じつはいま、富士通の世代交代が起こっている。
社長交代ですったもんだの話ではなくて、わが家のモバイル機のお話。
2002年6月から頑張ってくれているミニPCのLOOXクン、
御歳8歳のCPUはあまりにも限界らしくて、
メール1通打ち終わるのに30分とか小1時間もかかるようになった。
かな入力ユーザーはただでさえ打つのが速い。
変換キーを叩き終わってからもウ~ンウ~ンとうなったまんま、
1分も2分も、変換候補どころか入力された文字も表示できないでいる。
愛着はあるけど、これ以上はムリだよね、
と思い切って発注した二代目LOOXが届いたのは、一昨日。
こだわり屋ヒイラギ、むろんカスタムメイドモデルだが。
ほとんど変わらないスペックで、3分の2ほどの小ささになって、
片手で軽々と持ち上げられる。
必要なソフトのインストールも、先代と比べると瞬速。
ざっと初期設定を終えて、さて腰を据えてメール関係のデータ移植をしようと、
大事な人からのメールが途切れたところでバックアップしようとしたら。
先代、何を思ったか、急にさくさく働き出した。
まるで、「まだまだ若いモンには負けへん!」とでも言うかのように。
こういう姿をみると、やっぱりマシンにも感情があるんだ、って思う。
8年間、ヒイラギが何を考えて、どんな文章を書いて、
どんな人たちと、どんな気持ちのやり取りをしてきたのか、
全部、見ていたんだものな・・・
この子のこういうところが、愛おしいのだよな。
本当にいよいよ最期のときがくるまで、
わが家のパソコンたちの頭領でいてもらおうかな。
明日の祝日からいよいよ夢の11連休、という今夜。
オペラ仲間のお姉さまと久々にお食事しながら、近況報告。
じつは2月のシンポジウムの直後に、
4月からの仕事の話を持ってきてくれた知り合いの先生がいて、
とんとん拍子に話が決まって、民間シンクタンクに移籍したことは、
まだほとんど誰にも話していなかった。
新しい職場はこんなところで、
こんどはこういう先生の指導の下でこんな仕事をしていて・・・
話しているうち、姉さまもこの先生をよく知ってる、ということが判明。
こんどの職場も大学がらみだけど、なんとこの大学、
先月までいた職場のチーフの、曾お祖父さまが創設した大学。
なんというか、世界は案外、そう広くはないみたい。
週に1日、男子学生がアルバイトに来てくれることになった。
ごく普通の体格の、穏やかで優しそうな外見なのに、
こんど大きな複合機を持ち上げるの手伝ってね、と頼んだら、
「任せてください。なんなら僕一人でもできますよ」
と、こともなげ。
あぁ頼もしい。
男の人って、もともと力があるレベルがちがうらしい。
ヒイラギ一人のときは、コピー用紙の小さい箱ですら、
体重かけて押したり引きずったりしていたのにな。
出身を訊かれたので、京都、と答えると今度は、
「わぁー、いいなぁー、京都!
こんなに近くに京都の女の人がいるの、僕、初めてだー!」
と、ものっすごい嬉しそうに、目をきらっきら輝かせて喜んでた。
京都って聞いただけでそんなに喜べるってすごいなー。
こういうピュアな人って、側にいてくれると、なんかほっとする。
職場が劇的に近くなった。
ドア・トゥー・ドアでたっぷり1時間かかっていた通勤が、
たった20分で済む毎日。
朝ゆっくりできるのもありがたいけれど、
夕方、途中で寄り道して帰っても6時台、というのは感動的。
1日ってこんなにたくさん時間があったんだっけ。
時間にゆとりができると、心持ちも穏やかになって、
ひとりでに顔つきも優しくなる。
そんな空気は、すれ違うだけの周りの人たちにも伝わるみたい。
買い物をしたビルの玄関は重いガラスのドアで、
片手に仕事カバン、片手に買い物した荷物。
さぁ、ドアを押し開けましょうと荷物を片手に持ち替えていたら、
後ろから来たおじさまと、前から来たおにいさんが、
両側からドアを開けて、どうぞ、と待っていてくれた。
世界で一番、女性のエスコートが苦手な日本人男性が、
ふたりも同時にドア開けて待っていてくれるなんて。
‘優しい気持ち’の威力はすごい。感動的。
ある人からのメールを待っている。
それが来ないと、これ以上は進めないし、期限に間に合わなくなる。
それでも、今日のような日は「啼くまで待とう」と思える。
仕事と時間に追われるばかりのときは、気持ちも信長だったけど。
そう思って、奇しくもほととぎす、って時の鳥と書くのだなぁと気づく。
またまた、変なところで感動的。
・・・ホントに啼くまで待ってていいのかな。
ま、いっか。
この歌舞伎座で歌舞伎を観るのはこれが最後。
甘栗屋さんもなくなっちゃうらしいし、
歌舞伎そばとも、幕の内弁当ともお別れだ。
劇場に足を踏み入れる前から押し寄せる食欲に惑わされつつ、
何もかもを目の奥に焼き付けておかなきゃあと、
通いなれた劇場の天井や手すりの古びぐあいを惜しむように眺める。
お稽古の時間が変更になったあおりで大遅刻。
ひとつめの演目は観られなかったけど、三人吉三に間に合った。
菊五郎さんのお嬢吉三はやっぱり絶品。
幕間の休憩時間、あちらこちらでカメラのフラッシュがにぎやかに光る。
今日が最後、という人が他にもたくさん来ているのだろう。
個人的には、デジタルな写真に残すのはかえって薄っぺらい気がする。
ありのままに、記憶にだけ、残しておこう。
新しい歌舞伎座がお目見えする3年後、
私はどこで何を考えてどんな風に生きているだろうかなぁ。
さよなら。
大好きだったよ。
<本日のぬらりひ川柳>
「あの和音 稽古するのは あおりかも」ぬ
まーね。あおられないと稽古しませんな、たしかに。
あるハズと思っているところに目当てのものが無いと、
ついつい取り乱して、そこらじゅう引っくり返して探し回ってしまう。
いつまで、という期限があるものを探しているときなんかは、
ふつうより冷静さを欠いているので、
さっき見たじゃん、という場所を懲りずに繰り返し見てしまう。
そうそう突拍子もない場所に片付けているハズもないのに、
どうしても出てこないとき。そんなときは、どうしたらいいか。
腕組みをして、頭だけ使って、ひたすら推理してみる。
探しているものは何か。
それはどんなものの仲間で、
自分には、その類のものを何と一緒にしまうクセがあるか。
片づけたのはいつごろだったか、
それはどういう時期で、何を考えてしまう場所を決めたのか。
書き上げた原稿と一緒に学会に送らなければならない、
プロフィール写真のデータCD。
よし、と、1つの書類ボックスに狙いを定めた。
記憶にある封筒の姿を目でざざっと探すんじゃなくて、
中身をひとつひとつ確かめるべし、と立ち上がる。
Bingo!
やれやれ。
落ち着いて考えれば2分で探し出せたものを、
朝から似たような場所を7巡か8巡もしてしまった。
ダサい一日だったな。
初回はお熱で行けなかったオペラの稽古。
昨夜は初めてのマエストロ指導だった。
女声が4部に分かれるところがあって、
アルト仲間さんたちはヒイラギがいない間にこぞって一番下のパートを志願。
人数のバランスからして、メゾアルトを歌うことに。
というか、他に選択肢がなかったんだけど。
『Carmen』以来の真ん中パート、歌ってみて、すっかり自信喪失。
上とも下とも合わせてハモるって、難しすぎる。
音は間違ってないつもりなのに、どうも綺麗にはまって聞こえない。
幸か不幸か伴奏がない。
ピアニストさんが時折弾いてくれる和音に耳を澄ましながら、
上に合わせるべきか、下にあわせるべきか、
心のなかで悶々とくすぶっている間に、曲が終わってしまう。
先週まではなんでちゃんと歌えてたんだろーと思ったら、
2人ぐらいしかいないパートだから、
先生が裏声で一緒に歌ってくれてたんだった。
あーあ…なんか、挫けそうだ。
綺麗な歌なのに。
「国民の、ITによる、日本復活」という力強いテーマのシンポジウム。
昔々、まだ「楽天市場」をこれから立ち上げようというころに、
三木谷さんの話を聴いた。
昔々、ソフトバンクがまだできたての出版系ベンチャーだったころ、
孫さんは勤めていた団体の理事だった。
そんな親近感ある二人の対談とくれば、行かないテはない。
本日は週に一度の無職の日だし、抽選に当たったし、てことで
東京タワーのふもとのホテルまで張り切って出かけた。
三木谷さんの講演はしごくまともだったけど、
孫さんのパワーアップぶりには、少なからず圧倒された。
「命がけでブロードバンドを敷いてきた。
ちょっとかじってるだけの人と私じゃ、根性がちがうぞ!」
「草食系はいかんね。 熱くならんとね!」
思えば、あのころからずっと走り続けている人だものなぁ。
孫さんって、筋金入りのEntrepreneurなんだなぁ。
「大体、歴史上の偉人てのはさ、刺されて死ぬじゃん。
でも生き残っちゃったからねー。
死ぬと教科書に載るんだけどね♪」
一般の聴衆の前で講演するのは十年ぶりらしい孫さん、
対談の最後のセリフに、‘いい感じの人’っぷりがにじみ出ていた。
貴重な2時間。 抽選、当ててくれてありがとうございました!
移籍して2週間。
こんなに違うものなのかーということを、
毎日の何気ない風景から感じ取りながら過ごしている。
まず、お行儀がよいというか、きちんとしているというか、
いわゆる“ちゃんとした子”が多い、というのが第一印象。
昼休みとか、授業時間の直前とかのラッシュ時間帯でも、
校内のエスカレーターは、みんなきれいに1列に乗って、
片側を空けているとか、
エレベーターに乗り合わせたときでも、
相手が目上の人だなと思ったら、ボタンを押してドアを開けていてくれたり、
同じフロアで降りるときも、お先にどうぞ、と待っていてくれたり。
先生にきいた話では、授業で発表をしなさいと言うと、
自分の番の日にはスーツを着てくる子もいるのだとか。
学生ラウンジで、くつろいでいる子はいても、
羽目を外している子は、今のところ見かけていない。
オフィスのある建物の雰囲気も、古びたサティアンから、
ガラス張りのインテリビルに変わった。
お手洗いで用を済ませると、自動的に水が流れる。
職員用の食堂からは皇居や、時には富士山まで一望できて、
食後のコーヒーが進んだころ合いに、おかわりを注ぎに来てくれる。
木々の緑や、季節ごとのさまざまな生き物といった自然は少ないし、
近所の保育園の子どもたちが芝生で走り回る姿も見られないけれど、
どこか、心豊かな、余裕のようなものが感じられる都心のキャンパス。
ほぼ男子校に近い雰囲気の工業系国立大学と、
文化系で共学の私立大学、という違いなのかもしれないけど。
仕事を終えて帰宅して、留守の間に来たらしい宅配便屋さんに電話して、
晩ごはんの支度をしながら、本日の夕刊をぱらぱら。
なかほどに、どこかで見たことのある人の顔写真と名前が大きめに出ていた。
お家元!
1面の4分の1ほどの紙面をたっぷり使って、
5月の演奏会がばぁーんと紹介されていた。
記事の中ではヒイラギが演奏に参加する曲にも言及されていて、
今さらながら、すごい舞台に出ちゃうんだなーと感慨もひとしお。
がんばって、いい演奏しなくちゃね♪
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(2010年4月21日付け 朝日新聞掲載の記事はこちら)
<昨日のおまけの、その後>
当選と落選の両方のメールが来た、特別講演会の抽選。
1通め。18:42
「ご参加【当選】いたしました。」
2通め。21:06
「残念ながら【落選】とさせていただきます。」
なんだろなーと思っていたら、
3通め。21:59
「さきほど一部の当選の方に落選通知が誤って送信されました。」
来た来た。 やっぱりね。
しかしこれ、順番が逆だったら、クレームの嵐だっただろうな。
結果オーライ。