ビンボー金無しのはずがなぜか五月は二度の歌舞伎観劇。
一度は明治座。
らぶりん大活躍でたいそう楽しめた。
息子のために四十をとうに過ぎてから歌舞伎の世界に身を投じた中車さんが、
体当たりで演じる姿にも胸を打たれたしこのかたの実力派俳優の底力は本物なのだなぁと拍手。
激励の意味も込めて舞台写真を一枚ゲット。
そして、広~い人脈をお持ちの知人に招かれ新しくなってから初めての歌舞伎座2階席。
こちらはきくちゃん大活躍でやっぱり楽しかった。
二演目、がらりと違うどちらも難しそうな役どころをしっかりと演じきったきくちゃんと、
ちょい役ながら怒涛の長ゼリフが見せ場だった某共演者の、テンポ感ナッシングな自己陶酔ワールド。
いいお席に招待してもらった手前、控えめにしていたヒイラギだけど。
観終わって件の知人曰く。
「いや~困ったねえ、どうしてあげたらいいんだろう…」
そうなんすよ。
全員のセリフ運びとか間合いの取り方とかが形作る芝居全体の流れを、
大ナタでぱつーんと断ち切ってずるんずるん引き延ばしてだらぁ~んと大見得切っちゃうあの悪いクセを、
どうしてあげたらいいんだろう。
他の部分はすこぶるテンポよく観ていたはずなのに、
予定を15分ぐらい押しての終演。
人前でしゃべるのそんなに上手じゃないからひとのことあんまし言えないけど。
大学の講義もしゃべるの飽きてきたヒイラギと聴くの飽きてきた学生とのせめぎあいだけど。
だが。 しかし。
あー。
うー。
まいどおなじみ、執筆中の現実逃避トンズラ癖。
今回はBambooのアニキにそそのかされ、あ、いや、もとい、背中押され、
いつになく壮大なスケールでしかも確信犯。
JR東海ツアーズで東京-新大阪の日帰りおトク切符をしっかり手配したうえで。
行ってきました、人生初高野山。
こういう発作的な犯行の場合、欲張ると失敗するにちがいないので、
とにかくトッププライオリティの目的をひとつだけに絞り込んで決行。
なにはともあれ、残り2日にせまった高村光雲作・金堂ご本尊の史上初御開帳。
とにかくこれだけは。
とはいえ、広い。
そして、色々ある。
どこからどう手をつけていいものやらよく分からんので、
こういうときは先人=Bambooアニキをお手本にすべし。
高野山駅からまずはバスで奥の院まで行ってしまいたい衝動をぐっとこらえて大門へ。
そこからはぶらぶら歩ける範囲と順路で行き当たりばったり。
結果、なるほど読みは大当たりで、大挙して押し寄せる観光バス軍団により、
何かにつけて時間がかかるので、大門から檀上伽藍、霊宝館を経て、
最後に金剛峰寺は中に入らず境内だけざっと徘徊しておしまい。
その気になればも少し足も延ばせたかもしれないけど。
金剛峰寺のご本尊、空海さん像のほうも拝めたかもしれないけど。
また次の機会に、てのもアリだなと。
生きてるうちに、もういっぺんくらいは来れるだろうと。
そんなこんなで、お会いした仏さんのうち、特に印象深かったのは。
霊宝館の大日如来さん。(金堂の高村光雲作、でないところがなんとも。くす♪)
それと、こちらも期間限定公開だった運慶作、八大童子立像。特に指徳童子と阿耨達童子。
あと、空海さんが唐から持って帰ってきた諸尊仏龕とか。
快慶作の孔雀明王像もなかなかの見ものでした。
興味のある人は、本日中に霊宝館へGO!
朝5時起きでのぞみ1号に飛び乗り、
のぞみ62号に揺られて日付が変わるころに帰宅するまで。
はじめから意図的に欲張らないで観て回ったわりに、
ありとあらゆる出来事がちょうどタイミングよく連なった一日。
これも空海さんのご加護ってことかも。
さて、今日からまた気持ちよくがんばりましょう。
金堂前は参拝者大挙でこんな有り様。
ご本尊のお顔を拝見して出てきたら、ちょうど1時の鐘が撞かれ、
高野山高校の生徒による臨場感たっぷりの紙芝居を見せてもらい、
それから根本大塔を拝観して出てきたらちょうど法会が始まるところでした。
おまけ。檀上伽藍の中門再建に使われた374歳(!)の檜。
今期、担当している講義は理工系の学生くんたちのなので。
なんだろな。
ほかの先生たちに言わせると“コミュニケーション障害”などという言葉まで飛び出すのだけど、
ヒイラギ的印象でいえばそうではなく、シャイというか、ピュアというか。
社会人のほうが、こちらが予想したよな反応を示してくれるので、
ともするとうっかり、学生くんたちを自分の既成概念の枠にはめてしまいがちなのだが。
一人ひとり違うキャラだけれども一様に、無色透明なんじゃないのか。
自分のなかに生じた問いに対して“正解”を求めてしまうとか。
話しながら問いかけても返事がかえってこないとか。
っていうのは、ただ単に、何の計算もなく、100%全力で躊躇しとるだけなのでは。
てことに、今日は気づけたヒイラギなのであった。
いえね。
わかっちゃあいるんです。
ンなありがたいこと、文句言ってちゃイカンよってことぐらい、
百も承知のすけなんす。
でもさー。
学生クンたちこんなにも一生懸命、興味持ってくれすぎて、
90分授業で7人くらいはミニ研究発表してもらおと思ったのに4人でタイムオーバーって。
1発表10分、時間かかっても15分、
ぐらいが目一杯だろうしあんまし時間余ったら次回分の前半くらいは前倒しで講義かなー
なぁんて平和な予想をコテンパンに裏切られ。
ゲスト講師も呼んじゃってるのに。
ワークショップも体験してもらおと思ってるのに。
予定シラバス分の話、終われるんだろか。
むーん。。。
ふだんから連休みたいな調子なので、
GWかどうかってことはほとんど考えずに暮らしていて。
するってぇと巷はUターンラッシュとかの日でも引きこもってパワポ作ってたり何か書いてたり。
かと思えば、みどりの日はタダだからと近くの都立庭園にぶらぶら遊びに行ってたり。
今日も暑すぎず涼しすぎず適度に晴れて適度に雲のある絶好のお出かけ日和にもかかわらず、
引きこもり。
何やってたかって、そういえば次の週末が明けたら講義だわと思い出して、
学生くんたちの発表が異常に短時間で終わっちゃったときのためのパワポづくり。
次回から話しはじめるテーマはいよいよ普及理論の入口。
一般の人には言葉を聞いただけで難しそうな印象かも知れない。
個人的に、この分野の参考書としてダントツでバイブルに位置づけているのが、
Everett M. Rogersの『Diffusion of Innovations』(Fifth Edition, 2003)
イノベーションの定義から普及、ケーススタディまで、もりだくさんの、原書だと全551頁。
ま、いちおうこんな程度には読み込んである。
あーこの話は前にこの講演でパワポ作ったはずだなー、とか、
ここんとこの理屈は博論のときにこねこねした気がする、とか、
もうちょっときれいな図を使いたいからも一回スキャンするか、とか。
われながら飽きずにちょこまかPCに向かうこと実質半日、断続的に一日。
それでもってあらためて気づいたり。
ロジャーズが好きなんだなてことに。
でなきゃ全国的に休暇モードな空気で日がな一日こんなことしてないんだろーな。