晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 学んでみると自然人類学はおもしろい(3) 5/7

2016-05-07 | 雨読

2016.5.7(土)曇り

 同様にロバの足は野山を歩くために特化して蹄をつくり、野山を歩くには大変能力を発揮するが、ゴルフをしたり岩登りをしたりはできないのである。このようにヒトは手足の使い方が一つのことをすることに特化しなかった、そのかわりに脳の学習機能や思考能力と相談しながらあらゆる事をできるようになったのだ。手は握る、つまむ、乗せる、押さえる、ひねる、押す、引く、引っ張るなどの基本動作の他に字を書いたり、箸を使ったり、ピアノを弾いたり、手話で話したり、無限にいろんな事ができるわけだ。これは特化されていない手と脳の連携に他ならない。ヒトがヒトたる特徴を持つようになったのは直立二足歩行と脳の発達が相互に作用して発展し今日に至っているのである。
 しかし四足歩行に比べ直立二足歩行は大胆な変革であり、身体的にも大きな負担を強いることになる。例えば内臓は横向きの脊柱が垂直にぶら下がっていたのが直立した脊柱に平行にぶら下がることとなり、内臓下重が常態化し、脱腸、脱肛、脳貧血、下肢のむくみやうっ血が生じてきた。内臓、体液が重力方向へ移動するためである。内臓の重さの受け皿である骨盤は出産口や肛門があるため骨盤底を閉じることができない。そこで上半分の腸骨上部を広げて内臓の重さを受け止め、下部は下方にすぼまる形に変形したのである。そのため骨盤の底にある筋肉(会陰横筋など)は常に収縮していなければならなくなり、毛細血管網を発達させた。座るときはここに全体重がかかるわけだから血行は悪くなり、痔などの症状が出てきた。このことは腰痛に大いに関連があるとわたしは考える。
 直立二足歩行によるデメリットで大きなものは難産と言われているが、いったいどういうことか理解できなかった。
 ・骨盤の変形により横方向にまっすぐ開いていた産道は上から押しつぶされることとなり、曲がりくねった形になった。
 ・出産口は座骨で狭められた。
 ・脳の容積が大きくなると、より難産の度合いは高くなる。
 これらのことが難産の原因と書かれているが、人類の進化はこの難産という問題を二つの方法で解決するのである。
 ・出産時に骨盤を構成する骨の関節をはずして、出産口を広げる。
 ・胎児が大きくならないうちに出産する。(生理的早産)
 産後、骨が元に戻るまで休養をとらす(産褥)こととか、歩き出すまでに1年以上かかることなどがよく理解できる。ゼロ歳児の段階は子宮外胎児といわれる所以だ。
 他の論文で、産まれたての子供の臀部は細く、脊髄のS字状カーブは形成されていないことを知った。ヒトは胎児の間に生物として発生してからの進化をたどるというが、生理的早産のために人類最後の進化を生後にたどっていると考えられる。ゼロ歳児は子宮外胎児として進化をしているのではないだろうか。つまりわたしの提唱する直立二足歩行に対する三つの進化のうちS字状カーブ、姿勢筋の発達はヒトの進化の最終的段階として生まれてから行っている進化なのではないだろうか。難産というデメリットを補完する生理的早産によって進化の過程を実際に目にすることが出来るのである。つづく

 同時に借りた図鑑では人類以外の骨格を調べたが、S字状カーブをえがいている動物はいない。

ヒトのように臀部が大きい動物はいない。

 

 

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