加する前から、〝練習に半分しか行けなくてもいいですか~〟などと
不届き千万なおサボり宣言をしていたヒイラギを、
「まぁ、相談だね」
と言いながらも見逃し続けてくれてるマエストロに、
たまにはヤル気らしきものを見せておくか。
イヤ、しかし、欠席のつもりでハナから楽譜も家に置いたまんまで
ヤル気らしきものなんぞ見えるのか。
自分で自分につっこみながら、丸1時間遅刻して到着。
歌声が途切れたところで、おそるおそるドアを開けると、
「あ、ボンソワ♪」
みんなが笑顔で迎えてくれて、のっけからアットホーム感倍増。
4幕のいちばん凛々しい歌だといふのに、
マエストロが思わず腰を浮かしちゃうほど、
思う存分まったりとエスカミーリョを称えてしまいましたとさ。
金曜夜の音楽漬け、かくもヒーリング効果大。
ゴールデンウィークもリサーチプロポーザルも演奏会への出演も犠牲にして、
ここ数ヶ月かかりきりだった『社会イノベーション事例集』が、
ようやくゲラ校正までたどりついた。
年度末の大騒ぎのなかでインタビューのテープ起こしに明け暮れ、
持てるクリエイティヴィティというクリエイティヴィティを搾り出してすべての原稿にキャッチコピーを付け、
先生の原稿の広い広い行間に頭を埋めながら跡形もなく書き直し、
世界をまたにかけて飛び回っている社会起業家たちをつかまえては写真データを刈り取り、
連日深夜まで作業に励んでくれている制作スタッフに打てば響くよに指示を出し、
そうこうしているうちに厚手のセーターからTシャツへと季節が変わった。
友人のジャーナリストに執筆をお願いした部分は、
任せて安心、プロの目で手直ししてくれるだろうし、
あとは用語統一と誤字・脱字の最終チェックにかかるまで、
しばしの休息・・・
と、思いきや。
「通常は絶対にさせないことですけど、ヒイラギさんになら」
と友人から想定外の全権委任。
いやはや、急転直下、責任重大のプロの名代。
だけど光栄です。
おだてられれば樹に登り、頼まれればイヤとは言わないヒイラギ、
――確かに、間に入って伝言ゲームに奔走するよりはラクなのかも
などと、本日も帰宅してまで校正とキャプションの捻出にいそしむ。
夢の長期休暇までは、まだしばらく遠いらしい。
朝9時、起床。
「ゲゲゲの鬼太郎」とミルクジャムトーストとコーヒー。
昨夜の「ごくせん」と、洗濯。
出かける用意。
バッグには、リサーチプロポーザルの原稿と、『Carmen』の楽譜と、先週のマエストロの声。
行き先その1。
三曲名流大会@東京文化会館大ホール。
もってきた原稿に手を入れながら師匠の出番を待つ。
開演から1時間半ほどで目的の演奏を聴き終わって、次の行き先へ。
行き先その2。
デザインフェスタ@東京ビッグサイト。
ゆりかもめに揺られ『Carmen』の復習しながら、
前職の同僚が出展しているブースを訪ねる。
ガラス細工の美しい小皿を購入。
会場を出て、なんとなく、バスに乗車。
ふたたびマエストロの声をぼんやり聴きながら、東京駅までドライブして帰宅。
PCの電源を入れて、メールチェックして、コーヒーを2杯ばかり。
「サザエさん」を横目に、ようやくリサーチプロポーザルの原稿を取り出す。
しかし往生際わるく、ここでゆっくり夕食。
さらにデザート代わりの「キャッチ!タッチ!ヨッシー!」。
「日曜洋画劇場」とともに、しぶしぶ加筆開始。
長い映画が終わったころ、やっとのことで新しいスライドを5枚ばかり書き終わる。
今日はこれまで。
どうもノリが悪い。
どうもここへ来て、博士課程への熱意が急激に萎えているヒイラギである。
思い浮かぶ理由はふたつ。
ひとつは、今年に入ってからの異常な忙しさでの“燃え尽き症候群”の症状。
ずっと引っ張られっぱなしで、パンツのゴムが弾力を失いつつある気配。
いいかげん、徹頭徹尾プライベートな休みがほしい。
そしてもうひとつが、
「学位もってる or めざしてる人たちって、どうしてこうロクデモナイんだ!」
という出会いが続いているせい。
どうもトンチンカンなフシギ博士とばかり出会っている。
最近のは完全にKYかつIW。
たとえば。
「ヒイラギさん、背が高くてコンサルタントやってる人なんですけど、知りませんか?」
はあぁ?
挨拶もなく、何の前置きもなく、ヒイラギの顔見た第一声がそれですか?
背が高いコンサルタントって、世界中に何万人いるんですかね?
「いや、ご存知だったら、連絡先おしえてもらおうかと思って。」
てか、知ってたって教えないし。
今日も今日とて、突然のショートメール。
「今日の授業のスライドです。博士課程のメーリングリストに流してください。」
えぇっとね。
ヒイラギは博士課程の学生であって助教や事務員ぢゃーないですし、
今日の授業のメンバーでもないですし、
だいたい今日の授業の資料を博士課程5期全員に流したりしたら迷惑ですし、
今日の授業の履修生が誰と誰で連絡先がどこなんて知らないですし、
そうゆうことは、ごくごくふつーに考えて、
「先生」が「履修生」に連絡するもんぢゃーないでしょーかね。
〝ああはなりたくないんだけど〟という人に限って、なぜか持ってるんだよな、学位。
この人、スゴイぞ!と尊敬できる博士は今んとこ2人か3人。
それってどうなのかな~。