今月はお誕生月ってことでクーポンもらったり色々したので。
昨日は『AMERICAN SNIPER』観てきました。
永遠のハリー・キャラハン刑事、クリント・イーストウッドの監督最新作。
ストーリーには影響ないと思うんでネタバレってこともないでしょうが、
この映画、エンドロールの間は無音です。
長いクレジットとともにテーマ音楽を大音量で張り切って流すのが通例ですが、
この映画、だまーって淡々とエンドロールです。
くどいようですが、2時間半近い物語ののちの、無音です。
ここに、明らかに、クリント監督の、この作品にこめた、意図を感じます。
これほど雄弁なメッセージの表現手法があるでしょうか――。
何の音もしない中、粛々と、作品にかかわった多くの人々の名前が流れるのです。
沈黙に包まれて考えてほしい。
暴力の連鎖ほど不毛な悲劇はない。
どんなもっともらしい大義名分を言いつくろったところで殺人は殺人。
人によって受け取り方に違いはあるだろうけれども。
ヒイラギ的感性によると、そういうことなのだと。
ただ、、、
圧倒的な迫力の無音のエンドロールに目もくれず席を立つ人は、それでも居た。
彼らがマイノリティであったことには、一抹の希望をみた気もするが。
メンバーの高齢化に伴い多少の入れ替わりがありながら、
なんのかんの言いながらも都合15年間にわたって、
一つの歌劇団でオペラの舞台に立ち続けてきた。
15回目という節目の公演だった昨日は、
初めてのフランス・オペラに女声だけでも130人という規模で挑み。
ぶっちゃけ。
・・・無謀にもほどがあったな。
オペラ経験者の割合が例年(イタリアもの)に比べてガクッと下がってるところへ、
どばっと応募してきたほとんどがソプラノの声域を満足にカバーできないソプラノ志望さんたち。
(いやいや、数で勝負できる類のことじゃねーから。)
音楽的完成度がほぼ期待できない中で。
数少ない『Carmen』経験者たちが数少ないオペラ経験者たちへ本番寸前までアドバイスしつつ、
両者の持てる力MAXでトラブルもろもろの封殺に努めてどうにか本番クリア。
これだけやってきて、さぞや思い入れ深く仲間と別れを惜しんでいるかと思いきや、
90分一本勝負でさくさく打ち上げて軽くじゃあねと手を振ってするっと帰宅。
だって欧州時間の午前0時がアブストラクト提出の〆切なんだもん。
そのうえ某大学の某公募に送る履歴書類一式、ここ2,3日で作んなきゃなんだもん。
やっぱね。
いかに本職が薄給でもいちおうの食い扶持は稼げてての芸能活動だから。
そこへもってきて。
『Carmen』というマイルストーン的な作品をやり遂げたという事実と。
あまりにもゴタゴタが多すぎたことへの納得のいかなさと。
引き際としては良い頃合いかなという気持ちと。
ヒイラギのことをいたくお気に入りの運営責任者の“小太りじいさん”から「必ずまた来てくださいよ」と懇願されつつも。
さてどうしよっかねー。
建国記念日で祝日の今日は、2本目の記事。
右翼の街宣車が君が代鳴らしながらパトカーに追い回されてるのを尻目に、
フレンチな感じの名前のバーやら雑貨店やらが点在するシャレオツな都内某所へ。
“Dialog in the Dark”
ドイツ生まれのこの活動を知ってからすでに何年か経ってしまったけど、ようやくの初訪問。
「一期一会」てな粋な体験イベントがあったので行ってきました。
どういうイベントかは言わずもがななので詳細は省くとして、
真の暗闇って、不安とか怖いとかじゃなくなぜだか妙にスッキリした感じ。
なんかこの感じ、けっこう最近もあったなぁ、と考えてて思い出した。
去年の暮れに一度だけやってみた、週末プチ・ファスティングのときだ。
暗闇の中でホットココア飲みながら究極まったり和んでしまっていたのだが、
あの安心感は何だったんだろうと考えてみると、
私たちの暮らしてる日々にはあまりにも強すぎる刺激の数々があふれてしまっているのだと気づく。
暗闇の中の対話――
明るさの断食、的に心の中に溜まった色んな老廃物を浄化してくれるのかも知れない。
またいつか、行ってみよう。
昨夜のロードショー初回。
シネコンの150席はほぼ満席で“シニア”っぽい年代の男女の姿も。
誰ひとり、エンドロールが終わって会場の明かりがつくまで席を立つ人もなく。
そんな光景がすべてを物語っている気がする。
後にも先にもこれほどのインパクトで主張ができる、
それでいて人間ぽい弱さと愛情にあふれたショウマンがいただろうか。
そしてこれからも、彼を超える表現者は現れないだろうと思う。
真の意味で彼のモノマネができる芸人すら、現れないだろうな。
こんな、貧相なボキャブラリーではフィルムの感想すらうまく言い表せない。
せめて端的に、なんちゃって漢文で記しておく。
不世出摇摆舞王日在雄姿名曲全編号泣請合必携手巾鼻紙口罩!
早いもので。
カレンダーがヒイラギお誕生月になって間もなく一週間。
毎年この月恒例のオペラ公演は、
本番まで通し稽古、オケ合わせ、GPを残すばかりに迫り。
その割には音楽的な完成度の稀に見る低さに、
稽古の回を重ねるごとに心折れながらも。
天才ジョルジュ・ビゼーへの申し訳なさに、
楽譜を開くたびに嘆息しながらも。
全世界の万人に平等な時計の針だけは着々と時を刻み。
生物学的にはオスのはずなのに女のようなヒステリーの演出家に罵倒されては、
一度婦人科で診てもらえと陰口をたたいたり。
世界がねぐらだと自由を謳歌する言葉の裏の一抹の寂しさだったり強がりだったりの、
詞にこめられた感情をまるっと無視してただの邪悪な盗賊になりさがらねばならん演技指導を軽蔑したり。
何かと。
気持ちの折り合いを無理やりつけつつ。
だったら(演出家の言うように)とことんリアルを追究してやろうじゃないかと。
モノホンのオレンジを買いに行こう。
本番でホントに食べてやるぐらいの勢いで。
明日にするけど。
だって今日は雪だし。
んなワケで。
来たる2015年2月15日(日)午後2時開演のオペラ『Carmen』
すでに大ホール1640席全席完売です悪しからず。