2013.3.13(水)曇、雨
米さんは京都では中京区西の京西月光町というところの材木屋さんに下宿していた。何とも美しい地名だが、わたしがその後隣町の星ヶ池町に就職したのは因縁を感じる。月と星、なんとも佳麗な名前だが、街はそれほどおしゃれな街ではなかった。
その下宿におじゃましていた頃の話である、彼が痴漢に襲われている女性を助けたのだ。
京都市内で夜に歩いていると、通りで女性の「キャー」という悲鳴、慌てて駆けつけると痴漢に襲われている様子、すぐに110番して現場に行くと痴漢はすぐに逃げていったという。そうこうしているとパトカーが駆けつけ、被害者の女性と共に警察署へ行くのだが、どうしたことか解らないが米さん、痴漢の現行犯として逮捕されてしまったのだ。
本人にしたら何が何だか解らない。取調室での様子は推して知るべしである。自白を求めて机を叩いたり、大声でわめいたり、例の如くである。
実はその時教職の一次試験かなんかが受かっていて、ここで犯人にされたら完璧に除外されてしまうという微妙な時期だったそうだ。そこで米さん、完全黙秘を通したという。
なぜ助けに入った者が犯人にされたか、それはどうも被害者の女性が動転していて、助けに入った米さんのことを「(犯人は)この人です」って警管に訴えたようである。
その夜だったか翌日だったか解らないのだが、被害者の女性が落ち着いてきて、取調室の米さんにミラーガラスかなんかで面通しをして、「この人は助けてくれた人です」と証言して、晴れて釈放となったそうである。
この話を聞いて、痴漢とその被害者と警察に対して憤りを憶えるのだが、それよりも米さんの勇気と冷静さに驚くのである。
女性の悲鳴を聞いて助けに行くというのは当たり前のことのように思えるが、実際にその場面に出くわしたらはたしてできるだろうか。今の自分ならできると思うが、20代の頃には疑問符が着く。
それよりもなによりも、あの卑劣な警察の取調室で黙秘を通したことは驚愕の行為である。おそらく取調官からは、「初犯だから正直にやったといえばすぐ帰してやるし云々」と言われているだろう。大げさに言えば、帰して欲しいばかりにやってもいない犯罪をやったと言っておればその後の米さんは無かったといえるわけだ。少なくとも教職には就けなかっただろう。
そこで黙秘を通すという冷静な判断が米さんを救ったと思うし、よくぞそのような判断ができたなあと思うのである。
その話を聞いたとき、米さんは被害者の女性にも警察にも恨みを持っていた風は無い。なんとまあ出来た人間だこと、わたしならどうやって慰謝料とろうかなどと考えそうだ。
「ところで痴漢騒動のときもその恰好やったんかい」「そやねん」
当時はやった、長ーい毛糸の、しかもピンクかなんかのマフラーしてるんだから、痴漢に間違われても然もありなんか、などと二人で笑ってしまった。
「おい、警察って逮捕したときなんて言うかしってるか」
「逮捕するって言うんだろう」
「違うねん、確保したっていうんや、岩登りといっしょやろ」
「なんで知ってんねん」
「パトカーの中でゆうとったんや」
なんともまあ、余裕のある言質であったが、岩登りは確保だけど警察用語は獲捕かもしれない。
【作業日誌 3/13】
ウッドデッキ階段設置
【晴徨雨読】170日目(2007.3.13)鵜戸神宮、飫肥城、北郷温泉など観光
三日間はレンタカーで周辺観光する。この日本文には書いていない大事件が起こる。鵜戸神宮財布忘れ事件だ。鵜戸神宮の駐車場でトイレに入り、現金、カード、免許証など入れたポーチを棚に置いたまま忘れてしまった。車で十数キロ走ってから思いだし、Uターンするがその間の長いこと。拾われて届けられていたとしても何かと時間がかかるし、ましてネコババされていれば、自転車旅行も中断となる。青くなってトイレに戻ったら、なななんと、そのまま置いてあった。中身の現金もそのまんま東でいやはや冷や汗もんだったぜ。シーズンオフの男用大便所がラッキーだったようだ。
うんだまこりゃえーけなもんだ。
【今日のじょん】:キクちゃんが運動会の練習したはるでとかみさんが言うもんだから、パオパオだよりを見るとなかなか頑張っとるじゃないか。じょんもそれなりにやってるんだが、はたして本番でできるかどうかだ。地の利を活かして現地を見に行こうかしら。今日も練習風景
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YouTube: 練習5
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