4月の演奏曲のうちで、箏も三絃もある曲は2曲。
両方を習い終わっているのは「佐保姫」だけ。
この曲、本当に合わせるのが難しいみたいで、
本日もリハーサルというよりはグループレッスン状態。どうしてこんなに合わせにくいんだっけ。
リハーサルを終えて帰宅してから、
今回舞台では演奏しない箏のほうの楽譜をとりだして、
おもむろに弾いてみる。
うーん、確かに手事は少し変わっていて難しい。
でも、あんまり記憶にないってことは、
習ったときはさらーっと弾いてたらしい。
ひととおり習っただけじゃダメなんだなぁ、とつくづく思う。
本番曲として舞台で弾くんだ、っていうレベルでやらないと、
ちゃんと身につかないのだなぁ、と。
箏も三絃もある曲は、それをダブルでやるから、
より深く自分のものにできるのかも知れない。
不意に、マエストロの顔が浮かぶ。
そっか、彼が素敵な音楽を生み出せるのは、
どの楽器の音楽も、どのパートの歌も、本気で勉強してるからだ――
体にしみ込ませるように、ただただ、弾き続けた。
やっと、前より少しだけ、よく分かった気がした。
4月の舞台での演奏曲のひとつ。
春らしい美しい曲だけれども、
緩急の変化を繰り返す独特の曲調は、
大勢で合奏するにはとても難しい。
全身で先生の気配を感じ取りながらの演奏が続く曲。
どうも力が抜けなくて、手事が弾きづらい。
首、肩、上腕から手首まで、「要メンテナンス」の赤信号。
強烈に限界を感じて、翌日、ひと月ぶりに“駆け込み寺”へ。「どうしてたらこんなことになったの」
――えっと、すごーく大っきな会議があって、
食べる時間と寝る時間があんまりなかったから。「それって、生きていくために絶対必要な時間じゃない」
――んー・・・
「あのね、そういう働き方をしてるとね、
冗談じゃなくて本当に死ぬからね!」
鍼の先生に久々にこってり絞られて帰ってきた。
そりゃー死んじゃったら困るけど。
演奏に支障があるっていうほうがリアルに困るしな~、今は。
さて、明日はまた、リハーサルの一日。
「Unfortunately, Bill was not able to find the actual pass...」
秘書さんが、こちらの予想どおりの返事をくれた。
ビルったら、ほんとに、すっごい探してくれたんだろうなぁ。
目に浮かぶわ・・・――そんなことだろうと思ってたんで、いいです、別に。
すみませんけど、航空会社に連絡して、
半券の代わりに「搭乗証明書」もらってくださいますか。
なーんて返事しながら、悲しくなる。
納得のいかない“オヤクショシゴト”の肩棒を担がされてる、
このヤ~な気分。
ここの仕事がどれほど常軌を逸した“オヤクショシゴト”か、
久しぶりに会った関西の友人にこぼしてみた。
4/1から始まってる年度の予算が、
ようやく配賦されたのが11月だというのに、
2月の前半までに遣い切れ、3月の頭までに決算ぜんぶ終われ、
っていう通知が、まだお金も来てない7月からたびたび連発されてる――
これ聞いた友人、
1年分の予算を全額3ヶ月で遣い切れってこと?
って念を押してから発したひと言が、痛快だった。「エスパーか!」
<本日のおまけ>
いま、大学と業者の悪質極まりない癒着ネタに直面している。
争いごとは疲れるからキライだし、
今回のことでは、堪忍袋の緒が
「切れ果てている」
という表現が正しい。
やたらとぶちキレて自分が疲れるだけなのはバカバカしいけど、
これが公になることで変えられることがあるのならば、
そういう形で“キレる”ことには大いなる意味があるだろうという気がしている。
<久々のぬらりひ川柳>
「ひと月に 組織するのは 世界かも」ぬ
ずば抜けてすごい人というのはえてして、
とても純粋だったり子どもっぽかったりお茶目だったりする。
そういう人間的な魅力がちゃんとあるからよけいに、すごい。
ずいぶん昔のことのように思えるくらい大変だった、
Bill Drayton氏を招いてのイベント開催。
相手がどんなに世界的なVIPだろうと、
外国からゲストをよんだときは往復のボーディングパスを回収せよ、
というのが、わが国の公金を使った場合の鉄則ではある。
相手がVIPであればあるほど、言い出すのが恥ずかしいような、
幼稚な事務システムだとは思いつつ、
ビルにもお願いせざるを得なかった。「いつも捨てちゃうんだけど・・・」
来日のときは、そう言いながら、上着のポケットを全部ひっくり返して、
小さな半券を見つけ出してくれた。
やったぁ!って、
瞳の奥からすごく嬉しそうに微笑んで差し出してくれた、
優しい優しい顔が忘れられない。
ワシントンに帰った頃合いを見計らって、
帰りのボーディングパスのコピーもお願いします、
とリマインドの連絡を入れたら、
しばらくして秘書さんから返事が来た。「ビルが家に帰って探してみる、って言ってるから、
コピーを送るのは明日になります」
くす やっぱり。
今日はお家に帰って、また上着のポケットをぜーんぶ、
ひっくり返してるんだろうな。
どんなに不合理な組織のなかの、
どんなに理不尽で聴く耳もたない相手にも、
正論を掲げてぶつかっていってしまう。
それでどんなに頭ごなしに叩かれても、
それでどんなに気持ちを傷つけられても、
おかしいものはおかしいし、正しくないことは正しくない。
自分ひとりで、世界を変えられるわけじゃないのに。
自分のこと、いったい何様だと思い上がってるんだろう、
ってことも重々分かってる。
負け続けることはあったとしても、
それでも、
自分で自分を裏切ることだけはしたくない。
それが私のプライド。
本当に寒いさなかというのは、本能的に決まったものが食べたくなる。
鍋とか、おでんとか、粕汁(←これは京都人だからだけどね)とか。
カラダが芯から温まるようなメニューに共通しているのは、
スープが多いってこと。
この食事に含まれるスープのこと、
「おつゆ」とか「おだし」と言いなさい、という家庭で育った。
口に入るものに対しては丁寧な言葉を遣いなさい、とか、
男の子みたいな乱暴な言葉遣いをしてはいけません、とか、
まぁそういう意味で厳しくいわれたのかなと思っていた。
ついこの間、お食事会で鍋料理を囲みながら、
「しる」をどうぞ、と言われたときに、
じつはひとりで、心のなかですっごく驚いていた。
男女とも、きちんとしたお家で育った、とても上品な人たちだけに。
「しる」というと、なんというか、
木の幹とか、昆虫とか、想像してしまっていた。
なんかこう、しみ出してる、って感じの語感で、
食べる物に遣う表現ではないんだ、って先入観がある。
そっかー、関東では女の人もふつうにそう言うんだ・・・と、
納得しようとしている今日この頃。
東京に来てずいぶんになるけど、
いまだに、カルチャーショックというのは、あるもんだ。
今週はこれから暖かくなるらしい。
〝おつゆ〟っ気の多い料理とも、そろそろお別れか。
<本日のおまけ>
京都人としては欠かせないのに、
東京ではいまだに手に入らない食材。
しょうが天。
おでんには、これがないと!!
チクワブなどという得体の知れないものは売ってるのにな~
今年も始まった、リハーサル月間。
四月、五月、と舞台が続くから気合が入っている。
集中力を続かせるのが難しいくらい、ちょっとハードで、
初回ながら、しっかり疲労感。
地下鉄に乗ったら、
鮮やかな黄緑色のスプリングコートを着て、
真っ赤な革のショルダーバッグを持った、
腰までとどきそうなロングヘアの、
口ひげのおじさんを見かけた。
すっごいインパクトで、疲れも吹っ飛んだ。
いくつかのグループの皆さんが企画してくださったなかで、
最後にして最大の祝賀会は、博士課程の同期が主催してくれたもの。
ふたりの指導教授を含めて、
1期生から4期生まで、ずらり20人以上も集まってくれただろうか。
とにかく徹頭徹尾、「おめでとう!」の嵐で大盛り上がり。先生も、
先生も、
机を並べて1年間のコースワークをともに消化した1期生仲間も、
たまの博士ゼミで会うだけだった2期生以降の人たちも、
みんなみんな、ずっと見ててくれてた。
学位をとるのをあきらめて途中退学した同期も駆けつけてくれた。
仕事が忙しくて休学中の同期も、金沢から来てくれた。
広島に転勤した2期生のおじさまも、わざわざ来てくれた。
みんなでお金を出し合って、記念品と花束まで用意してくれてた。
だれもかれも、おめでとう、の次にひと言付け加えてくれた。
「先陣をきってくれて、ありがとう!」
「第1号の苦労は並大抵のものではなかったと思う、お疲れさま!」
「おかげでやっと、自分がどう博士論文を書けばいいのか分かった!」
今日の幹事役を買って出てくれた1期生同期のおじさまが、
それでも、第1号で出たヒイラギさんの未来が形にならなければ意味がない、
今日ここにいるメンバーはみんな、全力でサポートするから頑張れ!
と最後に言ってくれたとき、涙が出そうになった。
博士号といっしょに手に入れた、かけがえのない勲章。
仲間。
昨夜の、ひと月ぶりの師匠のお稽古は、なんと1時間半。
7時30分の音出しで、終わってみれば9時過ぎ。
ところがどっこい、別にしごかれてたわけではなく。
気を失って椅子から落ちるまで仕事してたことや、
仲間に両脇から支えられるようにしてオペラの舞台に出てたことや、
音楽できる心境に立ち直ったのがやっと昨日で、てことや、
どこかで風邪を拾ったらしくてノドの調子が悪いことや、
花粉の季節がもうやってきていることなんかを聞いて、
演奏と演奏の間におしゃべりタイムを挟んで、
休み休み、稽古をつけてくださった、師匠の優しさゆえ。
久しぶりだったし、練習不足で、満足なデキではなかったわりに、
「まあまあ良かったわよ♪」って評価だったことと、
中身がお子ちゃまだから端歌っぽい曲がニガテです、て言ってたら、
(色っぽい歌が多いから~)
師匠の印象では、
「あなたの声は細くてきれいだから、とてもよく合ってるわ」
だったことが、昨夜の収穫かな。
でも、まてよ。
声が細いのかしらね、って、前にも言われたことがある。
地歌の先生からも、高校生のころ習ってた声楽の先生
からも。
それでかな、声楽の先生からは、メゾソプラノが歌えるように特訓された。
だけど、少なくともソプラノじゃないと思うんだけどな。
高くないのに、細い声、って、あるんだ・・・
<本日のおまけ>
冬は好きじゃないけど、フィギュアスケート観るのは好き。
で、いつも思う。
TVの放送って、公平じゃない。
チャンピオンと、日本人の選手ばっかり繰り返し映ってる。
個人的・視覚的には、いちばん放送にたえるのは、ブライアン
だと思うのにな~
先週、さるお方に円山公園の枝垂桜の説明をしようとして、
例によって人名が思い出せず。――あのほら、超有名な現代の日本画家で、平山郁夫じゃないほうの。
「横山大観?」
――ううん、ほら、もひとり、日本画の大家みたいな人。
てな調子で。
その人が円山公園の枝垂桜を画いたのが教科書とかにも載るくらいで、
すっごく有名になっちゃって、桜のころにはみーんな見に行くようになったの、
それがこういう絵でー・・・
一生懸命説明しながら、画いて見せた絵が、こちら。
どん。
エゴコロ無いにもほどがあるな。
ホンモノは、こちら!
(http://tadaoh.net/design/images/kaii_hanaakari.jpg より拝借)
これが代表作。 画家の名前は、〝東山魁夷〟。
ネット検索の力を借りて、その場で思い出せたのだけど、
じつはこの絵よりも、
(http://www.ichioshi-web.com/kawadapan/img/michi.jpg より拝借)
こっちのほうが全然好き。
キミの~ゆく~道は~はてし~なく~遠い~♪
て感じがする。
ほら、顔を上げて道の向こうを見ていたら、やった、晴れてきた!
<本日のぬらりひ占い>
ぬ:周り運悪し
それも周りが変わる前に寝るでしょう
じゃあ、ま、いっか…