ピアノの伴奏に続いて出した第一声でちょん切られて、
要領を得ない講釈と自虐ネタを聞かされて、
良い見本なのか悪い見本なのか分からない発声を聞かされて、
「すいません、もう一度だけやらせてください」のセリフで振り出しに戻る。
この繰り返しで2時間半。
同じところを繰り返せば繰り返すほど、
着実に全員がやる気を失い、声を抜き、姿勢がダレて空気はよどんでいく。
さらう箇所は、先週、演出家のババ先生がみっちり稽古つけたところ。
そうじゃなくて。
次にババ先生が来るまでに、
次のとこやっとかないといけないんじゃないかな。
その前に初めてマエストロが来たときも、
途中交代した後は、マエストロがやった箇所のおさらいだったらしい。
彼らの指導を、彼らの意図しない方向に上書きしてどうする。
早く立ち稽古にならないかな。
いまの職場に入ってすぐ、責任者として任された仕事が、
ニューズレターの編集・発行。
ここがどういう志のシンクタンクなのか何一つ理解していない新入社員に、
社としての情報発信媒体まるごとお任せ、て。
むちゃくちゃやな~と思いつつも、
編集責任者になって2号目のニューズレターを昨日リリースした。
ここのシンクタンクは、特任やら兼任やら客員やら、
とにかく普段いない人だらけでみんな忙しいわ、
自分は自分でありとあらゆる社内業務を一手にさばく役回りだわで、
1号分の分量の記事が集まるまでがとにかく大変で。
今号は結局、客員研究員おひとりに自己紹介を書いてもらったほかは、
残り3ページ半の紙面を埋める記事すべて、
仕事の合間に自分で企画して、書き起こして、レイアウトして、編集。
(いやこれ本来は仕事のハズなんだが・・・)
それでどうにかこうにか「10月号」として出せるぎりぎりの日にリリースできた。
いつの間に?と先生からはオドロキのメールをもらったぐらい、
とにかく前号を出して以来4ヶ月、にっちもさっちも行っていなかった。
夏休みシーズンの漫画雑誌みたく、ほぼ「全編書き下ろし」の豪華版。
こんなのが出せたのも、この『ヒイラギ日記』のおかげと言えなくもない。
どんなにネタもストック原稿も尽きていたって、
‘無理やりでもとにかく毎日なんか書く’ってことを、
これでもう1240回も続けている。
この技術は、われながらちょっぴり〝えっへん〟な感じ。
でもまぁ、ブログやらニューズレターだから、
すきま時間に軽~く書き流した文章でもどうにかなっただけ。
学術論文となるとこうはいかないのが、この世界のつらいところ。
<本日の・・・>
野沢那智さんが亡くなった。
さすがに主だったニュースサイトにずらりと載ってる。
そりゃそうだよ、ショック大きいもの…
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E1E2E2E0808DE1E2E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20101030-OYT1T00608.htm?from=main3
http://www.asahi.com/showbiz/news_entertainment/TKY201010300274.html
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/101030/tnr1010301846012-n1.htm
永遠のルパン三世&ダーティ・ハリー、故・山田康雄さんに並んで、
ヒイラギにとってはニッポン声優界に欠かせない人だった。
永遠のナッシュ・ブリッジズ&ジョン・マクレーン。
前回のくどうさんに続いて、今日も若き社会起業家の講演。
“ワンコイン健診”サービスを生み出した、かわぞえさん。
社会をよくするために働くということ。
自分がそれをやらなくてどうするのか――
大変だけれども、そういう生き方を選ぶ人がいるということ。
しかも、そういう人たちどうしがつながり始めているということ。
飛び込み依頼を引き受けてくれた講師から、そんな話が聴けたときが、
とても嬉しい。
こういう人たちを応援していて良かった、と思う。
「こんな貴重な話を少人数で聴ける贅沢な機会をありがとうございます」
受講者が目を輝かせながらそんな風に言ってくれたときなんか、
最高に嬉しい。
講師の人選みたいなところからひっくるめて、喜んでもらえた気がする。
とどめに、今日もご苦労さん、と晩ごはんご馳走してくれた先生が、
「こういう人と話すと、本当に気持ちがいいね」
と言ってくれたときは、
あぁ、ちゃんといいお仕事できたんだ、と心底ホッとする。
二週間ぶりに顔を合わせた学生アルバイトのSクン。
就活やらインターンシップやらで、今とっても、働くってことに興味津々。
「シンクタンクの研究員の仕事って、正直ピンと来ないんです」
尋ねられるままに、30分ほど話した。
初めて勤めたシンクタンクで、
所長秘書ではなくて研究主査をやりなさい、と言われたその日から、
どんな人たちに囲まれて、どんな人たちと出会って、
どんな仕事をして来たか。
「すげえ ボク、こんなすごい人と一緒に働けてるんだ…!」
いやいやいやいや。
すごいのは私じゃなくて、ここまで引っ張り上げてくれたすべての人たちで。
そこんとこ誤解のないよーにね。
先週のいまごろは、熱で汗をかきかき、神戸にいた。
冷房のきいた船で瀬戸内の島々に足をのばして、
人気の整理券争奪戦に駆けずり回ってやっぱり汗をかいた。
そして今夜は、コートにマフラー信州のとある栗と北斎のまちを歩き、
たどり着いたユースホステルでは部屋に床暖房が入れられている。
明日は雪もちらつくらしい。
この移動ペースと気候風土の違い。
ニッポンが狭くなったような、やっぱり広いような。
いつもは何週間も音沙汰ないのが当たり前で、
読んでくれてるんだかどうだか、
送ったメールに返事がもらえる確率も半分くらい。
そういう人から頼まれてNPO活動を手伝ってはいるものの、
ここのNPOは、彼を筆頭に、な~んか、よそよそしい。
仲間に入れてもらったという実感がないまま手伝っていて、
「手伝ってほしいんだか、全力で接触を避けたいんだか…」
って少し前に書いたけど、
ホント、そんな風に感じながらやっている。
だから、彼から何やらオドロキのペースでメールが来はじめても、
別にそんなに必要とされてるわけじゃないから、とのんびり構えていた。
ccだからいっか、と思って流していたら、
次のメールからがっつり宛先に入れられてた。
えーやっぱり返事しなきゃなのかなー、と思ってコメント返したら、
速攻で、ぜんぶ対応済みって返事が来た。
なんだ、やっぱり口出さないほうがいいんだ、と思って、
終わってること言っちゃってごめんなさいって謝っといたら、
また速攻で、「これまで通り気がついたことは遠慮なく言ってください」
どうしたらいいのかよく分かんないけど、
とりあえず彼に言われた通りにしてればいいってことなのかな。
・・・まぁいいや。
あんまり良い癖でもないのかも知れないけど、いつもそうやってしまう。
仕事も、習い事も、たとえばNPO活動も。
一週間の出張から戻って、一日だけの休日。
安静にしてもいられなくて、荷物の片づけに洗濯、掃除、次の出張手配。
それから、縮小版の楽譜に、千代紙で表紙つくって、のりづけ。
この表紙づくりの作業が、ヒイラギにとっては、
来月演奏する曲を暗記するための、はじめの一歩。
なんかほら、きれいな表紙がついてると、
すらすら憶えられそうな気がするじゃん。
こういう癖って、治らないものなのかなぁ。
学生時代、試験期間になると、机の引き出しかたづけてた。
なんかほら、机の周りがきれいになると、勉強できそうな気がするじゃん。
社会人になってからもやっぱり同じ。
入りたての職場の仕事はカタチが見えないんだよな~、と思った。
時間がかかっても、周りの人とモノのあり方を固めてからじゃないと、
思うように力を発揮できなかった。
自分のことを相手が分かってくれるまでにもものすごく時間がかかるけど、
一緒に何かをやる相手に対して、自分が安心できるまでにもかなりかかる。
種をまいたところの土を、手のひらでぽんぽん、て固めてカタチを整える、
みたいな、そういうことをやらないと、動けない。
そんなわけで、手間ひまかけてカタチを整えたわりには、
あなたはいつも忙しそうね、と思いやりあふれる師匠から、
暗記免除のおゆるし。
「今日のリハーサルで楽譜を見ている人は、当日も見て弾いていいわ」だって。
さすがに、二週間のハズだった二曲を一夜漬け、は間に合わなかった。
神戸のヒアリングで聞いた。
T(徹底)・T(的に)・P(パクる)
という言葉だそう。
イオンの社内用語というか、推奨されている精神なのだとか。
この言葉、
“起業家精神”に通じるものは、たしかにあるのかも知れない。
「パクる」というと人聞きが悪い気もするけど、
そのパクり方にオリジナリティがあれば、
そこからは新しいビジネスアイディアとして認知されるものが生まれる。
修士課程でビジネスモデル特許の明細書を書いていたときは、
アイディアが新しすぎて、先を行き過ぎている、と先生に注意された。
“一歩先”じゃなくて“半歩先”くらいの新しさが、ビジネスでは当たる。
徹底的にパクったアイディアに、
この“半歩”のさじ加減で創造性を加えられるかどうか。
TTPのコツとでもいうような、
そこらあたりが世の起業家たちの挑戦の成否を決めるのかも知れない。
まぁ少なくとも、
TTPと聞いてとっさに“text transfer protocol”と思ってしまう工学系のヒイラギには、
商売の才覚はないらしい。
べつに他意はないのだけど、生来の天真爛漫ゆえ、
先週の微熱が下がらないまま出張してるから、というそのまんまの理由で、
色々な頼まれごとに全部「東京に戻ってから」と返事しておいたら。
来るわ来るわ。
「体調が心配ですね」「だいじょうぶですか?」から始まって、
「体調優先で構いませんから、気にしないでください」
「無理を押して手伝ってくださってありがとうございました」
とどめは先生から。
「ヒイラギさん、風邪は万病の元。出張後は安静にしてください」
東京に戻ってからPDFで送りますと言っていたデータを、
代わりに全部PDF化して送ってくれてた。
温かい人たちに囲まれて、ありがたいことです。
でもNPOがらみで知り合った人からもラブコール来ちゃって、
また仕事がひとつ増えそうな気配だな~・・・しかも舞台はアフリカですか・・・
そいでもって、明後日はリハで、火曜日からまた出張なんだな~・・・
うぅ・・・